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ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

高島平緑地の木々が伐採される

2017年11月30日 00時02分05秒 | まち歩き

 私は、大東文化大学板橋校舎への通勤のために都営三田線西台駅を利用します。そして、駅から大学まで歩く際に、よく高島平緑地を通ります。これまで、何度もこのブログで写真を掲載してきましたが、少し様子が変わりました。

 28日の朝、池の前にある看板に目が止まりました。

 たしかに、この緑地(遊歩道と言ってもよいでしょう)の木々はよく育っており、季節をよく感じさせてくれるので、西台駅西口から歩いてここを通る度に少しばかりの目の楽しみを味わっていました。とくに春から夏にかけて、濃い緑を楽しんでいたのでした。しかし、育ちすぎるのも考え物ではあります。

何処か寂しげに見えるのは、季節のせいだけではありません。

今は池に水がありますが、昨年からであったか、この池には水がなかったのでした。蚊への対策だったようですが、アメンボを見ることができなくなり、味気ないという気もしていたのです。

 

 

 

伐採されると書かれていても、木々がなくなる訳ではありません。定期的に枝を落とすことが必要である訳でしょう。

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東京の地下鉄8号線と11号線 延伸は可能か

2017年11月29日 22時47分50秒 | 社会・経済

 私が住んでいるのは神奈川県川崎市ですので、紙面では東京版を見ることができません(自宅での話です)。たまたま、朝日新聞社のサイトを見たら「東京)川の手の自治体熱望 地下鉄8号線と11号線」という記事(http://www.asahi.com/articles/ASKCT4FXJKCTUTIL00Y.html)が掲載されていましたので、取り上げてみます。

 8号線、11号線と記しても「わからない」という方は多いでしょう。昔話に近いことになりますが、私の小学生時代には都営浅草線が1号線、三田線が6号線と案内されていました。新宿線は10号線です。

 東京の地下鉄については、都市交通審議会による番号が付けられています。8号線は有楽町線、11号線は半蔵門線です(実際には乗り入れ区間も含まれていますが、東京メトロ、都営地下鉄のみに限定しておきます)。

 江東区のサイトには「地下鉄8号線(有楽町線)の延伸(豊洲〜住吉)」というページがあります。同区は、豊洲市場の受け入れのための条件の一つにこの8号線の延伸開業を入れているそうで、平成19年から独自に調査を進めており、平成22年には東京都、東京メトロなどと検討会を開くなどの取り組みを行ってきました。

 現在の有楽町線は和光市駅から小竹向原駅、池袋駅、飯田橋駅、永田町駅、有楽町駅、豊洲駅を経由して新木場駅までの区間となっていますが、実は昭和47年に出された都市交通審議会答申15号の内容と少々異なります。そして、豊洲駅から住吉駅までの区間は、有楽町線の支線(と言ってよいでしょう)とされており、豊洲駅から亀有駅までとなっています(さらに、どの会社が運営するのかはわかりませんが野田市へ延伸することとなっています)。帝都高速度交通営団は豊洲駅から亀有駅までの事業免許を取得しているとのことです。そこで、江東区は、とりあえず、豊洲駅から住吉駅までの開業を目指す、というのでしょう。半蔵門線住吉駅の押上方面ホーム、渋谷方面ホームのいずれにも留置線があり、8号線の延伸に備えた形となっています(豊洲駅も同様であるとのことです)。

 また、11号線(つまり半蔵門線)のほうですが、こちらは現在、渋谷駅から押上駅までの路線となっています。半蔵門駅から三越前駅まで開業したのが平成元年、三越前駅から水天宮前駅まで開業したのが平成2年でしたが、水天宮前駅から押上駅まで開業したのは平成15年のことでした(ちなみに、この区間が帝都高速度交通営団で最後の新規開業区間となります)。かなり時間がかかった訳ですが、私が大学院生時代に利用していた頃(渋谷駅〜水天宮前駅の時代です)に松戸駅までの延伸計画があるという話を何度か聞きました。計画は計画であって、実際に帝都高速度交通営団が事業免許を取得しているのかどうかは、手元に確実な資料がないのでわからない、としておきます。ただ、上記朝日新聞社記事には、8号線の延伸計画として豊洲駅から住吉駅を経由して亀有駅までの区間が点線で描かれているとともに、11号線については押上駅から金町駅を経由して松戸駅までの区間が点線で描かれています。しかも、住吉駅から四ツ木駅まで、8号線と11号線は重複するかのように描かれています。おそらく、線路を共用するということでしょう。

 江東区とともに、8号線の、そしておそらくは11号線の延伸に熱心なのが墨田区と葛飾区です。少なくとも8号線の延伸に期待をしているようです。

 たしかに、8号線の豊洲駅〜住吉駅が開業すれば、5号線(東西線)の混雑緩和にも役立つかもしれませんし、臨海地区の交通アクセスも格段に向上するでしょう。

 しかし、東京メトロ、つまり東京地下鉄株式会社は、13号線を最後の新規開業路線・区間とし、これから新規路線を建設しない旨を明言しています。また、8号線については「事業性に課題がある」とも言われており、実現はかなり難しいものと思われます。

 ついでのことなので、東京の地下鉄について何線が何号線であるかを記しておきます(番号順です。乗り入れ路線は省略します)。

 1号線:都営浅草線

 2号線:東京メトロ日比谷線

 3号線:東京メトロ銀座線

 4号線:東京メトロ丸ノ内線

 5号線:東京メトロ東西線

 6号線:都営三田線

 7号線:東京メトロ南北線

 8号線:東京メトロ有楽町線

 9号線:東京メトロ千代田線

 10号線:都営新宿線

 11号線:東京メトロ半蔵門線

 12号線:都営大江戸線

 13号線:東京メトロ副都心線

 ついでのついでということで、大阪市の地下鉄についても記しておきます。いずれの路線も、正式な名称は大阪市高速鉄道第●号線といいます(大阪市例規集に掲載されている条例等によります)。

 1号線:御堂筋線

 2号線:谷町線

 3号線:四つ橋線

 4号線:中央線

 5号線:千日前線

 6号線:堺筋線

 7号線:長堀鶴見緑地線

 8号線:今里筋線

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おしらせです(2017年11月29日)

2017年11月29日 12時00分00秒 | 本と雑誌

 管理人の権限を利用して、お知らせです。

 有斐閣から「行政判例百選I」および「行政判例百選Ⅱ」の第7版が、11月29日に刊行されました。

 「行政判例百選I」の「80 公務員懲戒処分と裁量審査」が、私の担当部分です。お読みいただければ幸いです。

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東京新聞掲載の記事

2017年11月27日 19時48分24秒 | 社会・経済

 (2017年11月27日17時52分28秒付の投稿を修正しました。)

 2017年11月26日(日曜日)の東京新聞朝刊28面12版に、「豊洲、新弁護団に1000万円 石原氏責任求め 都知事 訴訟方針転換 『追及せず』無駄遣いに?」という記事が掲載されています。

 この中に、私(大東文化大学法学部教授)のコメントが掲載されています。お読みいただければ幸いです。

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吉野直子さんとラデク・パボラークさんのコンサート

2017年11月26日 09時50分06秒 | 音楽

 昨日(11月25日)の17時から、青葉台のフィリアホールで、吉野直子さんとラデク・パボラークさんのコンサートが行われました。

 例年であれば12月ですが、今年はスケジュールの都合なのか、11月に行われたのでした。

 我々夫婦の席は1階2列目の真ん中で、ハープもホルンもよく見える位置です。予約をしていたからこの位置であるとも言えますが、常にそうとは限りません(抽選などを行っているようです)。コンサートによっては2階席になったこともあります。ただ、吉野さんのコンサートではここ数年良い席で、2016年12月10日には7列目の真ん中より少し右側(真ん中に作曲家の徳山美奈子さんが座っておられました)、2015年12月5日には最前列の真ん中でした。

 今回演奏された曲は次の通りですが、プログラムに書かれていたものとは曲順が異なります(当日、会場に掲示されており、吉野さんからも案内されました)。

 〔前半〕

 クルフト(Nicholas von Krufft)作曲、守山光三編曲:ホルン・ソナタ変ホ長調

 ドビュッシー(Claude Debussy)作曲、ダニエル・ブルグ(Daniel Bourgue)編曲:スラヴ風バラード

 ドヴォルザーク(Antonín Dvořak)作曲:ホルンとハープのためのドヴォルザーク・ポプリ

  (1)「私にかまわないで」(プログラムでは2曲目、実際には1曲目)

  (2)「家路」(交響曲第9番第2楽章を編曲したもので、変ロ長調に移調。プログラムでは4曲目、実際には2曲目)

  (3)「我が母の教えたまいし歌」(プログラムでは1曲目、実際には3曲目)

  (4)「ロマンティックな小品第3曲」(プログラムでは3曲目、実際には4曲目)

 〔後半〕

 サン=サーンス(Camille Saint-Saëns)作曲:オーボエ・ソナタニ長調op. 166(ホルンとハープによる)

 ドビュッシー(Claude Debussy)作曲、ルニエ(Henriette Renié)編曲:2つのアラベスク

  (1)第1番ホ長調(ハープ・ソロ)

  (2)第2番ト長調(ハープ・ソロ)

 クーツィール(Jan Koetsier)作曲:ホルンとハープのためのソナタop. 94

 〔アンコール〕

 グラナドス(Pantalion Enric Joaquim Granados i Campiña)作曲:オリエンターレ(スペイン舞曲第2曲)

 グラナドス(Pantalion Enric Joaquim Granados i Campiña)作曲:アンダルーサ(スペイン舞曲第5曲)

 ドビュッシー(Claude Debussy)作曲:ゴリウォーグのケークウォーク(子供の領分第6曲)

 今回は、昨年などと比較して現代的な曲が少ないと感じました。とくにクーツィールのソナタは、20世紀の作曲家(2006年まで生存していました)による曲なのに、18世紀か19世紀に戻ったかのように感じたのですが、途中から20世紀の曲らしくなってきたような気もします。このソナタそのものはなかなかの佳曲であり、後半の最後の曲として相応しいものでした。

 それにしても、ドビュッシーの曲がハープにも合うことは当然として(何と言っても「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」という傑作がありますから)、ホルンにまで合うとは、というところです。アレンジがよいというだけでは、良さが引き出されないでしょう。奏者の力量が問われる訳です。金管楽器の中ではかなり難しいのがホルンだそうですが、表現力の豊かさ、響きの良さには感心させられます。だいぶ前からドビュッシーのバラードをよく聴いた私としては、昨日の演奏は録音して何度も聴きたくなったほどです(勿論、録音などしていません)。また、「我が母の教えたまいし歌」はジルヴェスター・コンサートでも演奏されたことがある曲で、ヴォーカルの次に合うのがホルンなのかなと思わせる演奏でした。

 コンサートが終わり、会場を出る時に気づきましたが、昨日のコンサートでは中学生か高校生が多かったようです(制服姿の人たちだから、見ればわかります)。吹奏楽部のメンバーなのでしょうか。

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東横線90周年ラッピング(続)

2017年11月24日 21時24分27秒 | 写真

再び「東横線90周年ラッピング」の東急5000系5122Fです。自由が丘駅で撮影しました。

ちなみに、iPhone8で撮影しました。最近は、DSC-WX500(サイバーショット)ではなく、iPhone8を使うことが多くなっています。

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平成30年度税制改正に向けての二題

2017年11月21日 23時13分45秒 | 国際・政治

 今日(2017年11月21日)の朝日新聞朝刊7面13版には、編集委員の原真人氏による「波聞風問 低成長経済 時間かせぎの資本主義、限界に」という記事が掲載されています。これは経済成長の意味を考えるという意味において読んでおくべきものであるため、切り抜いておく予定です。

 同じ面には「中小の固定資産税免除、調整 政府、20年度までの設備投資」(http://digital.asahi.com/articles/DA3S13237506.html)および「給与所得控除 縮小を求める 政府税調が報告書」(http://digital.asahi.com/articles/DA3S13237505.html)も掲載されています。今回はこれらの内容を取り上げておきます。

 まずは固定資産税のほうです。現在も、中小企業が新たに導入した設備について固定資産税の減税措置が採られていますが、これを2020年度まで延長する方向で、政府および与党が調整しているとのことです。最近になって唱えられはじめた「生産性革命」の一環であるとのことですが、どこの省庁が要望を出しているのかが重要なポイントでしょう(大体、想像はつきます)。また、固定資産税は市町村の重要な財源の一つでもあるだけに、また、都道府県にとってもそうであるだけに(特別区の部分については東京都が課税主体ですし、一部の固定資産については道府県が課税主体となります)、地方公共団体からの反発は必至かもしれません。しかし、多少の妥協はあるかもしれませんが、基本的には政府・与党が押し切る形になるでしょう。

 元々、税制改正は国税が中心で地方税がそれに付随するような形で行われる傾向がありますが、ここ数年、おおよそ第二次安倍内閣発足時以来、とくに政府、というより政権の意向が強く打ち出されることが多いと思われます。平成27年度税制改正および平成28年度税制改正における「法人税改革」、平成29年度税制改正における「所得税改革」、そして何よりも消費税・地方消費税の税率引き上げの延期(二度)が典型的です。平成30年度税制改正は引き続いて「所得税改革」が行われることとなるでしょうが、その際には、与党税制改正大綱に「改革」と並んで「革命」の言葉も記されるのでしょうか。

 続いて所得税です。給与所得について、給与所得控除の縮小が話題となっていますが、相変わらず、この給与所得控除が基礎控除や医療費控除などの所得控除と一緒に扱われています。誤っているのですが、誤解が続くままです。上記朝日新聞記事でも「会社員向けの減税措置である給与所得控除を高所得者を中心に縮小し、すべての納税者が受けられる基礎控除を拡充するよう」に政府税調が提言したと書かれていますが、政府税調が本当にこのような提言を行っているとしたら、厳しく批判すべきことでしょう(その意味では誤報であることを願っています)。給与所得控除は減税措置などではなく、所得を計算するために必要な要素であるからです。

 私は、講義において所得税における所得の基本形を必ず取り上げます。次のようなものです。

 〔所得(の金額)〕=(収入金額)−(必要経費)

 現行の所得税法には10種類の所得が定められていますが、不動産所得、事業所得、雑所得のうちの公的年金等を除く部分についてはこの基本形がそのまま妥当するものの、他の所得については性質による修正を必要とします。例えば、利子所得の場合には必要経費が0円と考えられるために利子所得の金額=収入金額となります。給与所得も修正を要するものの一つであり、必要経費の部分が次のように変えられるのです。

 〔給与所得(の金額)〕=(収入金額)−(給与所得控除)

 必要経費であれば、収入を得るために支出せざるをえないお金、つまり経費は実額で控除されることとなります。しかし、給与所得の場合には必要経費を考えることができるものの、実額でという訳にはいかないのです。給与所得の場合には、実額による経費を考えるのが容易でないこと(これが、或る程度であれば典型的な必要経費を想定しうる不動産所得や事業所得などと異なるところです)、給与所得者と一言で表現しても多様であること(これは考えてみればすぐにわかります)、また給与所得者の数も多く、実額による控除となると大変に面倒になることがあげられます。

 もし、給与所得控除についての私の説明が誤っており、給与所得控除が「減税措置」であるとするのが正しいのであれば、何故に所得税法第28条第2項が「給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。」と定めているのでしょうか。明らかに、給与所得控除は所得の計算のために必要経費に代わるものとして(或る意味では必要経費の一種とも言えます)定められているのであり、減免措置などとされていません。減免措置または「減税措置」とされるのであれば、第28条に定めるのでなく、第72条以下の所得控除として定めるか、第92条以下の税額控除として定めるか、租税特別措置法に定めなければならないはずです。また、所得税法第28条第2項は「給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額とする。」と定めるのが自然であるということになります。

 さらに記すならば、給与所得控除が「減税措置」であるとする考え方は、所得税法第57条の2に定められる特定支出控除をどのように説明するのでしょうか。これが大嶋訴訟の補足意見を受けてつくられた制度でもあると言うことが忘れられているのでしょうか。

 給与所得控除額の拡大・縮小は、それ自体として議論する必要はありますが、給与所得者について考えられる必要経費(的なもの)は何か、という視点で検討されるべきであり、「減税措置」などと考えられるべきではありません。

 所得税改革を進め、給与所得控除が給与所得者に対する「減税措置」であるというのであれば、既に示したように所得税法第28条第2項を「給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額とする。」と改正し、同第3項および第4項、第57条の2を削除すべきです。そして、第9条第1項に定められる非課税事由を拡大する、または第72条以下の所得控除もしくは第92条以下の税額控除を拡大することが必要となります。少なくとも、第28条第2項の改正は必要でしょう。

 なお、所得税法第89条に定められる基礎控除の拡充には賛同できますが、問題は金額です。現在は38万円ですが、どのように算定されたのかがわからない上に、この額で十分であるかどうかが問われます。都道府県住民税および市町村住民税における基礎控除は33万円で、これについても議論は必要でしょう。

 そう言えば、何年か前までは確定申告の用紙に基礎控除の額だけは事前に印刷されていましたが、現在はなされていません。どのような納税義務者にとっても必ず適用されるのが基礎控除であるのに、事前に書かれていなければ計算を誤ります。

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表示が変わった

2017年11月20日 20時41分07秒 | 写真

先程、田園都市線に乗って帰宅したのですが、高津駅で8500系を見ると……

おわかりでしょうか。

 これまで、田園都市線では、東横線や大井町線と異なり、各駅停車については「各停」などの表示がなく、行先だけが大きく表示されていたのですが、御覧のように「各停」の表示がなされています。

 全ての編成でこのようになっている訳ではないのですが、今後は増えていくのかもしれません。

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譲渡所得に関する判例 サラリーマン・マイカー訴訟

2017年11月18日 22時07分00秒 | 法律学

 大東文化大学法学部で月曜日の2限に担当する「税法」で扱う判例をあげておきます。法律の解釈の仕方を、このサラリーマン・マイカー訴訟で学んでみてください。

 

 事案

 ・Xは神戸市兵庫区内の会計事務所(A事務所)に勤務する給与所得者であり、昭和46年に自家用車を68万円で購入した。Xは、この自家用車を通勤で使用するとともに、外回り業務や私用にも利用していた。昭和51年、Xは自損事故を起こした。自家用車の修理は可能であったが、修理費用がかさむために廃車にすることとし、Xはスクラップ業者に自家用車を3000円で売却した。

 ・翌年、Xは、昭和51年分の所得税について源泉徴収税額の還付を受けようと考え、所轄税務署長(加古川税務署長)に対し、昭和52年7月2日に次のような申告を行った。

  給与所得額:130万6000円

  譲渡所得金額損失:29万7000円(事故がなければ自家用車の価値は30万円であるとして)

  総所得金額:100万9000円

  還付金額に相当する税額:3万4800円

 ・昭和55年5月12日、加古川税務署長は、次のような更正処分を行った(Xには同月14日に通知した)。

  給与所得金額:130万6000円

  譲渡所得金額:0円

  総所得金額:130万6000円

  還付金の額に相当する税額:0円

  納付すべき税額:3万4800円

 ・Xは加古川税務署長に異議申立てをしたが棄却され、国税不服審判庁に審査請求をしたが棄却されたので、出訴した。

 争点

 ・事故によって廃車した自家用車の譲渡損失を、給与所得と損益通算することの可否。

 ・自家用車の、資産としての性質。

 判旨

 (下線は、すべて引用者による。また、表記を変えた部分がある。)

 (1)神戸地判昭和61年9月24日判時1213号34頁

 「資産の譲渡による所得には、事業所得、山林所得、譲渡所得又は雑所得があるが、資産を譲渡したことにより生じた損失(譲渡損失)の処理については、これら各種所得の金額の計算要素の一つとしてこれら各種所得の金額の計算構造のなかに取込み処理されている(法27条2項、32条3項、33条3項、35条2項)。ただし、その譲渡による所得が非課税とされている資産の譲渡による損失は、所得金額の計算上ないものとみなされている(法9条2項1ないし3号)ので、各種所得の金額の計算構造のなかには取り込まれないこととなる。そして、この非課税とされる資産のうちに、『自己が生活の用に供する家具、じゆう器(―什器。引用者注)、衣服その他の資産で令25条各号に記載したものを除く生活に通常必要な動産』が含まれている。

 このように資産(非課税扱いの資産は除く。)の譲渡による損失を各種所得の金額の計算構造のなかに取り込んだ結果、各種所得の金額の計算上損失が生じたときは、その損失は他の各種所得の金額に損益通算されることとなる(法69条一項)が、それには例外があり、譲渡所得の計算上生じた損失のうち生活に通常必要でない資産の譲渡による損失部分は、競走馬の譲渡による損失が競走馬の保有に係る雑所得とのみ損益通算されるほかは、損益通算の対象とならない、つまりその損失の金額は生じなかつたものとみなされることとなる(法69条2項、令200条)。」

 「前記認定事実(中略)によれば、Xは給与所得者であるが本件自動車の使用状況も大崎事務所への通勤の一部ないし全部区間、また勤務先での業務用に本件自動車を利用していたこと、本件自動車を通勤・業務のために使用した走行距離・使用日数はレジヤーのために使用したそれらを大幅に上回つていること、車種も大衆車であることのほか現在における自家用自動車の普及状況等を考慮すれば、本件自動車はXの日常生活に必要なものとして密接に関連しているので、生活に通常必要な動産(法9条1項9号、令25条)に該当するものと解するのが相当である。そして、自動車が令25条各号にあげられた資産に該当しないことは明らかであるから、Xの本件自動車の譲渡による損失の金額は、法9条2項1号に基づかないものとみなされることになる。したがつて、損益通算の規定(法69条)の適用の有無につき判断するまでもなく右損失の金額を給与所得金額から控除することはできないといわなければならない。

 また、仮に本件自動車が前記認定事実のもとではXの生活に通常必要でない動産に該当するものとしても、法69条2項、令200条により譲渡損失の金額は生じなかつたものとみなされることとなるから、譲渡損失の金額を給与所得の金額から控除すべき旨のXの主張は、その余の点について判断するまでもなくいずれにしても採用することはできない。」

 (2)大阪高判昭和63年9月27日判時1300号47頁

 「認定事実によると、本件自動車は給与所得者であるXが保有し、その生活の用に供せられた動産であって、供用範囲はレジャーのほか、通勤及び勤務先における業務にまで及んでいると言うことができる。」

 「ところで、右のうち、自動車をレジャーの用に供することが生活に通常必要なものと言うことができないことは多言を要しないところであるが、自動車を勤務先における業務の用に供することは雇用契約の性質上使用者の負担においてなされるべきことであって、雇用契約における定め等特段の事情の認められない本件においては、被用者であるXにおいて業務の用に供する義務があったと言うことはできず、本件自動車を高砂駅・三宮駅間の通勤の用に供したことについても、その区間の通勤定期券購入代金が使用者によって全額支給されている以上、Xにおいて本来そうする必要はなかったものであって、右いずれの場合も生活に通常必要なものとしての自動車の使用ではないと言わざるを得ない。そうすると、本件自動車が生活に通常必要なものとしてその用に供されたと見られるのは、Xが通勤のため自宅・高砂駅間において使用した場合のみであり、それは本件自動車の使用全体のうち僅かな割合を占めるにすぎないから、本件自動車はその使用の態様よりみて生活に通常必要でない資産に該当するものと解するのが相当である

 そうだとすれば、仮にX主張の譲渡損失が生じたとしても、それは、所得税法(原判決と同じく以下法という。)69条2項にいう生活に通常必要でない資産に係る所得の計算上生じた損失の金額に該当するから、同条1項による他の各種所得の金額との損益通算は認められないことになる。なお、同条2項は、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除することを認めており、これを受けて所得税法施行令(以下原判決と同じく令という。)200条があり、同条は競争馬の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は当該競争馬の保有に係る雑所得の金額から控除すると定めているが、本件がこれに該当しないことは言うまでもない。なお、本件は資産の譲渡による利益そのものがない事案であるから、法33条3項本文括弧書き(他の資産の譲渡益からの控除)の適用もない。」

 「Xは、主位的主張として、給与所得者が保有し、その生活の用に供せられる動産は税法上『生活に通常必要な動産』と『生活に通常必要でない資産』の二種の分類に尽きるものではなく、他に法33条1項の予定する『一般資産』とでも呼ばれるべきものが分類され、本件自動車は前二種のいずれにも該当するものではなく、この『一般資産』に該当するものであり、その譲渡損失については法六九条一項によりXの給与所得の金額から控除すべきものとする。

 しかし、法・令は、給与所得者が保有し、その生活の用に供する動産については、『生活に通常必要な動産』(法9条1項9号、令25条)と『生活に通常必要でない資産(動産)』(法62条1項、令178条1項3号)の二種に分類する構成をとり、前者については譲渡による所得を非課税とするとともに譲渡による損失もないものとみなし、後者については原則どおり譲渡による所得に課税するとともに、譲渡による損失については特定の損失と所得との間でのみ控除を認めているものと解するのが相当であって、『一般資産』のような第三の資産概念を持ち込む解釈には賛同することができない。したがって、右Xの主位的主張は実定法上の根拠を欠き失当であり、(後略)」

 (3)最二小判平成2年3月23日判時1354号59頁

 「所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係の下においては、本件自動車の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上損失の金額が生じたとしても、これを損益通算の対象とならないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。」

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JR北海道の維持困難路線はどうなる?

2017年11月17日 23時57分45秒 | 社会・経済

 11月14日付の朝日新聞朝刊8面13版に「私鉄大手8社過去最高益に 9月中間決算」という記事が掲載されており、そこに掲載されている表(関東9社のみ)によれば、売上高の額と純利益の額では東急が最高であり(売上高が5653億円、純利益が369億円。以下もこの順)、次いで東京メトロ(2124億円、366億円。いずれも過去最高)、東武(2828億円、237億円。純利益が過去最高)などと続いています。

 そうかと思うと、同日の9時9分付で朝日新聞社のサイトに掲載された「路線存続堅持、バス検討も 札沼線」という記事(http://www.asahi.com/articles/CMTW1711140100002.html)では、札沼線の北海道医療大学〜新十津川について、13日に新十津川町役場で意見交換会が開かれたと報じられていました。この区間は輸送密度が北海道で最も少ない66人、営業赤字が3億6700億円で、JR北海道は廃線、バス転換を提案しています。意見交換会に出席したのは、この区間の沿線自治体である当別町、月形町、浦臼町および新十津川町の4町長らで、基本的には存続を求めるものの、今後はこの区間のうちのどこまでなら存続可能であるか、また、鉄道路線の廃止の後ということで新たな交通体系の確保も考えていくという方針のようです。

 札沼線については、このブログの「日本一早い終列車の区間は維持されるか」という記事を載せておりますが、そこでも記したように、2016年3月のダイヤ改正以降、石狩当別~浦臼のワンマン運転気動車の運行は1日6往復(石狩当別~石狩月形を運行する列車を除く)、浦臼~新十津川の運行は1日1往復です。鉄道として残すには厳しいとも言えますが、気動車は(回送を除いて)札幌〜石狩当別の区間に直通しないため、利便性がいっそう低くなっているとも言えます(もっとも、過去にそれなりの需要があれば今も直通運転をしていることでしょう)。正直なところ、浦臼〜新十津川の運行継続は非常に厳しいというところであり、廃止の可能性は高いでしょう。鉄道として残せるならば、最も可能性が高いのは石狩当別〜石狩月形ではないでしょうか。ちなみに、石狩月形〜新十津川は一閉塞区間であるため、列車は一編成しか入れません。

 1日置いて11月16日には、10時51分付で毎日新聞社が「JR北海道 自治体と深まる溝 路線維持困難公表1年」として報じています(https://mainichi.jp/articles/20171116/k00/00e/040/250000c)。11月8日にはJR北海道の赤字額が最大の425億円となり、しかも全路線(新幹線も含みます)で赤字である旨の中間決算が発表された旨が報じられましたが、こうなると上下分離方式などの採用により維持しうる路線はさらに少なくなるのではないかという懸念も生じます。札沼線の北海道医療大学〜新十津川、留萌本線の全線(深川〜留萌)、根室本線の富良野〜新得、および石勝線の新夕張〜夕張については廃止の上でバス転換などという方針が立てられていますが(上記毎日新聞記事の図表に拠ります)、これだけで済むのかということです。

 たとえば、日高本線は上下分離方式などの採用による維持路線とされていますが、2015年1月の高波などで甚大な被害を受けた鵡川〜様似の区間については事実上復旧が断念されているような状況であり、苫小牧〜鵡川が残る程度かもしれません。

 また、宗谷本線の名寄〜稚内も上下分離方式などの採用による維持路線・区間とされていますが、名寄駅の時刻表を見ると、下り列車(稚内方面)では特急が3本、普通列車が4本でそのうちの2本は音威子府止まりとなっています。そこで音威子府駅の時刻表を見ると、下り列車(稚内方面)はやはり特急が3本、普通列車が3本(早朝の1本が音威子府始発)、上り列車(名寄、旭川方面)は特急が3本、普通列車が5本(そのうち3本が名寄止まり。また、早朝と夕方の1本ずつが音威子府始発)となっています。さらに見ていくと、音威子府〜幌延では普通列車が3往復しかなく、幌延〜稚内では普通列車が3.5往復(下り3本、上り4本)しかありません。利用客が皆無か僅少の駅を廃止した上で維持するしかないというところでしょうか。こうなると、特急通過駅のほとんどは廃止されるしかないということになりかねませんが。

 上下分離方式を採るとしても、沿線自治体の市町村に鉄道施設などを所有させるのは現実的でないでしょう。人口が少なく、財政規模も小さく、財政状況もよくないとすれば、市町村が所有することは困難です。一部事務組合方式なども考えられなくはないのですが、それ程の意味があるとも思えません。また、市町村が出資して株式会社としての施設保有会社を設立する方法も考えられるのですが、或る程度の需要が見込める路線であればともあれ、そうでない路線には適切と言えないのではないでしょうか。

 そうなると、青い森鉄道のように、鉄道施設などは北海道または国が所有し、運航業務をJR北海道が担当するというのが最も現実的であるということになります。問題は北海道の態度です。私が北海道に住んでいないからかもしれませんが、今ひとつ、北海道の姿勢がよく見えません。

 北海道は、鉄道にとってかなり厳しい所であると言えます。寒冷地帯、豪雪地帯であるためです(広大なので地域による差はあると思われますが)。車両一つを取ってみても、本州、四国、九州の車両とはかなり異なり、しっかりとした耐寒耐雪設備が求められます。国鉄時代、本州および九州で大活躍した485系の1500番台が北海道に投入されたものの、耐雪設備が十分でなかったことでトラブルが頻発したという話もあるくらいです。また、保線作業についても、本州などより費用がかさむでしょう。北海道には泥炭地が多かったので道路の整備が遅れたという話もありますが、鉄道建設にも影響があったのではないでしょうか。

 国鉄分割民営化から30年が経過し、北海道と四国では鉄道網の維持そのものが大きな問題となりつつあります。しかし、それは、程度の差、地域の差があったとしても、本州と九州についても言いうることでしょう。JR北海道の問題は、北海道だけの問題ではない訳です。

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