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ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

米坂線は第三セクター化されるのか?

2025年04月05日 00時00分00秒 | 社会・経済

 JR東日本に米坂線という路線があります。奥羽本線の米沢駅(山形県米沢市)から羽越本線の坂町駅(新潟県村上市)まで91km弱の路線で、JRグループとしては珍しく、「よねさか」と訓読みで名付けられています(他には大糸線しかありません)。

 この米坂線は、2022年8月上旬の豪雨により、今泉駅から坂町駅までの区間で運休が続いています。全区間のうちの約2割5分しか運行されていない訳で、山形県西置賜郡飯豊町および小国町、新潟県岩船郡関川村では列車が一切運行されていないのです。果たして復旧されるのか、それとも廃止されるのか、議論が続けられてきましたが、山形県知事は鉄道路線としての復旧を目指す旨を表明しました。2025年4月4日11時0分付で、朝日新聞社が「米坂線の三セク復旧費18億円 山形知事『負担大きいが鉄路で復旧』」(https://www.asahi.com/articles/AST433W7GT43UZHB009M.html?iref=pc_preftop_yamagata)として報じています。

 これは、3月下旬に新潟県で開かれた関係者会議において、JR東日本が示した試算を受けたものです。記事にはJR東日本が運営する場合(上下分離方式を含めて)の試算が書かれていないのですが、JR東日本が示さなかったからなのでしょう。明確にされている試算は2つあり、第三セクターで復旧する(あるいは、復旧後は第三セクターで運営する)のであれば毎年最大で18.8億円の負担が沿線自治体に生じるのに対し、鉄道路線を廃止して代替バスを運行するのであれば、沿線自治体に生じる負担は1.9億円である、というものです。

 JR東日本は、復旧後も完全な自社運営を行うつもりはないのでしょう。上下分離方式の採用も考えていないようです。現在も運行されている米沢駅から今泉駅までの区間については、JR東日本が運行を続けることになるのでしょうか。米沢駅で接続する奥羽本線は山形新幹線の通る区間でもあるため、米坂線とは軌間(レールの幅)が異なります。また、米坂線は非電化、奥羽本線は交流電化です。こうなると直通も何もできないので、米沢駅から今泉駅までの区間をJR東日本が運行するとしても、コストが増えるだけではないでしょうか。また、米沢駅から今泉駅まではJR東日本、今泉駅から坂町駅までは第三セクターとすると、これはこれで利便性が低下するでしょう。山形鉄道を活用する手も考えられなくはないですが、「山形鉄道で減便」(2025年3月27日10時40分付)で記したように、山形鉄道は運転士不足のためにしばらく減便体制に入ります。今泉駅から坂町駅までの区間を鉄道路線で復旧し、そこを第三セクターが運営するというのであれば、残りの区間との兼ね合いはどうなのかを、山形県は考えなければならないはずです。

 もう一つ、気になるのは新潟県の姿勢です。山形県は鉄道路線としての復旧を明言しており、上下分離方式、第三セクター方式のどちらかを選ぶのでしょう。しかし、新潟県はどのような意向を持っているのかが、正直なところよくわかりません。鉄道路線としての復旧に積極的であるとは見えないのです。

 こうなると、米坂線の今泉駅から坂町駅までの区間を鉄道路線として復旧することは、かなり困難ではないでしょうか。

 豪雨で長期運休と言えば、JR九州の肥薩線もあげられます。こちらは2020年7月より八代駅から吉松駅までの区間で運休しており、このうちの八代駅から人吉駅までの区間については上下分離方式を採った上で2033年度頃を目標として復旧することが決まりました。費用は235億円ほどと見込まれているようです。

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山形鉄道で減便

2025年03月27日 10時40分00秒 | 社会・経済

 このブログでは、何度か路線バスや鉄道の減便を取り上げています。今回は山形県の話です。

 山形鉄道という第三セクターの会社があります。最近、フィッシング詐欺に遭ってしまったという会社ですが、旧国鉄長井線であったフラワー長井線を経営しているところです。そう、国鉄改革のために廃線候補とされた長井線を引き受けるために設立された訳です。

 フラワー長井線は、JR奥羽本線の赤湯駅から、JR米坂線の今泉駅を経由して荒砥駅まで、30.5kmの路線です。この路線で4月1日から減便が行われることが、朝日新聞2025年3月26日11時0分付の「フラワー長井線、乗務員不足で減便へ 退職者相次ぐ 山形」(https://digital.asahi.com/articles/AST3T46JLT3TUZHB001M.html)で報じられました。見出しのとおりで、減便の理由は乗務員不足です。

 山形鉄道の公式サイトにも、2025年3月24日付で「一部列車運休と時刻変更のお知らせ」(https://flower-liner.jp/info/%e4%b8%80%e9%83%a8%e5%88%97%e8%bb%8a%e9%81%8b%e4%bc%91%e3%81%a8%e6%99%82%e5%88%bb%e5%a4%89%e6%9b%b4%e3%81%ae%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b/)という記事が掲載されています。文書の画像も一緒に載せられており、その文書には次のように書かれています。

 「昨年の12月より複数の運転士及び車掌から退職の申し出があり、乗務員の定数が下回り現行ダイヤでの運行は困難な状況となりました。当面は一部の列車を運休し、対応して参ります。

 また、この件に関しての代行輸送(バス等)は乗務員不足から予定はございません。

 なお、現在も採用に向けた活動をおこなっており、体制が整い次第、通常のダイヤに戻していく予定です。」(原文のまま。)

 同社のサイトには4月1日以降の臨時ダイヤも掲載されています。詳細は記しませんが、上りは12本から8本に、下り12本から8本にかわります。つまり上りは4本、下りは4本が減らされます。また、フラワー長井線には車掌が乗務する列車もありましたが、4月1日からは全列車がワンマン運転となります。御丁寧にも「このたびの一部列車の運休については、3月10日に発生しました不正送金被害の影響によるものにではございません」とまで書かれています。

 山形鉄道のサイトには書かれていませんが、上記朝日新聞社記事には「昨年12月から今年2月にかけて、運転士計4人と車掌1人から退職の申し出があった。他社への転職など、個人や家庭の事情だという」、「退職後は運転士7人、車掌1人となり、現在の上下計24本のダイヤを維持するのが困難になったと判断した」と記されています。気になるのは、全列車がワンマン運転となるなら車掌はどうなるのかということですが、この点についての詳細はわかりません。

 減便とは別の事柄として、上記朝日新聞社記事には山形鉄道に対する貸付も内容として書かれています。この貸付は山形鉄道からの申請があったためで、山形県、長井市、南陽市、白鷹町および川西町が拠出する基金(長井市山形鉄道運営助成基金。1年あたりで合計1億800万)から5000万円を山形鉄道が無利子で借り受けるということです。ちなみに、現在の基金の残高は8755万円ですので、貸付が行われると残高は3755万円となります。後に山形鉄道が返済するとしても、基金としてかなりまずい状況になっていると言えないでしょうか。枯渇が早まったと言える状況にならなければよいのですが。

 基金からの借り受けは、フィッシング詐欺事件のためでしょう。それにしても、フィッシング詐欺に引っかかった鉄道会社とは……。

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長良川鉄道越美南線の一部が廃止?

2025年03月04日 22時00分00秒 | 社会・経済

 この10年、20年くらいの公共交通機関、とくに鉄道の状況を見ていると、1980年代の国鉄改革は何だったのか、残されたものは何だったのかと考えることがあります。JRグループで存廃問題が生じている路線の全てではありませんが、多くの路線が、実のところ、1980年代にも存続か廃線かの検討がなされ、一定の基準によって特定地方交通線への指定を免れ、存続となりました。その代表例として留萌本線をあげておきましょう。

 また、特定地方交通線に指定された路線は第三セクターに転換されるかバス路線になりました。既に廃止されている元特定地方交通線もいくつかありますし、最近では、いすみ鉄道が危機的状況にあります。

 このような流れの中で、岐阜県の第三セクター鉄道が、一部とは言え廃線を検討することになりそうです。共同通信社が、今日(2025年3月4日)の19時14分付で「岐阜・長良川鉄道の一部廃線検討 施設老朽化、沿線自治体負担増で」(https://www.47news.jp/12256106.html)として報じています。

 長良川鉄道は、国鉄の特定地方交通線にして第二次廃止対象路線であった越美南線(72.1km)を運営する会社です。路線名称からおわかりでしょうが、越は越前、美は美濃を意味します。元々、髙山本線および太多線との接続駅である美濃太田駅からハピラインふくい線(旧北陸本線)との接続駅である越前花堂駅までの路線として計画され、美濃太田駅から北濃駅までの区間が越美南線、越前花堂駅から九頭竜湖駅までが越美北線として開業したのですが、北濃駅から九頭竜湖駅までの区間は未開業のままに終わりました。国鉄改革の結果、越美北線は国鉄線として残り、現在もJR西日本が運行していますが、状況はかなり厳しいところです。一方、越美南線は第三セクターである長良川鉄道が引き受けたのでした。

 その長良川鉄道の本社は関市にあります。筆頭株主は岐阜県、次いで郡上市、関市の順に主要株主となります。岐阜県や沿線自治体が株主である以上、沿線自治体の意向が会社の経営に多少なりとも影響を与えることとなります。現在の社長は関市の市長ですが、同市長が越美南線の「一部区間の廃線を検討していると明らかにした」のでした。共同通信社記事に書かれていることをそのまま引用しましたが、同記事では具体的にどこで述べたのかまでは明らかにされていません。そこで中日新聞社のサイトを参照すると、2025年3月3日16時04分付で「長良川鉄道、一部区間の廃線検討 山下清司・関市長が議会で答弁、区間や時期は触れず」(https://www.chunichi.co.jp/article/1032999)として報じていました。ただ、見出しにあるように、具体的な区間や時期は検討されていないようです。中日新聞社の取材によれば、一部区間というのは、越美南線の半分以上を占めるとともに末端区間を含んでいる郡上市にある区間です。

 関市長でもある長良川鉄道の社長が廃線検討の理由としてあげているのは、施設の老朽化、沿線自治体の負担の増加です。もとより、老朽化と負担増加は密接な関連があります。設備の更新に金がかかるためす。ただ、2023年度の運賃収入はおよそ2億5000万円、同年度の経常損益はおよそ3億8000万円であり、輸送人員の減少も理由としてあげられるでしょう。関市および美濃市には越美南線の他に名鉄美濃町線も通っていましたが、既に廃止されています。自動車社会の進展の結果でもありますが、人口減少の結果でもあるでしょう。現在、越美南線には、起点の美濃太田駅以外に他の鉄道路線との乗り換え駅がありません。これで70km超の路線なのですから、不利な形態であることも否定できません。

 現在のところは市議会などで端的な意見が出されているだけですが、今後、関市、郡上市などの沿線自治体において存廃が検討されることでしょう。

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埼玉高速鉄道線の延伸は

2025年02月27日 12時00分00秒 | 社会・経済

 インターネットでは今日(2025年2月27日)の8時0分付で「埼玉高速鉄道延伸が現実味 さいたま市、国の補助適用向け素案策定へ」(https://digital.asahi.com/articles/AST2V1401T2VUTNB001M.html)として朝日新聞社のサイトに掲載されていますが、紙面では昨日(2025年2月26日)付で朝日新聞朝刊23面埼玉13版に「SR延伸 一転、現実味 国の補助適用高まる さいたま市素案作成へ コスト縮減・工期短縮」として掲載されていました。内容はほぼ同一です。

 時折東急目黒線を利用する私としても、埼玉高速鉄道線(赤羽岩淵駅から浦和美園駅まで。14.6km)の状況は気になっていました。もう20年程前のことですが、一度だけ、浦和美園駅から赤羽岩淵駅まで通して乗ってみました。当時、浦和美園駅の周辺は民家が非常に少なく、目立つ建物と言えば浦和美園駅そのものと埼玉スタジアムだけという状況でした。位置がいかにも中途半端であり、延伸が予定されているであろうことはすぐにわかります。

 実際に、2000(平成12)年の運輸政策審議会答申第18号において「<11>東京7号線の建設及び延伸」があげられており、そこには目黒駅⇆白金高輪駅⇆溜池山王駅⇆赤羽岩淵駅⇆浦和美園駅⇆岩槻駅⇆蓮田駅という計画(?)があげられています。当時、目黒駅から溜池山王駅までの区間および赤羽岩淵駅から浦和美園駅までの区間は工事中でしたが、同年に目黒駅から溜池山王駅までの区間が開通したことにより、帝都高速度交通営団(当時)南北線が全通し、同時に東急目黒線との相互直通運転が始まりました(相互直通運転については答申第18号においても「目黒駅において東京急行電鉄目蒲線と相互直通運転を行う」と明記されています)。2001年に埼玉高速鉄道線の赤羽岩淵駅から浦和美園駅までの区間が開業しました。埼玉高速鉄道線が東京メトロ南北線の延長線のようになっているのは、この答申第18号、さらに遡ると1972(昭和47)年の都市運輸審議会答申第15号に由来するようです〔当時は目黒駅⇆飯倉片町⇆永田町駅⇆市ヶ谷駅⇆駒込駅⇆王子駅⇆岩淵町(赤羽岩淵駅のこと)⇆川口市中央部⇆浦和市東部となっていたようです。もっと遡ることもできるでしょうが、ここで止めておきます〕。

 さて、埼玉高速鉄道線の開通直前とも言える時期に浦和美園駅から岩槻駅を経て蓮田駅まで延伸する計画(というよりは案)が答申として出されてから25年、まずは浦和美園駅から岩槻駅までのおよそ7.2kmを延伸する動きがようやく出そうです。上記記事によると「さいたま市は、埼玉高速鉄道(SR)の延伸について国から建設費の補助を得られる可能性が高まったとして、2025年度にその前提の計画素案をまとめる方針を開会中の市議会に示した」とのことです。

 2024年1月には埼玉高速鉄道線の延伸に関する事業化要請が見送られていました。理由は建設費の増大です。概算で860億円ほどと見積もられていたものが、昨今の材料費などの高騰によって1300億円ほどまで増えてしまったのでした。新幹線であれその他の鉄道であれ、新線開業なり路線延伸なりは費用便益比が1.0を超える見込みが立たなければ、建設する意味がなくなります。北陸新幹線の敦賀駅から新大阪駅までの延伸が暗礁に乗り上げたのも、費用便益比の問題でした。一般的な話として、基準を適当に変えた上で費用便益比を無視するならば、将来に禍根を残すことは明らかです。いわんや、人口増加の期待が非常に薄い日本においておや。

 ただ、さいたま市が市議会に示した方針に、問題が全くないとは言えません。建設費が、概算で1390億円ほどになっているのです。これでも「建設内容のコスト縮減は図れた」というのですが、大丈夫なのでしょうか。

 さいたま市は、工期を18年から14年に短縮すること、埼玉高速鉄道線沿線における「最新の人口推計で鉄道利用率の高い若い世代が1割以上伸びていることを加味すると、費用便益比が1・0~1・2程度に改善する見通しになった」という趣旨を述べたようです。たしかに、最近、土曜日・休日でも首都圏の鉄道利用者は多いように見受けられますし、岩槻駅まで延伸すれば東武野田線への乗り換え客も増えるでしょうから、費用便益比が上昇することは考えられます。2019年度までは乗車人員が順調に増えてきたことも、さいたま市の姿勢の背景にあるのでしょう(2020年度はCOVID-19のために落ち込みましたが、2013年度より多かったようです)。しかし、これが甘い見通しに終わっていないのかを検討する必要があるでしょう。

 私がこのように記したのは、埼玉高速鉄道線の運行本数の変化を見ているからです。埼玉高速鉄道線の場合、線内完結の運用はなく、全ての列車が東京メトロ南北線に直通運転していますが、南北線の列車の全てが埼玉高速鉄道線に直通する訳ではありません。朝夕ラッシュ時などを含めると面倒な話になるので平日日中に限定しておくと、2018年のダイヤ改正で赤羽岩淵駅から鳩ヶ谷駅までの区間で減便が行われており、2019年のダイヤ改正でやはり同じ区間で減便が行われ、南北線からの鳩ヶ谷行きの列車がなくなりました。これでも輸送人員が増えているので、朝夕ラッシュ時に増便するなど、メリハリの利いたダイヤ改正がなされたと言えるのかもしれません。

 今後、さいたま市は「速達性向上事業に関する計画」の素案を作成することとしています。この素案を埼玉高速鉄道に示して事業化を要請する方針のようです。また、副市長や埼玉県副知事をメンバーとする会議の場も作る旨が、市議会において市長から述べられています。

 地図を見る限り、埼玉高速鉄道線が岩槻駅まで延長されるならば、利便性は向上すると思われます。JR東北本線、東武野田線、東武伊勢崎線およびJR武蔵野線で囲まれた地域は鉄道空白地帯であり、岩槻区はさいたま市で最大の面積の区であるにも関わらず、鉄道は東武野田線しかありません(駅も岩槻駅と東岩槻駅しかありません)。さいたま市の利便性の向上という観点からすれば、埼玉高速鉄道線の延伸は必要かもしれません。ただ、延伸部分の開業はだいぶ先のこととなります。工期を14年として、2025年中に着工とはならないので、早くとも工事が始まるのは2026年中でしょう。そうすると2040年の開業となります。実際にはもう少し先のこととなるでしょう。その時までに、埼玉高速鉄道線の輸送人員数がどのような変化をたどるのか、など、不確定な要素は少なくありません。

 また、岩槻駅から蓮田駅までの区間については、今回の延伸要請の対象になっていません。蓮田駅は名前の通り蓮田市にありますから、さいたま市だけでどうにかなる話ではないのです。埼玉県、さらには国土交通省も関わらざるをえません。今後の人口動態予想などを念頭に置くと、実現不可能とまでは言わないまでも、かなり困難ではないでしょうか。もとより、地元では延伸を期待する声もあることでしょう。何せ、1924(大正13)年から1938(昭和13)年まで、蓮田駅を起点として岩槻駅(現在の東武野田線岩槻駅とは異なります)を経て神根駅(現在は川口市の領域)まで武州鉄道の路線が通っていたのですから。

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電子辞書も過去帳入りか……

2025年02月15日 07時00分00秒 | 社会・経済

 皆様は電子辞書をお使いですか?

 私は、カシオ計算機のEX-wordを持っています。XD-GW7150という機種で、ドイツ語辞典の機能がついています。2007年3月24日に梶ヶ谷で、42700円で購入しました。それ以来、国語辞典、英和辞典、和英辞典、独和辞典、和独事典などとしてよく利用していました。およそ18年前に入手したものだけに、画面はカラーではありませんが、現在も十分に使えます。

 こんなことを記したのは、朝日新聞社のサイトに、2025年2月14日20時1分付で「カシオが電子辞書の新規開発を中止 学校でのPCやタブレット普及で」という記事(https://www.asahi.com/articles/AST2G3HN0T2GULFA027M.html?iref=pc_ss_date_article)が掲載されたからです。

 短い記事で、見出しだけで内容がわかるようなものですが、読んでみて「そうだよな」と思いました。私自身もMacBook Pro、MacBook Air、iPhone、iPadで検索をかけたりすることが多いからです。カシオが新規開発を中止するのもまさにこれです。需要が減ったという訳です。

 カシオ計算機が電子辞書を発売したのは1981年です。それから40年以上が経過し、現行の機種については生産および販売を続けるとのことですが、いつまで続くのかはわかりません。2024年に日本国内で販売された電子辞書の約8割はカシオの製品だったのですが、他社を含めた電子辞書の総販売台数は2019年から7割も減ったそうです。

 それにしても、電卓はすごいものです。これだけスマートフォンだのタブレット端末だのが普及しても、電卓は家電量販店や文具店などで見かけるからです。iPhoneなどの電卓アプリは関数計算もできるので面白く、よく使っているのですが、頻度で言うならば電卓とよい勝負というところでしょうか。

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川崎市内での幼稚園バスはどうなるか……

2025年02月15日 01時00分00秒 | 社会・経済

 2025年2月14日になって気付いたのですが、神奈川新聞社のサイトに、2025年2月5日19時33分付で「幼稚園バス運転手の派遣打ち切りへ 業界大手、川崎市内の複数園に通達」という記事(https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1145927.html?cx_testId=361&cx_testVariant=cx_1&cx_artPos=2&cx_experienceId=EX0BUR8TSP43&cx_experienceActionId=showRecommendations091KYF40IC3F666#cxrecs_s)が掲載されています。

 有料会員でないと全文を読めないのですが、実際には2023年に始まっていた2024年問題が年を越しても続いているということで、気になり、ここで取り上げておきます。

 見出しに幼稚園バスとあるのは、幼稚園の送迎バスのことです。

 川崎市川崎区にある浅田幼稚園をはじめとして、川崎市内のいくつかの幼稚園に送迎バスの運転手を派遣しているのが、みつばモビリティという東京都の会社です。この会社が、2025年1月に、2024年度限りで市内の複数の幼稚園に対し、運転手派遣の契約を打ち切ることを伝えていました。理由は、そもそも運転手が不足していること、在職中の運転手が高齢化していること、人件費が高騰していることです。さらに、2025年3月末に定年を迎える運転手がいること、運転業務を担当していない従業員が代行することもあったことも、背景にあったようです。まさに2024年問題そのものです。

 「どおりで!」という言葉が頭の中に浮かびました。最近、あまり幼稚園や保育園の送迎バスを見かけなくなったと思っていたからです。

 みつばモビリティは、幼稚園バスを複数の幼稚園でシェアして運行するなどの形をとることも考えているようです。この手はあるでしょう。

 また、上記神奈川新聞社記事には、次のように書かれています。

 「1月下旬まで契約解除を通告しなかったことについて、『採用活動を一年を通じて行っていた。最後まで続けないと(来年度の状況が)分からず、本当に努力をした結果』と説明。希望する幼稚園には営業の社員らを派遣し、今後の対応を話し合っているという。」

 さらに、記事は次のように続きます。

 「川崎市幼稚園協会の石渡宏之会長(54)は、今回の問題を重く受け止める。2月中の理事会で情報を共有して対応を検討することを明かし、『4月に全園が送迎バスを運行できる体制を取ることが最優先』と切望。重ねてこう訴えた。『この問題が深刻化する可能性もある。大型免許を持つ人が、現在所属する会社を定年などで辞めた後、幼稚園バスを運転してくれるようになってほしい』」

 無料で読める範囲では「一方的な通知に目を疑い…」で終わっており、何が書かれているのは気になりますが、ここで止めておき、読める範囲に目を通した限りで記しています。

 石渡氏の御意見も理解できますが、現実的な話として、まず、大型免許を保有する人がどれだけいるかという問題があります。次に、バス運行会社の退職者がバスを送迎バスを「運転してくれるようになってほしい」ということについては、やはり高齢になればなるほど(個人差はあるといえども)自動車の運転能力が衰えてくるという厳しい事実を指摘すべきでしょう。川崎市や横浜市でも、運転手不足などで路線バスの減便が行われるほどで、その中で幼稚園の送迎バスを維持するというのも難しいでしょう。さらに記すと、川崎市内でも幼稚園が減っているようなので(実際に、2024年3月で閉園した幼稚園を知っています)、中長期的な視点も必要となるでしょう。

 今回、この話を取り上げたのは、実のところ、私自身の生活環境とも関連します。大東文化大学の板橋校舎、東松山校舎のどちらにもスクールバスがあるからです。私は、板橋校舎に向かう際には都営三田線の西台駅から歩きますが(徒歩で10分程なので)、東松山校舎に向かう際には高坂駅からスクールバスを利用します(駅からかなり離れているため)。大東文化大学に限らず、郊外キャンパスを抱えている大学の多くはスクールバスを運行しています。影響が出るのではないかと思いながら乗っていました。

 ちなみに、どうでもよい話ですが、私は川崎市立の、送迎バスなどない幼稚園に通っていました。

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実証実験を行う意味はあるのか

2025年02月01日 07時00分00秒 | 社会・経済

 2025年1月29日に、芸備線再構築協議会の第4回幹事会が広島市で開かれました。朝日新聞社のサイトに、2025年1月30日の10時15分付で「『運行本数増やして実証事業を』芸備線の再構築協で自治体側が主張」(https://www.asahi.com/articles/AST1Y4GXWT1YPITB00BM.html?iref=pc_preftop_hiroshima)として報じています。以下、引用文は全てこの記事によります。

 幹事会において、沿線自治体は「運行本数を増やした上で、芸備線の潜在的可能性を追究する実証事業を実施するべきだと主張した」とのことです。記事によると、この主張を切り出したのは広島県の地域政策局長で、芸備線の運行本数が少ないために「実証事業を考えるうえでの『ボトルネック(支障)になっている』」と述べたそうです。当たっている部分もありますが、逆に、今、実証実験を行う意味があるのか、と考えてしまいます。JR西日本は、設備などの制約をあげています。つまり、JR西日本は増便に消極的であるということでしょう。ただ、このあたりはどうなるのかわかりません。芸備線再構築協議会は、目下、アンケートや経済効果の試算を進めており、2024年度中にとりまとめた上で20205年度より実証事業を行う意向であるためです。国土交通省中国運輸局は、実証事業の具体的な中身として(勿論、試案です)「駅とバス・タクシーなど二次交通との連携強化や、観光客誘致など」をあげています。芸備線沿線の状況、事情をよく知りませんが、「二次交通との連携」を強化するとしても、バスの本数を確保できるのでしょうか。類似のことはタクシーについても言えます。

 3月に再構築協議会が開催されるとのことなので、実証実験が行われるのか、行われるとしたらいかなるものであるのか、注目です。

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川崎市でも自動運転の実証実験を

2025年01月29日 15時15分00秒 | 社会・経済

 人口減少で公共交通の先行きに暗雲が垂れ込める中、日本でも自動車の自動運転についての実証実験が行われることが多くなりました。川崎市でも、2025年1月27日または28日に実証実験が始まりました。朝日新聞社が、今日(2025年1月29日)の10時45分付で「路線バスの自動運転 川崎で実証実験開始 東京・大田区結ぶルートも」(https://digital.asahi.com/articles/AST1X4Q1CT1XULOB018M.html)として報じています。

 この実証実験ですが、2027年度から、自動運転のうちの上から2番目であるレベル4での営業運転を目指すというものです。もっとも、いきなりレベル4で始める訳ではありません。

 まずは川崎市川崎区内のルートで、川崎病院線(川崎駅東口〜市立川崎病院)、レベル0です。国土交通省によると、レベル0は「自動運転を実現するための技術(運転自動化技術)が何もない状態」です。つまり、川崎病院線では自動運転は行われないということです。これが実証実験なのかと疑いたくなりますが、どうやらデータの蓄積が目的であるようです。

 次に、川崎市から東京都大田区までのルートで、多摩川スカイブリッジを経由する羽田連絡線(大師橋駅〜天空橋駅)、レベル2です。やはり国土交通省によると、レベル2は「アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方を、部分的かつ持続的に自動化した状態。自動運転ではなく運転支援」です。厳密な比較ではないですが、都営三田線などで採用されているATOと同じようなものでしょうか。

 なお、車両は国から全額補助を受けた上で川崎市がおよそ9900万円で購入したものであり、最新型EV車両、しかもバッテリーの性能も高められています。高度な3次元地図情報、センサー技術も搭載され、最高速度は自動運転時で35km/hです。少し遅いような気がしますが、仕方のないところでしょう。運行は川崎鶴見臨港バスが担当するとのことです。

 2月までの実験の結果によって、自動運転のレベルを上げていくということでしょう。実証結果が公表されるかどうかはわかりませんが、公表されるべきでしょう。そうでなければ、交通安全への不安が高まるだけですから。

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ニュータウンを通る私鉄が不便になっていく……

2025年01月14日 00時00分00秒 | 社会・経済

 2025年1月12日の夕方に、京阪神地区の交通事情に関する記事で気になる記事2本が朝日新聞社のサイトに掲載されていたことは、昨日(2025年1月13日)に書きました。今回はもう1本の記事、「ニュータウン最寄りの私鉄でも異変 直通運転消えて『乗り換えが…』」(https://digital.asahi.com/articles/AST162JWVT16OXIE030M.html)を取り上げます。

 この記事の舞台は、大阪府最北端の駅、妙見口駅が所在する豊能町と、大阪府最南端の岬町です。

 まずは豊能町です。阪急宝塚線の川西能勢口駅(兵庫県川西市)を起点とする能勢電鉄の妙見線が通り、妙見口駅も同町にあります。2023年12月に、妙見口駅から少し離れた場所にあった黒川駅を起点とした妙見の森ケーブルが廃止されたことを御記憶の方もおられるでしょう。

 能勢電鉄を利用したことがないので、よくわからなかったのですが、2022年12月のダイヤ改正で能勢電鉄の運行系統が大きく変わりました。これが、豊能町のニュータウンの住民に少なからず衝撃を与えたようです。

 先程、妙見線は川西能勢口駅から妙見口駅までの路線である旨を記しました。現在も正式な路線区間に変わりはありません。また、能勢電鉄には、妙見線の山下駅から日生中央駅までの日生線という支線があります。このような路線図を見れば、少なからぬ人は、妙見線の全線通し運用が中心であろうと思うでしょう。

 しかし、2022年12月のダイヤ改正により、現在は妙見線が山下駅を境に分割されているような実態となっています。すなわち、川西能勢口駅発着の普通列車の大部分は川西能勢口駅から日生中央駅までの運行であり、一方で妙見口駅発着の普通列車の大部分は山下駅までの運行となっています。これでは、日生線が川西能勢口駅から日生中央駅まで、妙見線が山下駅から妙見口駅までであると勘違いされるかもしれません。

 能勢電鉄のサイトで確認してみたところ、妙見線の全線を通して運行される電車は、下りが平日に2本(川西能勢口駅5時18分発および23時54分)、土曜日・休日に1本(川西能勢口駅23時50分発)のみ、上りが平日に3本(妙見口駅5時10分発、5時28分発および5時47分発)、土曜日・休日に2本(妙見口駅5時10分発および5時32分発)のみとなっています。原則として、川西能勢口発日生中央行きの普通列車は山下駅で妙見口行きの普通列車に接続することになっていますが、時刻表をよく見ると接続のない列車もあります。妙見口発山下行きの普通列車も同様であり、原則として山下駅で日生中央発川西能勢口行きの普通列車に接続しますが、そうでない列車もあります。

 このような運行系統の変更のため、豊能町にある光風台、ときわ台の住民にとっては妙見線の利便性が失われることとなりました。川西能勢口駅で阪急宝塚線に乗り換える必要はあるものの、大阪梅田駅まで1時間もかからないからでしょう。

 しかし、能勢電鉄の乗降客は1990年代後半以降、減少が続いています。ニュータウンと言っても建設当時にnewであっただけで、しばらく経てば住民の高齢化が進みます。また、ニュータウンで育った若年層がそのニュータウン、さらに言えば郊外を出てしまうのでしょう。近畿地方にはニュータウンが限界集落に近づいてしまうという現象もあるようです。

 そうなると、鉄道会社としても従来の運行本数を維持できず、減便ダイヤということになります。能勢電鉄の場合は、日生線の利用客が多いということで、川西能勢口駅を起点または基準としてそちらへの直通運転が優先されたということでしょう。しかし、妙見線の光風台駅やときわ台駅の周辺に居住する人にとっては不便になったという訳です。また、山下駅での接続時間も、人によっては足りないという意見があります。

 能勢電鉄の沿線ではない場所にあるニュータウンも、大同小異というところでしょうか。

 上記朝日新聞社記事には岬町も登場するのですが、こちらはニュータウンの話ではありません。南海本線のみさき公園駅から多奈川駅までの多奈川線が取り上げられています。私はこの路線に乗ったこともないので、詳しいことは知りません。ただ、多奈川線の途中に深日港(ふけこう)駅があり、かつては淡路島への航路、徳島までの航路がありました。また、南海本線の起点である難波駅から多奈川駅まで直通急行が走っていたとのことです。しかし、大鳴門橋、明石海峡大橋のために航路はなくなりました。それが1999年のことで、多奈川線の利用客の減少が続くことになります。

 そのためでしょう、2023年10月に南海電気鉄道がダイヤ改正を行い、多奈川線についてはおよそ4割減というダイヤのスリム化を行いました。岬町議会は見直しを求めて南海電気鉄道に対して要望書を提出したのですが、ダイヤの決定権はあくまでも南海電気鉄道にあります。多奈川線の利用実績が向上しない限り、岬町が望む方向でのダイヤ改正は行われないでしょう。

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大阪府の路線バス事情の一端

2025年01月13日 11時00分00秒 | 社会・経済

 昨日(2025年1月12日)の夕方に、京阪神地区の交通事情に関する記事で気になる記事2本が朝日新聞社のサイトに掲載されていました。いずれも「ニュータウンのいま」という連載の中の記事です。今回はそのうちの1本、2025年1月12日16時0分付の「路線バス廃止は大阪の郊外でも 『お金では解決できない』その事情」(https://digital.asahi.com/articles/ASSDW23GNSDWOXIE01ZM.html)を取り上げます。このブログで金剛バスを何度も取り上げた者としては、気になる事柄です。また、首都圏でも同様のことは起こりうるのです。

 上記記事で取り上げられているのは、まず大阪府の交野市です。京阪交野線とJR片町線(一般には学研都市線と言われていますが、正式には現在でも片町線です)が通っています。記事には「京阪電鉄やJRが走り、大阪市中心部まで20~30分」と書かれていますが、これは片町線のことでしょう。同線の終点は大阪環状線との乗換駅である京橋駅ですし、その京橋駅からJR東西線に直通し、北新地駅で降りれば大阪駅や梅田駅との連絡扱いで他社線と乗り換えられるからです。交野線であれば、枚方市駅での京阪本線との乗り換えが必要になります。

 それはともあれ、交野市には京阪バスが運行されており、京阪の交野市駅やJRの河内磐船駅を起終点にする路線があります。しかし、京阪バスは、同市内の路線のうち、4つを2025年3月に廃止することとしています。京阪バスのサイトには、東急バスと異なって営業所毎の路線図がないので(京阪バスの場合は分割されたりしています)よくわからないのですが、交野南部線(JR片町線の星田駅や京阪の交野市駅から妙見口のほうに向かう路線)が廃止の対象になっていることは確実のようです。

 京阪バスの路線図と交野市の地図とを見比べると、交野市の南部に妙見東、南星台など、いかにもニュータウンという場所があるのがわかります。その辺りの路線バスがなくなってしまうのは、住民にとってはたまったものではないでしょう。寝屋川市に向かう路線や急行バスは残るそうですが、路線の数が減るということは本数も減るということですから、不便になるのは変わりがありません。

 同市のニュータウンは1970年頃に開発されたそうですから、こうした所の分譲地を購入して居住した人が20代であったとすると今は70代、30代であったとすれば今は80代となります。地形のためか、自家用車の利用率は高かったようです。これは首都圏の多摩ニュータウンなどでも同じでしょう。しかし、住民が高齢になれば、自家用車の運転を控える、あるいは控えざるをえなくなります。路線バスが当たり前のように走っていた時には自家用車を利用する住民が多かったが、高齢化していよいよ路線バスが必要になった時には路線バスが廃止されるというのは皮肉でもありますが、実は因果応報的な話です。失礼な表現と思われることは承知していますが、記事に書かれている民生委員経験者の女性のコメントを読めば誰でもそう考えることでしょう。親孝行と路線バスは似たようなものである、とも言えるかもしれません。

 京阪バスが4つの路線を廃止するのは、御多分に漏れず、運転士不足です。実は過去に、採算が合わないために廃止するという話があったのですが、交野市は支援などをしていました。つまり、不採算であるだけなら沿線自治体による補助金などの支援が得られる可能性も高いし、実際に沿線自治体が支援をして路線バスを維持させてきたのですが、運転士不足ではどうしようもないということなのです。2024年8月に京阪バスが交野市に対して路線の廃止を通告した際に、交野市都市まちづくり部の次長氏は、記事の表現を借りるならば「『交渉で何とか存続できる次元ではない』と悟った」、「お金を出せば解決する話ではなくなってしまった」と語っています。そう、金さえあれば何でもできるということにはならないのです。

 京阪バスの運転士不足は慢性的なもので、別に京阪バスに限らず、日本全国のバス会社の多くに共通しています。京阪の場合は、2016年度末において運転士が990人でしたが、2024年度末には829人に減ります。新規採用も難しい状況で、京阪バスの「運転手の平均年齢はこの8年間で47.7歳から52.3歳に上昇するという」のです。ここまできたら、交野市だけで解決できるような問題ではなくなります。まして、働き方改革による残業時間規制が重なっているのです。

 なお、京阪バスが2025年3月に廃止するのは、交野市だけでなく、枚方市、守口市、門真市、八幡市(京都府)の路線の一部も含まれています。京阪本線の各駅から枝分かれするようにバス路線を伸ばすという、従来であれば当たり前であった交通体系は完全に過去のものになりつつある、と言わざるをえません。また、ついでなのか何なのかよくわかりませんが、記事には「阪急バスも24年9月で大阪府に接する京都府大山崎町で路線の大部分を廃止した」と書かれています。

 さらに、記事には寝屋川市の事情も書かれています。ここからは自家用有償旅客輸送の話になるので、このブログでは取り上げません。ただ、自動車運転免許を所持する者、とくに公務員であれば、誰でも自家用有償旅客輸送の担い手となりうることは記しておきましょう。今後、市町村の公務員になるためには普通自動車運転免許の所持が必須となる時代も来るかもしれません。

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