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ベラルーシ大統領選の混乱&ロシア世界

2020-08-11 18:41:31 | 欧州情勢複雑怪奇

日曜日にベラルーシの大統領選挙があって、ルカシェンコがまた当選した。

これを巡って、過去3週間ぐらいベラルーシとロシア、ウクライナという、まぁ要するにロシア世界はこの話に注目が集まっていたといっていいかと思う。といって、ロシア連邦のロシア人は別に固唾をのんではいないと思うが。

 

で、問題なのは、ベラルーシの国民というよりルカシェンコとその周辺といっていいんじゃなかろうか。ベラルーシは世界で最もソ連くさいままに存在しているので、なんとなく反欧米みたいに思ってる人もいるかもしれないが、そうでなくて、ルカシェンコたちはEU側におもねってるという点で、グルジアとかウクライナなんかと変わりはなかった。

ルカの計算では、ベラルーシが離れたらロシアは困るのだ、だから、the Westにくっついて、ロシアを牽制し、ロシアにくっついてthe Westを牽制しているつもりだった。

ところが、the Westは道楽でいわゆる東欧諸国に金を突っ込んでいるわけではない。というところで、次第にカラー革命要素がしゃれにならなくなった。

ならなくなったのに、ルカたちは自分たちが仕切れてると思ってた節がある。が、今回はウクライナに陣取る勢力が、ベラルーシをひっかけて、ベラルーシとロシアを離反させるために、わざわざプロジェクトを立ち上げて人を吊り上げるという手のこんだことまでやっていて、それにベラルーシ当局ははまり込み、だんだん抜き差しならなくなっていった。

Arrest of 33 ‘Russian mercenaries’ in Belarus may have been orchestrated by Ukrainian intelligence – newspaper investigation 

https://www.rt.com/russia/497371-belarus-arrest-russians-ukraine-intel/

 

というところで、まぁともあれ大統領選挙をやって、その結果を巡って、対立候補者の支持者が通りに出て、大騒ぎをし、それを迎え撃つベラルーシ当局は治安警察を出動し、何千人かを検挙するという大立ち回りとなった。

こんな感じ。

圧倒的な人数で治安当局者が出張って断固とした態度を取ることは、実のところ流血の惨事に至らせないためのレシピでもあるので、今回はあえて見かけからも強面であることがわかる態度を取ったものと思った。

つまり、ウクライナのマイダンをさせないですね。あれは、ヤヌコビッチが軟弱で、オバマが詐欺師だったという絶妙の極悪コンビネーションがあったればこそ流血の事態を招いた。(オバマが、事態をなんとかできるようなことを言ってヤヌコビッチはそれを信じて、武装勢力を積極的に排除しなかった)

 

で、次に、ルカは、抗議者たちはポーランド、UK、チェコから組織されていた

などど言い出す。

Lukashenko says protests were orchestrated from Poland, UK, Czech Republic 

https://tass.com/world/1187689

 

なんでウクライナがないんだろうと思ったりするが、これは何かの取引なのだろうか。

 

で、ある種お約束通り、対立候補者は、本当は私が勝っていた、投票も開票もインチキだ、と言い出す。

私としては、確かにインチキは随所にあったんだろうと思うけど、この候補者が勝ったというのはちょっとないんじゃないか、など思う。

ロシアのリベラルと同じで、自分を大きく思い過ぎではなかろうか。

 

今後どうなるのかわかりませんが、何千人かの拘束者をベラルーシ当局が調べることは確実なので、周辺のろくでなし国家群からの手引きなどが明らかになるでしょう。

 

■ プロット暴露の後出てきたプーチン

で、ロシアは、ルカシェンコの一人舞台に翻弄されつつ、最終的には、ロシア人、ウクライナ人がある意味人質になるようなこのプロットがどんなものかをロシア語メディアが書いて、明らかにした後に、投票2日前になってプーチンが登場した。

ロシア語メディアが報じた、ウクライナの阿呆たちによるプロットは、英語になっているものとしては、Moon of Arabamaさん(ドイツ人)がよく見ていた。

The 'Russian Coup' Plot In Belarus Was Faked By Ukraine

https://www.moonofalabama.org/2020/08/the-russian-coup-plot-in-belarus-was-faked-by-ukraine.html#more

 

で、ウクライナの詐欺プロットが明らかににって、プーチンが登場してルカと直接話をしたというのは、つまり、ルカを救ってやるって話だったんだと思う。

そう思って読めば、プーチンからルカシェンコへの、勝利おめでとうの短いメッセージはなかなか味わい深い。

あなたの統治が、相互に利益のあるロシアとベラルーシの関係のさらなる発展を、あらゆる分野で、Union Stateの枠組み内での緊密な協力、ユーラシア経済連合とCISの中での広範な統合、そして、集団安全保障条約機構内での軍事的、政治的つながりを促進するものとなることを願っています。

疑いもなく、これらの努力は兄弟の国であるロシアとベラルーシの中核的な利益に役立つものです。

 

“I hope that your governance will facilitate further development of mutually beneficial Russian-Belarusian relations in all areas, closer cooperation within the Union State, extensive integration within the Eurasian Economic Union and the CIS, and military and political links within the Collective Security Treaty Organisation.

http://en.kremlin.ru/events/president/news/63872

 

全部並べましたといった趣で笑ってしまった。

これは、言い方を変えれば、ここまでやってきた法的枠組みを変えるようなことがあったらロシアは承知しない、お前は潰れる、という意味だろうかね。

 

で、このUnion Stateというのは、ロシアとベラルーシが連合国家になりましょうという約束で、これは別にプーチン政権がやったものではなく、1997年にロシアのエリチンとルカシェンコその人が約束した条約。

だったらそうしましょう、というのがロシアの立場なわけだけど、これをルカは言を左右に、いろいろいろ、いろいろ、訳のわからないことを言ってはやらない。

要するに、アメリカの下についていたロシアとベラルーシは連合国家になってもいいが、アメリカと他人になったロシアにベラルーシをくっつけてやるわけにはいかない、と誰かが言っていて、その誰かにルカは義理立てをせざるを得ないのだろう、というところ。

だがしかし、だんだんシャレにならなくなってきたルカちゃん。

今後どうなるのか、注目だわ。

 

■ おせっかい国家群の無駄

で、ここが注目なのは、これはその他の国々の取り組みが無駄になるからでもある。

要するに本当は、こんな話はロシア帝国以前からの兄弟たちが勝手に国家の枠組みを作ればいいだけの話。

だがしかし、過去30年間、アメリカ、EU、日本、そして途中までは中国などが、よってたかって、ソ連復活阻止!!とかいう目標のもとに、ロシア圏の粉砕を目標にしていた。

様々な外交関連の費用がこのロシア圏解体のために向けられている。アホみたいに熱心だったよなぁって感じ。日本の外務省ももちろんそう。日本人で中央アジアに真剣に興味を持ってる人なんて非常に少ない。にもかかわらず、そこに金を注ぎ込み、なんかやってるみたいな話を売り込む。この努力たるや馬鹿が屋根に上ってふんどしぴらぴらさせているようなものだった。そしてロシア人の恨みやら軽蔑を買う。馬鹿としか言い様がないことを営々とやってきた。

だから、ベラルーシとロシアが連合国家になったり、あるいはベラルーシが単にロシア連邦の一部になったり、さらにはユーラシア経済連合がこのまま上手く発展するようなことがあれば、それはすなわち、それらおせっかい国家群の金と努力が無駄でしかなかったことが確定する。サンクコスト考えたたんだろうか、ということになる。

土台、ロシア集団はアイデンティティを持った集団として1000年ぐらい続いているんだし(大きさはさまざまだとしても)、現状ロシア語話者は世界中で2億8000万人ぐらいいると言われている。そういうロシア人集団を、一時の経済の浮沈で適当に崩せると思う発想が馬鹿げてる。まったくの馬鹿。見上げたもんだよ屋根やのふんどし的に馬鹿。

一人前の国家になってからせいぜい100年ぐらいしかない、アイデンティティの半端なアメリカ人にそうそう振り回されてたまるもんか、って話でしょう。(独立戦争で立派な一人前になったというのは、アメリカ人のプロパガンダ。1900年ぐらいまでは、拡大中の植民地にすぎない)

そういえば、2014年のウクライナ危機の時、UKの新聞のコメント欄で、クリミアはお前らが家出する前からロシアだとアメリカ人に悪態をついていた人がいたけど、そういうセンスって大事。

 

「上の方」が馬鹿ばっかりだから、下の方は苦労するんだよ、バカバカしいや、などと言える一件だなと思う。


 


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2 コメント

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無い袖は振れない西側に裏切られたベラルーシ (ローレライ)
2020-08-12 13:12:19
無い袖は振れない西側に裏切られたベラルーシの二股外交!
返信する
ヤヌコビッチに続きたいの? (特命希望)
2020-08-13 19:56:26
>ルカの計算では、ベラルーシが離れたらロシアは困るのだ、だから、the Westにくっついて、ロシアを牽制し、ロシアにくっついてthe Westを牽制しているつもりだった。
どこかで聞いたことある話だなあ。ルカシェンコさん、西側諸国を買い被ってると寝首掻かれますよ。
返信する

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