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エルベ河邂逅の日 & アルメニア人大虐殺問題

2021-04-26 20:20:17 | 欧州情勢複雑怪奇
1945年4月25日、エルベ川で米ソの軍が出会った日。それを記念して今年もまた、存命中のアメリカとロシアの元軍人の人が会っていた。



会わせてやってよ、としみじみ思う。

1945年以降の政治状況によって米ソが敵対したとしても、1945年5月9日までに起こった出来事は嘘ではない。その嘘ではない出来事のために命をかけた米兵、英兵は存在する。それなのに、その人たちは、英米において、ロシア側の「思惑」だの「たくらみ」に乗ってはならん、などと言われて、大っぴらに語ったり行動しないようプレッシャーをかけられている。

本当は、ソ連の人たちの多大なる犠牲のもとにナチは打ち破られたのだという事実を見ないという「思惑」があるのは英米の側なのだと気付かないとならない。

去年は、トランプ大統領がエルベ河の出会いを記念した声明を出していた。

プーチン&トランプ:エルベ河の邂逅を記念して共同声明

まぁ、これもまたトランプを蹴落とさないとならない一つの理由だったでしょう。


■ アルメニア人虐殺

トランプを蹴落として出てきたそのバイデン政権は、4月24日、オスマン帝国によるアルメニア人の大量殺害をジェノサイドだと認めたそうだ。

バイデン大統領は、「106年前の今日始まったジェノサイドで命を落としたすべてのアルメニア人」を追悼するとの声明を出した。バイデン氏は「アルメニアの移民は数えきれない方法で米国の発展に貢献してきたが、彼らが悲しい歴史を忘れることはなかった」と指摘。「痛みを直視し、歴史を認識する。誰かを責めるためではなく、こうした出来事が繰り返されないことを確かなものにする」とした。 

米が虐殺と認定、オスマン帝国のアルメニア人殺害 トルコ反発


この件は、バイデンが認めようが認めまいが、なんというか、歴史的事象として、ジェノサイドでございましたという点は動かないでしょう。

アメリカ歴史学会も、大量殺人、大量追い出しが生じていたことを否定したり、疑問を呈したりしたことはないのでは?

そもそも、オスマンはトルコ人の国じゃないのに、そこを解体した後をトルコ人の国にした、ってのが躓きの一歩だったとも言えるでしょう。古い民族が多数共存していたところに、こんな仕様を持ってくるのが悪い。

アナトリア半島東部の、ずっと前からアルメニア人が多数存在していたところでアルメニア人共同体を破壊して、追い出しました、みたいなところなどは、まさに純粋なトルコのための一歩みたいな感じ。

そして、アルメニア人ディアスポラ集団、つまり在外アルメニア集団というのは、この時に追放された人たちが多いので、勢い、西側やアメリカでこの件を知らしめることとなった。


だから、これを政治問題にしたところが、アメリカの質の悪いところであり、かつ、トルコの失敗だと思う。

こういう態度を誘発するわけよ。

 


NATOのメンバーなので虐殺も虐殺じゃない、という態度を許し、あるいは政治的駆け引きに使ってしまった。しかし、アルメニア人は消えないし、周辺民族も消えない。

他方で、かばってきたNATOは別に千代に八千代に続くものでもない。

民族の将来にとってどちらが望ましいか考えるべきでしょう。もちろん、これはトルコだけの話ではない。


■ 今回

で、一般論はともかく、今回、エルドアンはバイデンにこれを政治利用された格好かなと思う。つまり、バイデン政権は、エルドアンはもういらねー、と言いたいのではあるまいか。

現在エルドアン政権は、八方に手を出し、八方でコケるを繰り返す、まったく信用できないものになってる。国はまぁ単なるテロリストの親方みたいな国だし。

去年からは、アゼルバイジャンにドローン売ってみたり、そうかと思えばウクライナにも売ると言ってみたりと、まぁNATOの現地の悪だくみのキープレーヤーとして相変わらずのふるまいを続けてる。

だがしかし、国内経済はがたがた、リラ安が続き、高いインフレに悩まされている。多分、そういう中でなにがしかの小さなディールのために、これらの悪さをしているのだろう、とも思える。

最近は、ボスポラス海峡で強い立場を持つことから、またまた何か企んでいる風でもある。もちろん、ロシアを地中海に出さないためなら何でもしたがる西側さんの好意を買おうという話。

だけど、そうすることによって、ますますイランとロシア、イランと中国の関係が緊密になれば、ボスポラスの価値は相対的に下がる。

カスピ海からイラン領内を通ってシリアのISを攻撃したロシア海軍のミサイルを忘れたのかい、エルドアン、という話。

また、シリアへの石油はイランが供給しているので、紅海、スエズ運河で西側(というかイスラエル?)に狙われやすいルート。そこで、ロシア軍がこのタンカーを護衛したりしている。ここでもシリアを巡ってロシアとイランの協力関係が強まる。

ということなので、西側にとってトルコは相変わらず価値のある場所だし、それが故に俺様たちはお前に任せているのだ、といった調子で見ているんだと思うけど、東地中海情勢はぐじゃぐじゃ。

バイデン政権は、海千山千のエルドアンみたいなのではなく、から~っとすっからかんのリベラルを押し込みたいのであろうと思う。ドイツも、なんのかんのと強情なメルケルではなく、グリーンを押し込んでいる。

全部、すっからかんにしたら全部簡単にコントロールできると思ってるんだろうが、問題は、コントロールできると思ってる主体(要するにナチリベ/ネオコン)が、それほど利口でもないという点(笑)。

最低限控えめにいっても、黒海の北側の人たちとか、東シナ海の西側にいる人たちは、相当賢い。


■ いろいろ考えてみる

全体的な感じとしては、クリミア戦争の頃に似てるかも。

クリミア戦争はクリミアだけ見てるといかにも英仏がロシアを叩きましたと書きたくなる話で、実際それが売り込まれたわけだけど、クリミア以外にもロシア軍はいて、そっちがコーカサスを降りてきて、普通にオスマンに勝ってた。英仏はパニックしていく。露土戦争の結果、オスマンは壊れる。

(1862年頃)緑がオスマン帝国。これが壊れる話なのでとっても大変。




そこでドイツ人を引き入れて、露土戦争の結果をインチキして覆させ、かつ、極東に反ロシアの拠点としての日本を作ることに成功。そこからロシア帝国のぶち壊しに成功。

今回と前回が異なるのは、シリア、イラン、イラク、パキスタン、インドあたりに主権があって、そうやすやすと動かず、さらに、中国が巨大でそこが資金を通じて支援していること。英仏独米などに広がる巨大金融団体は、ロシアは叩くが中国は叩かない。儲けさせてもらっているから。

ロシアにとって中国との関係強化とは、それ自体重要であるのみならず、三歩先で敵を動けなくさせる1つの仕掛けでもあると思う。



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1 コメント

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タブーされた米露連携時代! (ローレライ)
2021-04-27 18:03:59
アメリカでタブーにされた米露連携時代の次はトルコ切り捨て外交で、裏切り切り捨てがアメリカの外交である!
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