シリア問題を解決するために先週ミュンヘンでシリア政府側とアサド排除側で一応の合意が作られた。
ケリー国務長官、ラブロフ外相、国連のデミストラの三氏が並んで記者会見をした映像を見た人も多いでしょう。
Lavrov, Kerry discuss concrete steps on military cooperation in Syria in ‘excellent’ Munich meeting
https://www.rt.com/news/332389-kerry-lavrov-syria-cooperation-us/
その時ケリーが言っていたのは、紙には書いた、後はこれを両方の側が守らるかだ、だった。
シリアの一般国民からしたら、なんでサウジだのトルコがシリアを分割しようとするのをシリア政府軍とそこが正式に要請したロシア軍、イラン軍が防いで悪いのだ、という話なのだが、世の中はこのように推移する。
で、要するに、問題の核心は、サウジ、トルコ、一部アメリカ、一部欧州、そしておそらくはイスラエルが、シリアを分割しようとして、その仕掛けのいったんとしてシリア、イラクの中間にある石油資源をただただ強奪していたました、という話。
それが問題の本質。で、アメリカ国務省、イギリス外務省が圧力をかけているのであろうと思うけど、世界中の大手、主要、よく知られたメディアはそうは書かない。なぜなら、彼らはそのシリア強奪チームの一部だから。
■ 予想通りに出て来たトルコ、サウジ
で、現状、予想通りサウジがかく乱っぽく動いて、最終的にトルコがクルド地区攻撃を理由としてシリア領内を爆撃している。ロイターの記事。
Turkey shells northern Syria for second day: monitor
http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-shelling-idUSKCN0VN09S
ジャーナリストのレポートに続いて、シリア政府が正式に自国領内がトルコ軍による攻撃を受けたと国連に書簡を出した模様。
Damascus confirms its army targeted by Turkey shelling
https://www.rt.com/news/332414-turkey-continues-shell-kurdish/
ということは、潜在的にはトルコ非難決議も可能になるよね、これ。シリアは主権国家として主張できるでしょう。ちょっとドキドキ。
やっぱり、シリア軍がアレッポを奪還して、トルコとの供給ルートをふさがれたことはトルコ、サウジ等々のグループにとっては許容できない、って話なんだろうね。
でも、そのルートは、要するにCIAが長年作ってきたルートだから、という見方でもいいらしい。ってか、NYTがそう書いていた。
ってことで、だんだんと「犯人グループ」の全貌がわかってきたようで、なんか、これって、いいかも?という気がしないでもない。
一方シリア軍は、ラッカを目指しているという話が流れている。ISとの本格闘争になるから、筋としてはわかるけど、これは大変だと思う。
地図はこの記事の中。
シリア軍、奪還作戦鋭意進行中
■ 51:49:0
そんななか、RTに興味深い記事が載っていた。
49%-51%: Germany, Russia, UK disagree on odds of Syrian ceasefire holding
https://www.rt.com/news/332373-security-conference-munich-syria/
ミュンヘンの記者会見の後の記者団との会談で、記者団が、今回の停戦合意はどのぐらいの確率で守られるだろうと尋ね、
ドイツのシュタインマイヤー外相は、51%と答えた。
ロシアのラブロフ外相は数字は出さないけど、停戦がなるかどうかは最終的には米軍がロシアと歩調を合わせるか否かにかかってる、と答えた。
ケリーは合意する時にはロシアと協調しないとならないというんだが、ペンタゴンは異なる声明を出すんだよ。目標は同じくテロリストをやっつける、なんだけどね。こういうことをアメリカが繰り返すなら、責任は彼らにあるからね。
とかなんとかいって、そこで司会者が、ってことは50%を下回るってことなのかな、と向けると、ラブロフは49%と言った。
そこに、イギリスのハモンド外相が割り込んで、ゼロだ、と言う。
そして、停戦合意はロシアが破る可能性がある、ロシアは、停戦合意が見込まれるmoderate opposition(穏健な野党勢力)を空爆している、とロシアを非難した。
という成り行きだったそう。
ここからわかるのは、ロシア、ドイツ、米の一部は停戦させたがっている、でしょうね。まぁ面子の常日頃の会話を見ていたらわかるけど。
で、予想通り、トルコ、サウジ、イスラエル等々の代理人を務めているのはイギリス、CIA、って感じ。というより、MI6とCIAと考えるべき?
そうやって考えてくると、冷戦を促したのはイギリスと軍産複合体という説を思い出させられる。
でも、大枠はそうでもちょっと違うかも、と思うのは、米軍は必ずしも「シリア侵略軍」を助けてるようには思えないってな動きが見える。そこで考えられるのは、前のウクライナの時にも私がひたすら主張してましたが、主にNATOにくっついている将兵 vs その他米軍、って感じで内部に亀裂があるんじゃないのか、ってこと。手っ取り早くいえば、NATO派遣軍が関東軍になっちゃってるって感じ。
■ 一方日本では
日本では、シリアで停戦ができないのはロシアのせい、という「シリア侵略軍」側に100%たった報道姿勢を取っている。さすが関東軍! (笑)
シリアでの戦闘停止巡り 米ロが対立
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160214/k10010408671000.html
関東軍―在満陸軍の独走 (中公新書 81) | |
島田 俊彦 | |
中央公論新社 |
世界最終戦論(世界最終戦争論) 戦争史大観 | |
石原莞爾 | |
呉PASS出版 |
一言でいえば、ボルシェビキ↓トロキスト的な世界観なんじゃないですかね。アメリカ秩序となるべきであるとマジで思ってる。アメリカ様の一極支配的という意味ではネオコン的です。