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激動金融:英中銀直接引き受け、FRBなんでも買う

2020-04-10 13:49:16 | 欧州情勢複雑怪奇

いやいやいろんなことが起こってる世の中。


英中銀、政府に短期資金融通へ 新型コロナで拡充

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57877040Z00C20A4FF8000/

【ロンドン=篠崎健太】英国の財務省とイングランド銀行(中央銀行)は9日、政府が一時的に資金不足になった場合に、イングランド銀が短期の資金を融通する仕組みを拡充すると発表した。新型コロナウイルス対策で財政支出の大幅増が見込まれており、政府が国債市場を通さず迅速にお金を手当できるようにする。資金繰りの緊張が国庫にまで及び始めたことを意味する。

 

これはつまり、中央銀行が政府が金がないので直接金出しますという話。

日経が次の記事で、財政ファイナンスとは違うと言いはってるけどやってることは同じ。

中銀が政府から国債を直接引き受ける「財政ファイナンス」とは異なるが、短期の融通とはいえ中銀が資金を直接供給する意味では似た性格がある。新型コロナによる世の中の資金逼迫の異常性を示す動きといえる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57898980Q0A410C2000000/?n_cid=DSREA001

市場に出さないってのがカギ。逆にいえば市場に出すことによって債権市場が世界のパワーを握ってますという仕組みが成り立つ。しかしこれでは対応しないと英財務相とイングランド中央銀行が掟破りをしているということ。

これができるなら、各国は国債乱発→通貨暴落→破綻、IMF/世銀に経済政策乗っ取られるという悪魔の循環はいらんのです、とも言えましょう。

だもんで、市場の信用こそ世界を導くこの世の光とでもいわんばかりの日経などが、そんなことじゃないですと言わないとならなくなってる、ってところか。

 

他方、米FRBの方は、なんでも債権持ってこい買ってやるという手段に出た。2008年の時もまぁこんなところ。

FRBの新たな資金供給は、米政権と議会が3月末に決めた2兆ドルの景気対策の一環だ。最大の柱は、従業員1万人以下の一般企業に、民間銀行を通じて6000億ドルを融資する制度の新設。民間銀が一度は融資するが、95%分はFRBが設立する特別目的事業体(SPV)が買い取る。事実上、民間企業に直接資金供給する緊急措置だ。

 

この仕組みの中で、低格付けでも購入する。つまり、資金を供給する。

主要中銀「禁じ手」踏み込む FRBが低格付け債購入

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57898980Q0A410C2000000/?n_cid=DSREA001

 

よく中国とかロシアを国家資本主義とか言う人がいるけど、国家資本主義の方がまだ現行の経済ルールに適合可能な骨格を持ってる。今アメリカがやってるのは(そしてその前に日本もだが)、ゾンビ主義とでもいうべきもの。

つまり経済不調で倒れるなら倒れろという仕組みを度外視して、死にそうでも救っちゃうという話。これは資本主義か否か以前に問題含み。

そもそも超低金利時代というのは、事業採算の見込みが先行き暗くてもずっと低金利で融資を受けられればやっていられる確率は一定程度あるので、見込みのない事業がずっと生き残る。これをずっとやってるとどうなるのか。人類の未踏の地なので今実験中って感じでしょうか。

 

■ 方向性

で、この動向は何を示唆しているのかといえば、要するに財務省が中央銀行の上に行くって話だと思う。

すると、1913年以来FRBは米国民を騙していたのだ云々の話につながって、ぬか喜びしそうだけど、財務省がグローバリストだったら単にもっと効率的に収奪体系ができあがるってだけだと思う。アメリカの方向はそっちでしょう。

 

ズベルバンクを中央銀行から取り戻して、外国への租税回避者から税金徴収する仕組みを滑り込ませて、危機対応で病院作りにいそしむ、国民のための経済を取り戻そうとする集団の財務省とは根本的な考え方が違うと申せましょう。

ロシア中銀、ズベルバンク株手放す

ロシアのチーム、イタリアの道路を走る&配当課税

 

アメリカ人が現在考えるべきだろう(考えたければ)と思われるのは、アメリカは国なのか賭場なのかってことではなかろうか。

中国、日本はこの中間って感じですね。40年ぐらい前の日本の国民は明らかにロシア型を希望していたと思えるんだけど、最近見てるともうそういう日本人は半分を超えないと思う。

 

 

■ 金を配ってる西欧州勢

で、これら金融的な大変革が起こる中、コアラじゃなくてコロナが来て(意味ない)、西欧州は国民に金を配る政策に熱心。

アメリカ、ドイツも配ってるけど意味あいといては明らかに一時金といった感じ。それに対してドイツを除く西欧州各国はもうちょっと制度的なことを考えている感じがする。スペインはベーシックインカムをやるらしいし。

この記事に各国状況がピックアップされてた。後で振り返るかも。

https://www.businessinsider.com/countries-offering-direct-payments-or-basic-income-in-corona-crisis-2020-4#denmark-will-pay-75-to-90-of-workers-salaries-on-behalf-of-employers-as-long-as-workers-arent-laid-off-2

 

で、これって多分、欧州中銀は米、英、日と同様なことはできないから、もっと大騒ぎになる可能性が高いという意味ではないのだろうか。

つまり、米、英、日は各国が中銀を持ってる。いずれにしたって国家権力の方がやる気になったら強くできるんだから(なぜなら国民国家だから)、いざとなったら各国財務省が強く出るのある意味当然(黒田さんは財務省の人)。

それに対して欧州中銀には、責任を持つべき財務省はない。ドイツが勝手にこれはみんな私のものと思ってる節は多いにあるけど、フランス、イタリアとは足並みが揃ってない。

各国民にはそこまで一蓮托生にならないとならない義理もなければ、覚悟もない。また、ドイツの優位性はそこまで大きくない。

ということで、ここに大問題がある。混乱時に、中銀・財務が国家内にある国と違う。リーダーもいるんだかいないんだかわからない。やたらに影のプレーヤーが多い etc.で波乱要因が特大。

そこで社会政策的に安定化させようとしているのではなかろうか、など思う。逆にいえば、ブリュッセル(EUの指令塔)の対応なんか待ってられないから各国が各国の国民の生活を支えようとしている、とも言える。その意味で、ブリュッセルは信頼されてないとも言える。

 

■ 思い出してみる戦後のイギリス

多分、戦後のイギリスみたいなものではなかろうか。イギリスは戦争していた時は保守党政権だったけど、終戦直前に選挙で負けて労働党政権となって、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」なる社会主義的政策を取った。

これはつまり、あれ以上国家機構に疑問を向けさせないための窮余の一策だったのではなかろうか。

イギリスは大量の戦時国債を背負って戦争を終えて、食料さえままならない状態で、ドイツよりもイタリアよりも遅くまで配給制度が残った。だから、どうやっても国家管理型に行く他なかったとも言える。

しかしそれだけではなくて、英財務相は、莫大な戦時国債をインフレの中金利を据え置いて返済計画を立てた。つまり、戦時国債を持っていた愛国心あふれる中産階級はずっと損をしていた(インフレ率の方がはるかに高いから)が、生活の方に忙しく、大量売りという話にはならなかったようではある。人々は戦争で生きていたことを喜んでるわけだから、借金の証文が5割引きになっても大したことがないと考えたことだろう。

だがしかし、ここで、もし、国民生活が安定していなかったら、戦時中の保守党政権のまま、妙に大きなことばっかり言ってる、いかにも金持ち集団の代表者みたいな人たちが前面に出ていたら、あるいは、食うに困って露頭に迷う人が続出したら、もっと大きなレジームチェンジを望む人たちは増えていた可能性があるのではなかろうか。

ゆりかごから墓場まで、みんな安心しなさい、とは、手元現金が必要だからとみんなして国債を売り出すという行動を阻止し、もってレジームチェンジなど努々起こさせないための便法だったのではあるまいかと思う。

ということで、こういうタイプの、体制保持のための社会主義的凌ぎ方、ってのが現在欧州で起こっていることなんじゃなかろうかと思ってみたりする。

 


 


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1 コメント

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Unknown (ローレライ)
2020-04-10 17:17:11
コロナ口実に企業向け生活保護政策の西側諸国、これがリベラルからソシアルの改革なのか?
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