田中宇さんが、ウクライナ危機は終わりだす、という記事を書いていた。
ウクライナ危機の終わり
2015年7月30日 田中 宇
https://tanakanews.com/150730ukraine.htm
(中略) 今年初め、露独仏の努力でウクライナ東部の停戦協定(ミンスク2)が締結された後も、米国は、停戦違反を繰り返すウクライナの反露的なポロシェンコ政権を支援し続けている。米国は、NATOや、欧州の対米従属状態など、自国の覇権体制を守るため、ウクライナの内戦を起こしてロシア敵視を強化し、米国が欧州を引き連れてロシアと恒久対立する新冷戦体制を作ろうとしており、危機はまだまだ続くというのが、これまで多い分析だった。 (ウクライナ再停戦の経緯) (安定に向かいそうなウクライナ)
ところが今、米国は突然、ウクライナの内戦を急いで終わらせようとする動きを始めている。7月16日、米国の圧力を受けて、ウクライナのポロシェンコ大統領が、東部地域に自治を与える憲法改定の法案を議会に提出した。同日、米国からヌーランド国務次官補がウクライナ議会に乗り込み、議会の3分の2の賛成が必要な憲法改定の法案が間違いなく可決されるよう、圧力をかけた。 (太字、私)
そうなんですよ。連邦化が正式に遡上に乗っ俎上に載ってきてるわけですね。
まぁ、平和的に長持ちしそうな解決法ってこれしかないわけですが。
で、こうなったきっかけと思しきところは、5月にケリーがソチを訪問し、ネオコン部代表みたいなヌーランドおばさんがキエフに直接乗り込んでいろいろやりだした時点か。で、おばさんの動きはウクライナ危機を扇動というよりは収拾しているように見える。
で、田中さんが書かれているように、こうした動きについて、米国はウクライナをロシアに売るつもりだ、いや売ってる、みたいな論調が出てきている。理由としては、イランを巡るものでロシアの協力が必要だから、とか、シリアのアサドを蹴りだすためにロシアと秘密協定ができたんじゃないのか、とかとか挙げられている。
しかし、どれもこれも、田中さんも示している通りロシアがアメリカに頼まれてやる、という話でもない。ロシアはロシアで独自にイランとの関係改善をし長期的展望も持っているわけだし、シリアもアサド以外に統合できそうにない以上、ここでアメリカに頼まれたのでアサドを裏切ります、なんて戦略をロシアが取るとは到底思えない。
そこで、一体何が起きているんだろう・・・というのが実は誰にもよくわからない。わからないが確かに様子が変わってる。
この2人、何を考えてるんでしょうね。でも、いつみてもいい感じなのがこの2人。
■ ウクライナはどうあれ兄弟 by ロシア
それはそれとして、ウクライナ。これは田中さんはそうお書きになってないけど、私の考えは去年から変わってなくて、、ウクライナについてはこうやって大騒ぎになった時点で、10年単位でみればウクライナはロシアとの兄弟関係にまた戻るだけ、と思う。
ウクライナをロシアから離すという陰謀は、誰もがロシアから離れると幸せになれる、みたいな幻想を持っている時がピーク。つまり、仕掛けている人が見えず、人々はあたかも自然にそう思ってる、となっている時がいいわけ。ところが、仕掛けているのが米とEUで、30年この方金だしてウクライナを釣り上げて来たことが見えちゃった以上、もう幻想はパンクっすね。
だから後は、ウクライナ側の政治状況が徐々に整って、西ウクライナを除く地域のウクライナの人々の方が自らロシアを、そういや兄弟だったんだよ、となるまでロシアは待つってことじゃないのかと思う。西ウクライナは骨がらみなのでどうしようもない。
で、そのための仕組みとして、ガスプロムは1年ぐらい前に、欧州側への天然ガス積み出しにウクライナを経由するのは2019年(だったと思う)まで、として、同時にウクライナ東部の工業地帯の各種先端的というか高度に軍事的というかの地域を、一部ロシアに移転したりしつつ再編していった。
ずるずるべったりでロシアとの交易で儲けているオリガーキを弱体化させ、あわせて、ウクライナを使ってロシアと欧州間に問題を起こすという仕組みの温床となっていた通過パイプラインを外しちゃう、という話ですね。
結果として、東部地域ではルーブル、ドルの取引が表だって行われるようになってるみたいだし、キエフとモスクワの出来の差は大きいよなぁとか思ってる人もさぞや多くなったことでしょう。
FTだったかの記事で日本語になったもので、ドイツはほおっておけばウクライナはいずれドイツ圏になるのだと焦らずに熟柿作戦を取っているとか書いているのがあったけど、私は逆だと思うけどね。
と考えてくると、この話は大きなシグナルだったんじゃないのかなぁとか思う。
ロシア上院、外国NGO活動禁止を求める
ソロス・ファンデーション、NED、フリーダムハウスみたいな有名どろこのNGOという名の謀略組織をロシアから追い出すという話。これらの団体はレーガン政権時代からソ連に入っていって、よく言えば民主的な社会のための制度作りに協力します、だったけど、要するに反ロシアのための工作機関だった。
それをロシアが正式に拒否しますといったというのは、実効値としては別になんてことはないと思う(だって、もうすでにカウンターの行動はとってるでしょう)。だから、なにかシグナルなんじゃないかのか、など思い続けているがなんだかわからない。
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