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「玉音放送」の原文と現代語訳

2015-08-02 14:54:33 | 太平洋情勢乱雑怪奇

玉音放送の原盤が公開されたのだそうだ。

それにあわせて朝日ではいわゆる玉音放送の本文だけでなくその現代語訳を添えていた。

「玉音放送」の原文と現代語訳
http://www.asahi.com/articles/ASH7G3JDXH7GUTIL021.html

改めて読むに、目頭が熱くならざるを得ない。そして、まさに戦後はここから始まったのだなとつくづくそう思う。

■ 意図は明白

原盤を公開するというのはマニアックにいえば大きな出来事かもしれないが、冷静に考えればそれほどのことはない。しかしこれがこのタイミングでなされたことに、おそらく大きな意味がある。

それは、戦後はこのようにして始まったのだということを多くの国民にしってもらいたいと今上陛下がお考えになっているから、ということでしょう。私はそう確信しています。

こういう人たちを否定している、というお話だと思います。ただ方法がエレガントなだけで。

「明治朝日本復興プロジェクト」とでも呼びたい

 

■ 思えば・・・

全編よくよく読むと興味深い。

例の有名な「耐え難きを耐え」とかいうところだけがずっとハイライトされてきたように思うが、思えばこれを詳細に語った特集とか番組なんてものは見た覚えがない。70年間あんまりつまびらかにされてこなかったのかも。

いろいろと興味深いところがあるが、今日一番目についたのはわたし的にはこれ。

先にアメリカ・イギリスの2国に宣戦したのも、まさに日本の自立と東アジア諸国の安定とを心から願ってのことであり、他国の主権を排除して領土を侵すようなことは、もとより私の本意ではない

曩(サキ)ニ 米英二国ニ宣戦セル所以(ユエン)モ亦(マタ)実ニ帝国ノ自存ト東亜ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他国ノ主権ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固(モト)ヨリ朕カ志ニ アラス

今読むと、いろいろ考えてしまう。もちろん、当時、あるいはその後10年ぐらいの間は、なんといっても天皇陛下の名によって行われた戦争に従事した人々が生々しい記憶を身体に宿しているわけだから、今更何を言ってるんだ、といった感じが優勢であっただろうと思う。そういうことを言うと、左翼がどうした、とか言いだす人々がいるんだろうけど、そういう人々というのは、単純にいって戦争のリアリティーがない人だと思います。

それはそれとして、「他国の主権を排除して領土を侵すようなことは、もとより私の本意ではない。」というのは、そここそ満州事変以降のことを言ってらっしゃるんだろうなぁと思う。

いいや明治朝日本は朝鮮に手をかけた時から侵略的だったのだ云々という考えを持つ人もいるだろうけど、でも、朝鮮王室を丁寧に遇していることから考えても、天皇陛下の周辺、あるいはコアの皇族の方々は、到底大アジア主義でもなければ大東亜共栄圏万歳主義でもなかっただろうと思うわけです。

このへんで書いた通り。

日本を守ることの意味

しかるに、我が国の一部ときたら、って話だと思う。もちろんそれを含めて戦前の日本の政治体制は壊れてました、といってもいいわけだけど。

どうやってああなっていったのかはこのご本が非常にいい。まさにタイムリーにこの夏の1冊!って感じ。「戦後史の正体」よりずっといい。

日米開戦の正体――なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだのか
孫崎 享
祥伝社

開戦の正体、とかいうわけのわからない名前になってるけど、日露戦争から真珠湾に至るまでに関係していた人々がどんなことを考えていたのか、多数の言が収 録されているのが非常にいい。そこから見えてくるものは個々人異なるという意味では「わかりやすい」本ではないわけですが。

プロパガンダに対抗するためには、わかりやすさではなく、誠実に事実や発言を負うこと以外にないんだということかもなとも思ったりする。カミユの「ペスト」の世界を思い出す。

ペスト (新潮文庫)
宮崎 嶺雄
新潮社




 

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)
孫崎 享
創元社

 

日米開戦の正体
孫崎享
祥伝社

 


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