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宴の始末(14) アレッポの戦い、いよいよ締め

2016-10-07 22:56:49 | 欧州情勢複雑怪奇

シリアはオバマの決定的なレガシーになるだろうと3日ほど前、インドの元外交官Bhadrakumarさんがアジアンタイムスに書いていた。もちろん、レガシーは良いことばかりではない。

Syria may turn out to be Obama’s defining legacy
http://www.atimes.com/syria-may-turn-obamas-defining-legacy/

 

で、今日、ラブロフ外相は、ロシアはシリア軍にアルヌスラをアレッポから逃すよう説得する用意がある、と言った。

Russia ready to support UN envoy’s proposal to allow Al Nusra to exit Aleppo with arms – Lavrov
https://www.rt.com/news/361911-russia-nusra-aleppo-arms/

 

これは要するに、包囲された東アレッポ、つまりアルヌスラ+NATO勢力のコントロール地帯をそのまま襲撃しないで、アレッポからこれらの勢力を、イドリブ(地図のオレンジのIdlibってあるところ)に脱出させろ、ってこと。

これを言うということは、アレッポ陥落が迫ってるということでしょうね。トルコ側へのルートは既にシリア・ロシア・イラン側が封鎖しているのでダメ。

包囲はどんな感じかということ、こういう感じ。緑がアルヌスラ+NATOの支配地で、赤が政府軍。最初は緑がつながってたところを、政府軍が包囲していって、左側から入っていた補給路を最後に遮断した。この作戦はほんとにうまかった。

 

アルヌスラを別のところに逃がせの意味は、民間人を含んだところで大激戦にならないようにしよう、犠牲を減らすってことでしょう。そして、NATO/USに、自分のケツを拭くチャンスをもう一度与えているということでもある。盗んだIdlibでどうするかは今後の成り行き次第だけど。

しかし、それが遂行できるか否かってのも山でしょうね。浅間山荘に立て籠もる的に立て籠もってもどうしようもないんだ、と誰が言いに行くか、でしょう。

春先までに、政府側が上の地図の左側の部分、Hama、Homsをしっかり確保して、さらに高い場所を確保していったのも戦略的に正しいかったね(というかそれを狙ったんでしょうが)。

が、しかし、この状況はロシアは大変だなって感じ。

というのはNATO/USが気狂いで何をしてくるかわからないというのもそうだけど、シリア、イラン、ヒズボラからしたら、アレッポでアルヌスラ+NATO/USをぶん殴りたいという心情は絶対あるでしょう。今や、シリア・イラン・ヒズボラのみならず、イラクからも1万人ぐらいのシーア派が参加してるっていう噂もあるし、パレスチナの人も最初から地上で戦ってるんだよね。つまり、シーア派総出でやってるとも言えるけど、じゃあスンニ派だからといってアルカイダが好きかっていわれたらそれも違うでしょう(笑)。

その状況を調整しないとなんないって、なかなか大変。でも逆にいえば、ロシアは北部中東域において、今まで考えられないほどの信頼を得てしまったとも言える。戦争のリーダーを務めたわけですから。

 

で、こういう状況であるにもかかわらず、ここ数日はニューヨークタイムスやらワシントンポストには、マケインらの投稿が載ったりしているらしい。いわく、ロシアが虐殺してる~って話ね。

この人たちそんなに何度も虐殺したら今頃アレッポはカラになってるんじゃないかと思わないんだろうか(笑)。何か、いわゆる西側のリーダーだとかいう触れ込みの人々がとんでもなくバカになってる。

でもこれらの愚か者たちにしてみれば、アレッポの完全陥落はシリア作戦の完全失敗を意味するから、この叫びはつまりシリアの子どもの心配をしているのではなく自分の心配をしているということ。

が、昔と違って別にアメリカ人が集団でマケインを襲って落ち武者狩りをするわけでなく、どうせ軍産複合体からの莫大な利益によって勝手に優雅に生きるんだろうにね。

やっぱりそうなると名誉がはく奪されることが怖いんだろうか? ねーよ、そんなのなのにね。ケツが丸見えのエプロンをしているおバカな感じのカツラをかぶったマケインを想像した。吐きそう。

 

ここしばらくの見ものは、西側にどんな理性が残っているか、だけでしょう。

 

■ ロシア非難の意味

わからないのは、この状況でロシア非難を繰り返したからといって何になるんだろう、ってところ。今更どうしようもないでしょう。

考え得られるのは、2つか。

一つは、だから米軍を出せ、ということ。これはストレート。

しかし、アルヌスラ(つまりアルカイダ)と正式に共同歩調を取ることの政治リスクは莫大すぎる。笑えるぐらい。そして、もしその結果ロシアと撃ち合いをすることになったとしてエスカレートしていくとすれば、NATO/USは、アルカイダを庇うために核戦争も辞さないと言ってるに等しい。

もう一つは、シリア住民をアルヌスラ+NATO/US側が大量虐殺して、それをロシアの空爆のせいだとする、みたいな作戦を考えてるんじゃなかろうか。

前者より後者がやり易いのは言うまでもない。メディアを抱え込んでいるわけだし、だってそういう人たちだから。

 


 

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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アルカイダの籠るアレッポ (ブログ主)
2016-10-08 10:28:27
いやいやほんと、あの人たちってどうしてこう他人をコマに使うのが好きなくせに下手なんでしょうって感じです。

逆に、ディフェンスに回るロシア、強いなぁとしみじみ。
これはアルカイダ戦争なんだって見えるようになっちゃったわけで、このマイナスの巨大なことといったらもう。

その意味で、ヒラリーが当選した方が犯人がわかりやすくなっていいんじゃないかと妄想してます。トランプは、要するにアメリカを救おうとしているって位置ですね。
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『ウクライナナチスの篭るベルリン』 (ローレライ)
2016-10-08 06:29:54
第三帝国最後の戦いが外人部隊な『ウクライナナチスの篭るベルリン』で行われたのとパラレルな展開になった『シリアアルカイダ戦争』ですね。
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