イギリスのメイ首相が、かつてイギリスが雇ったロシア人スパイが重体に陥っている事件で、ロシアのせいに違いないと議会で大見えを切り、ついには、36時間以内にロシア政府は返答すべきだと最後通牒を突きつけている。
元スパイと娘が重体、英首相「ロシア関与の可能性高い」
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3314303.htm
予想されるように、何度聞いても読んでも、実は英政府には、この事件がロシア政府のせいだ、あるいはロシアから来た誰かがやった etc.という証拠は何もない。
にもかかわらず、首相がこれはロシア政府がやった可能性が非常に高い、と議会で言いきっている。
つまりこれは、自分で嫌疑をつきつけるも証拠はなく、相手方に無実を証明しろ、さもなければ有罪だ、と言っているという恰好ですね。悪魔の証明が流行り出した模様。みなさん、the West を近代法制の国とかいうのはもう止めた方がいいかもしれませんね(笑)。
それに対してロシア側は、
プーチンは、「まず自分で片づけて、それから話に来い」と言い、
'Sort this out for yourselves first, then come talk to us' – Putin to BBC journalist on Skripal case
Published time: 12 Mar, 2018 13:57
Edited time: 12 Mar, 2018 14:29
https://www.rt.com/news/421050-putin-skripal-agent-reaction/
外務省のザハロワ報道官は、イギリス議会でサーカスが行われているとか言って非難。
問題のSkripalという男性は1995年にイギリスのMI6にリクルートされて、ロシアというかソ連の軍の機密を売った。その後それが判明してロシアで何年か刑務所に入っていたが、2010年のロシアとアメリカの間で行われたスパイの交換で、この人は要するに西側に引き取られた、と。で、この8年イギリスに住んでいた。
このリクルートしたMI6のグループを率いていたのではないのかというのが去年トランプを嵌めたロシアでの調査報告なるものを書いたクリストファー・スティール。
ということで、これって何か、プーチンじゃないけど、まさしく「そっちで解決しろ」という問題ではなかろか。
というか、そもそも、誰でも気づく通り、もしロシア政府がどうしてもこの男を殺したかったとしたら、なんでそんな悪目立ちするようなところで、悪目立ちするような方法で行う必要があるんだよ、でしょう。
どうなるんでしょうね、この話。
もちろん、メイが大見えを切ったということは、制裁をかける気なんでしょうが、まさかこのぐじゃぐじゃなケースを国連に持っていくわけにもいかないだろうから(それでも行くかもしれないけど)、イギリスが制裁しても他国はついて来る義務はない。
しかしここでアメリカが加わると、押しになる。
で、もしそれが来るとしたら、私としてはこの件は、折からのノードストリーム2の問題こそテーマではなかろかという気がしてしまう。
つまり、EUを絡めとって、ロシアと関係するなんて、まぁなんてことでしょう、と制裁に持っていきたい。
どうなるのか。メイの最後通牒が36時間だったので、今夜あたりがヤマね。
■ 続報
米のティラーソンがメイを支援して参入。
誰がやったかわからないが、イギリス政府の調査を信じ、これはロシアに責任がある可能性が高い(likely responsible)だそうだ。
https://www.rt.com/usa/421091-skripal-tillerson-russia-response/
この人が出てくるとますますノードストリーム問題のような気がするわけだが、しかし、成り行きからみるにロシア政府がスルーしそうな雲行きなので、何か返答させようとして買って出たという線もありそう。であればそれは何? 話をこじらせるためなのか、それとも別の展開なのか。楽しみだ。
■ 続報2
一方、米下院議会は、トランプとロシアの癒着があったか否かみたいな訳のわからない調査の結果、証拠は見当たらないと結論したらしい。
House Intel Committee Ending Russia Probe, Says No Collusion Found; Trump Responds
https://www.zerohedge.com/news/2018-03-12/house-gop-ending-russia-probe-says-no-collusion-found