さてさて、5月8日、9日の、欧州戦線終結を記念する日々の中で、予想通り、あいかわらず、アメリカとかイギリスの中からは、アメリカがナチを破った、イギリスがナチを破ったという言明が見られる。
つまり、昨年しつこく書いた通り、ナチを破ったのは実質的にソ連であるにもかかわらず、そこを無視してきた西側のあざとい様が今年もまた見えている。
だから、5月9日のモスクワのパレードが何を記念しているのか、何を思い出してロシア人が泣いているのかを絶対に見ようとしない。
そこから、軍事力を誇示しているソ連/ロシアがあんなことをやっているという視点になるわけですね。今年もロイターがそう書いていたらしいので、多分世界中の西側コントロール下の下僕メディアはそう書いているんでしょう。
Russia showcased its military might at a World War Two Victory Day parade, fueling patriotic fervor amid soaring tensions with the West https://t.co/UvDf44kAgc pic.twitter.com/SuTHkz1t3U
— Reuters (@Reuters) May 9, 2021
だがしかし、違うものは違うし、嘘は嘘でしかない。
ナチの被害。左から、相手にした師団数、航空機の損害、砲・銃器類、戦車。
どれをとってもほぼ75%が、ソ連によって壊滅された。英米(+α)は足しあげても25%
私はこれに、タイムラインも加えたいですね。西部戦線は最初はドイツ人が元気な時期だけど、最後は東部戦線で壊滅的な打撃を負った後なので、相当くたびれたドイツ人師団になっていた。それを叩いたのがノルマンディー作戦。
これを第二次世界大戦の分水嶺だった、などというのは冗談でしかない。しかしそれを映画だの言論を使って馬鹿みたいに広めてきたのがアメリカであり、それをまともにくらってるのが西側世界。
小さな嘘ならともかく、これだけ多くの人が関わった出来事を新聞屋が学者ごときがどれだけ嘘をこねくりまわしたところで本当になるわけではない。
このへんの話は去年まとめた通り。
2020年:the Westのナラティブ管理崩壊年
ここから1年経って、ともあれ、事実関係を認める人たちが去年と比べれば増えたでしょう。twitter見ててもそれはわかる。また、著作物のあるような人達の論考でも、欧州戦線でいえば英米の果たした役割は2割程度なんだから云々、といった文が入っているのも見た。
じいさまたちはもうどうでもいい。若い人たちがその毒に飲まれないことがわけても重要。
■ 差別感情の権化
で、結局どうしてこうなるのかというと、ナチと同様、西側の支配層というのは、「ロシア人」なら死んだってかまわないと思っているからでしょう。彼らには意思だの名誉なんかないと勝手に思いなしている。だから盗みに入っても無問題だと思ってるし、騙しても無問題だと思ってる。
「ロシア人」になんで「」を付けたかというとこれは西側から見た総称で、要するにスラブっぽい人たちはみんなRussians。ウクライナ人はもちろん、ポーランド人とかセルビアあたりの人たちも入る。
西側の人間が教え込まれている、アメリカがナチを破ったというのは相当に怪しい話で、実際最も決定的な働きをしたのはソ連の人々でした。
この膨大な犠牲を一顧だにしないのが西側が言う「人道」というもの。また、ソ連の人なら死んでも無問題というのが後の「反共思想」に脈々と流れる差別感情の源流だと思う。是非ともこれは崩壊させるべき。
WW2の決定的な勝者はソ連だよと人々が言うの巻
■ ヒトラーとスターリンの同一視問題
で、そういう差別感情の上にできあがっているからこそ、ヒトラーとスターリンを同一視して、ソ連とナチは同じだ、どっちも悪いぜ、あはは、といった調子を作れるんだろうと思う。
ここにあるのは事実無視というより、もう、道徳的退廃だと思うな、私は。
引き続き、この問題はロシアメディアがポータルとなって問題提起されている。ロシアメディアといっても国際メディアに寄稿するのはロシア人じゃなくて英米系の人で、単に、西側メディアではそれを議論できないからロシアメディアが場を提供している、という方が正しい。
27 million Soviet citizens lost their lives fighting the Nazis, Westerners comparing USSR to Hitler's Germany insult their memory
我が方を考えても、朝日新聞が取り上げられる気がしないでしょ? 世界中の主要メディアは、ソ連の人たちの体験とか言い分を無視してできているわけです。
尚、現状は、欧州議会がこの、ソ連とナチは同様に悪い論の主要な表出の場になっているので、ここが変わることができれば、多少はナチEU/USA/NATOにも変化があったと見ていいんじゃないかと思う。
そして、ウクライナで、SSガリチアを賞賛してパレードをしちゃう人たちをそのままにしっぱなしのEU/USAはどうするつもりなんだろうか。
West turns a blind eye to march honoring WW2 Nazi ‘SS’ in Kiev: Ukraine may not be a fascist state, but it has a fascism problem
この旗は、まぎれもなくナチ支配下のガリチア武装親衛隊の旗。
実際、もうナチもいないのに親衛隊気取りでいることが既に滑稽なわけですよ。だけど、笑いごとでないのは、この人たちは、ウクライナ内で大祖国戦争を戦った人たちを侮辱するという大きな役割を担ってる。
ビクトリーデーの催しに行く高齢者を侮蔑したり、行かせまいとヤクザなあんちゃんたちが騒動を起こしたり、ナチ式に腕伸ばした挨拶をしてみたりするわけ。もう、完全にイカレタ集団。じいさんたちが気の毒で気の毒で、現場にいたら私は殴りに行くかもしれないと思わされるものがある。
いい気になるこの人たちは、西側が背中についていると思ってるからますます増長する。
■ 極東
日本の場合は国ごと70年以上こうだったとも言えるところがある。結局、ソ連/ロシアの悪魔化のために、ナチ&大日本帝国シンパを飼っていたという構造は、実は同じだったってことなんでしょう。
ナチ・シンパのままでどこまで行けるのか
第2次大戦の結果を認められない唯一の国
■ ナチが好きだったと言い出すのか?
そして、ますます西側、すなわちUS/EU(+日本)が奇妙な立ち位置になってる。
最近毎年国連でやってる、ナチおよびネオナチの英雄化を禁止しましょうという提案に対し、このような結果が生まれる。去年2020年の結果はこんな。
賛成:130か国
反対:2か国(アメリカ、ウクライナ)
棄権:51か国
反対:2か国(アメリカ、ウクライナ)
棄権:51か国
棄権の中は、ヨーロッパ各国、英の子分、日本、韓国
ナチ英雄化問題と西側はケツが拭けないお話 2020
国連の公式の評決はここ。
西側諸国はまったく示しがつかない諸国になってる。