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日本の「核の野望」はどんな野望なのだろう?

2018-08-06 23:42:34 | アジア情勢複雑怪奇

日本列島の南半分はめちゃめちゃに暑いままだが、北半分は前線の南下と台風の接近に伴い相当涼しそうな気配になっている。

8月6日は、しかしながら、やっぱり暑い日だ。

 

と、それはともかく、北朝鮮が昨日、なかなかはっきりしたことを言ったらしい。スプートニクに出ていた。

北朝鮮、日本に「核の野望」と批判

https://jp.sputniknews.com/asia/201808055194189/

「日本は自身を世界で唯一の原子爆弾の被害者として示しながら、核兵器の所有とその使用に反対している。しかし、日本は長年に渡り、1930年代にはこの分野の研究を開始し、核兵器の野望を実現しようと突き進んでいる。」

 

事実関係としてその通りでしょう。そしてその野望があるからこそ、こんな事態を招来した。

また、日本は国連安保理常任理事国(合法的な核保有国でもある)以外に、世界で唯一、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す国であることを指摘。北朝鮮が計算するところ、世界にあるプルトニウム518トンのうち47トンは日本にある。このうえで朝鮮中央通信は、北朝鮮の非核化のためには米国はまず日本の核問題を解決すべきだと主張する。

原発を開発することになった時から、日本も原発持たないけん、といった発想を持った人たちがいて、その人たちがここを先途として原発/原爆産業を大きくしていった。

で、問題なのは、それはすべて「裏」というか表だってそうとは言わないものだった。ということは、この裏を通すために、無理に無理を重ねてきただろうと思う。つまり、アメさんアメさん、あなたにもこんなメリットが、こんな金儲けが、というのを作り出して、その代わりに自分は原発/原爆産業を推進するという恰好。

結果として、核燃料サイクルなる膨大な労力を費やす意味があるとは到底思えないサイクルをぶちあげて、しかしそれも出来ないで今現在すべてがとん挫してます、となったと。

 

で、これらを通してみるに、私が思うに、この裏サイクルは全体としてみればやりきれないほどの失敗をもたらした。違うというのなら、住めないところを作ったことを言い訳してみろよ、というところ。戦前の右翼なら、この点を抗議して抗議して、今ごろ大変なことになってると思う。

そして、どうしていいのかわからないほどの大量のプルトニウムを抱えている。

なぜこういう失敗をしたのか。私は、この「野望」を精査したことがなかったことなんじゃなかろうかと思ってる。

つまり、核兵器を持ったとして、だから何なんだよ、という話なんですよ。

日本の中では、田母神さんが好例だけど、一発、一発持てば違うんです、一発持てば相手は日本をバカにできない、みたいなことを言う人がホントにいる。

しかし、これってそういう兵器なのか?と考えた人はあまり多くないように思う。

核兵器に反対する人たちの善意は多いに買うし、私もその一群にいてもいいと思うが、しかし、これしかないのもまた困りこの。なんでかというと、こっちもまた、これを兵器として見る視線が欠けているから。

というより、そもその日本の中には、戦争という戦闘の集合体を総合的に見る人がとても少ない。なぜこの戦闘を起こす意味があるのか、何を目標としているのか、その目標とこの手段(つまり戦闘)による犠牲は釣り合うのか、みたいなことを考えながら話す人が昔も少なかったが今も少ない。

 

■ 核兵器は防衛には強いが侵略にはむしろ敵

率直にいって、核兵器というのは、防衛にとっては強い味方だが、侵略構想にとっては邪魔だと思う。

防衛に強いのは、去年北朝鮮が見せてくれたと言ってもいい。もし一発でも核兵器があって、それをしっかり運べる運搬手段(ミサイル)があるのなら、外から侵略する側は、それに耐えるか否かの判断を迫られる。

言い方を変えるなら、アメリカが北朝鮮を攻めようとして、北朝鮮が俺は絶対お前に痛い目をみせたる、と言い、その手段が観察する限りではしっかり保持されているとなった場合、攻めるアメリカは、ロサンゼルスやニューヨークを吹き飛ばされても尚攻撃するのか否かを考えないとならないということ。

通常、いくらなんでもこの侵略プランはアメリカ人に是認されない。

そこで、やったら報復するぞ、俺らは何万発もの報復核を持っている、などという。しかし、何万発を朝鮮に打ち込もうが、一発がニューヨークに落ちたら、その損害はリアルだ。

そこでそこで、その一発(例えば、だけど)を無効化するようなミサイル防衛網を作って、電子的に無効化してやる、とかなんとかいう考えが来るんだが、それでも完全な無効化があり得るのかというと、これはもうカケでしかない。

 

北朝鮮がこれに気が付いたのは最近ではなくて、おそらく朝鮮戦争の時でしょう。そして、その際に中国も同じことを考え、貧乏のどん底にいながらも中国は核兵器と大陸間弾道弾までこぎつけた。

アメリカ率いる国連軍は朝鮮の人間の2割を殺傷したと言われている。朝鮮北部に限っていえば3割ぐらいになるそうだ(この話は70年代から朝鮮戦争に参加した将兵の記録から知られていたが、去年さんざんアメリカの非主流メディアに載っていて、あらためて人々に知られるようになった)。

それでもまだ、思うにまかせない朝鮮北部に核兵器を何十発かぶち込もうとした。

中国は、当時1949年の中華人民共和国成立から間もなかったため、核攻撃をきっかけとして中国を壊しに来ていると考えたと言われている。だからこそ、そこから核兵器を持った、と。

つまり、これらの人々は、アメリカに襲われないために核兵器を持とうと発想したということ。実際それは効果はあったというべきでしょう。

 

ソ連の場合は、ソ連そのものというより、ソ連に核を持たせてバランスさせようとした人々が英米(+α)に存在し、その人たちがスパイとなってソ連に機密情報を渡した、という行為がある種目覚ましいというべきだろうと思う。この人たちは、核をアメリカが独占することを心底恐れたのでしょう。なにせ、実験がてら簡単に人に向かって使う人たちだったわけですから。

(多分、この核独占とナチの作成はほぼ同じ人たちの仕業というべきなのでは? ダレス兄弟とかバルークとかあのへん。ということは、この人たちを恐怖する人たちが、他のお金持ちの中にいたとしても不思議ではないのではあるまいか? )

ダレス兄弟の半世紀

 

■ 日本の場合

で、こうやって並べて考えて来た時、日本の中に深く潜行している(最近は表面化したが)、日本は核兵器を持つべきだ、という人たちは、一体全体どういうプランでこの人殺しという点で非常に特別に効率的な兵器を持とうとしているのでしょう?

日本にとってはロシア、朝鮮、中国が敵らしいので、日本の核武装論者というのはロシア、朝鮮、中国との核の打ち合いを想定しているんだろうと思う。

さてしかし、どれぐらい防衛に役に立つんでしょう? 日本の核武装論者は、持ちさえすれば相手は手を出せない、などというわけですが、これは程度問題でしょう。

日本はほぼNATOみたいな国になっているので、欧州側でポーランドにおいた部隊がロシア侵攻を開始した時、日本がミサイルを使ってロシア極東を狙った、みたいな状況があるとして、ロシアは日本に手を出さないと想定することはできません。

つまり、日本が核を持っていようがいまいが、侵攻プランに加担したら当然に日本は様々な兵器による攻撃のターゲットになるというただそれだけの話。

従って、核武装論者のいう、持ちさえすれば相手は手を出せないといった話は、何の根拠もない

では、純粋に防衛のためだったらどうなのか、ということですが、ロシア、朝鮮、中国が、日本を侵略して来たとして、その際に日本に核兵器を使うということにどれぐらい合理性があるものなのだろうか?

そもそも、ロシア、朝鮮、中国は一体何のために日本本土に侵攻しようとするのでしょう? 日本の場合は、狂ったような情熱で満洲を取りたがっていた人たちが明治維新の頃から存在確認されているのだが、あっちの側に日本本土に対するそのような情熱があるとは聞いたことがない。

むしろ、ロシア、朝鮮、中国は現在自国領の開発に忙しい。4つのプレートの上でバランスするなんか面倒くさい場所を無理くり取りに来る時間と金があるのなら、自国領土内の都市開発に使うだろう。

つまり、日本列島にとって純粋に防衛的な行動とは一体なんだろう、という感じがするぐらいだ。

 

■ ステータス

ということで折にふれて、兵器としての核兵器を日本が持つメリット、または使うことによって得られる便益が見えないとは何度となく至った結論なのだが、それにもかかわらず、核武装論者というのは意外に少なくないと思える。

ではどんな理由が残るのか? それは核を持つことをステータスと考えているからではなかろうか?

そう考えるとまっさきに思い出すのが、安倍ちゃんの叔父である佐藤栄作。


NHKスペシャル
スクープドキュメント 核を求めた日本

初回放送日:2010年10月3日放送 放送時間:49分

https://www.nhk.or.jp/peace/library/program/20101003_01.html

 

個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える、と佐藤首相が語ったと米の議事録に残っていた。

また、番組の中でも、

村田さん:
まず、日本自身が核武装するというオプション(選択肢)が全くゼロかどうかということもやはり議論をしてみるべき問題
それを初めからね、被爆国だからとか、核兵器は持たないんだと、いう事じゃなくて
日本という国の至高な利益が脅かされるような緊急事態になったら
もう、何が何でも核兵器を持つ。そういうオプションも完全にはルールアウト(除外)しないと。

という態度を元外交官の村田良平氏が語ってる。

(番組の文字起こしをされているブログがあったので、おかりしました。こちらです)

 

で、こういうのって、ぱっと聞くと、そうだなって思う人もいると思う。

しかし、これは武器なんです。持ってどう使うのか、を考えないと、持ったことによるマイナスが見えなくなる。

そもそも、「日本という国の至高な利益が脅かされるような緊急事態」というのは、どうやってもたらされるのかも考えないとでしょう。

つか、正直言って、ここらへんの人たちは60年安保を対米追従でやり遂げた以上、アメリカの子分になることは確定し、その証拠として、

日本全土に米軍基地をかかえて、日本の首都の上空はまったく当然のようにアメリカ軍のものとして運用されている中で、その上で、核兵器を持つことで回避可能な「日本という国の至高の利益が脅かされる緊急事態」ってどんな事態を想定しているんでしょう?

 

■ 悔しい?

あと、見過ごせないのは、ステータスその2として、ロシア(ソ連)、中国が持っているのに、日本が持たないのは許せない、といった感情が意外に強くあるのではないかとも思う。

それがどんなおもちゃでも。

ソ連や中国とアメリカが指しで話すのを見るにつけ、やっぱり核兵器がないと一人前ではないのだ、みたいにして、次第に倒錯した考えが主流になっていった、というのもありそう。

しかし、ソ連や中国をアメリカが一人前扱いするのは、どう考えてもこの2国がユーラシアそのもののように巨大だからでしょう。

でもって、前から何度も書いてますが、the West は1000年この方ロシアを逆恨みし、200年この方、ロシアを崩そうと強盗メンタリティーを発揮させているわけです。これは現代の世界史を動かしている非常に大きなドライビングフォース(駆動力)でしょう。

ロシア・トルコ・イランの迫力

ヨーロッパ1000年のロシア恐怖症

このドライビングフォースが見えないから、ソ連(ロシア)より日本の方が金持ちなのに、みたいな訳の分からない嫉妬が生まれるのではあるまいか。そういう問題じゃないんだ、というのがわからない。

そして、とりわけロシアに対する破壊衝動が大きいとはいえ、300年ぐらいで見れば、インド、中国、ロシアは、東インド会社/ the Westの犠牲者でしょう。

この方向性は今でも現代社会の基層なのでは?

 

■ 戦略なしで戦争したがる

ということで、北朝鮮の金さんが指摘するように、日本には実際核武装しようという野望はずっとあるんです。1930年代からずっと。

しかし、日本人として困ったもんだと思うのは、それで一体何をしようとしているのかが不明だというところ。いうなれば、よく考えると意味不明の野望を抱いている。困るでしょ、これ(笑)。

戦略なしでやたらに戦争したがった1945年以前の日本がまだずっと続いているのだななどとも思う。

 

ということで、前から何度も言ってますが、日本に必要なのは核ではない、脳みそだ、というのを8月6日にあえて書いておきたいと思う。とりあえず頭を使って考えることから始めないと、またぞろ訳のわからない人たちに推されて、気がついた時には後戻りできません状態になる。

つかもう、軽くなってるとは思うけど、でも、ここで終わるのと1945年のようにして終わるのでは大きな違いがあることも事実。このへんで、来し方を振り返りながら前を向いてくれる政治家が求められるなぁ、ほんと。

 


 


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1 コメント

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アメリカから独立出来ない国の核武装 (ローレライ)
2018-08-07 07:49:24
アメリカから独立したく無い国が核兵器を持っても、独立した外交は出来ない。
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