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ロシア・トルコ・イランの迫力

2017-11-20 13:31:50 | アジア情勢複雑怪奇

サウジアラビアの外相が緊急会議で、イスラエルイランのミサイルから安全なアラブ諸国はどこにもない、とか言っているらしい。シリアは安全だと思うけどね(笑)。

'No Arab capital safe from Iran’s missiles,’ Saudi FM warns at emergency meeting 
https://www.rt.com/news/410348-saudi-cairo-ministers-iran/

 

アラブ人を裏切って盛大にイスラエルと仲良しになってるくせにお前は何を言っているんだ、という追及は目立つ人は誰もしてないようだが、多くのアラブ人たちの心がサウジ王家にないことはもはや明白といっていいんじゃまいか。へんなの、ぐらいで終わるのかそれとも変化が起こるのか、それはわかりませんが。

一つ前のエントリーで書いたように、現在の中東は南北に分かれているような恰好で、もはや、アラブで結集とかいう理由づけはできず、そうであるならイスラエルが周囲をアラブ諸国に囲まれて、みたいな理由づけをすることもできない。イスラエルとサウジは情報共有すると自分から言ったわけだし。

で、サウジやらイスラエルがイランを敵視すれば敵視するほどイランが強くなっていっているのは皮肉な話。

そして、イランは現在こんな強そうな人たちと一緒にサウジ・イスラエルの妄想に基づく暴発に構えている。いやぁ、3人とも頭が良いのはわかっていたけど、そろって大柄でもあったのだなと再確認。ラブロフはほとんど誰と会ってもかなり大きな人だと見えていたが、ここに並ぶと一番スリムじゃないのよ、ってのが驚き。

左からイランのザリーフ外相、真ん中がトルコのチャブシュオール外相、右がロシアのラブロフ外相。

 

で、この3人が11月22日にロシアのソチで行われるロシア・トルコ・イランの会議に先立ってトルコのアンタルヤに集まって話を詰めましたという話。この人たちが集まったということは22日の会議はそれぞれの首長の会議になるんでしょうね、多分。

Russian, Iranian, Turkish foreign ministers begin meeting on Syria

http://tass.com/politics/976359

 

ロシア・トルコ・イランというのは、正教・イスラム同盟みたいなものなわけで、これはつまりオスマン時代の黒海周辺秩序に近くなったともいえるかも。オスマンというとトルコをひっ付けてしまう人が多いが、別にあれはトルコ人の帝国という意味ではないし、最も重要なことは宗教的統一をしなかったこと。だから、多宗教のままで、場所柄とりわけ正教徒はたくさん存在していた。そして、正教こそキリスト教の広まりの真ん中にいてそのまま居続けて(だからオーソドックスという)、その隣接地帯にイスラムが出て来た。さらにいえば、正教とギリシャ文明は直接に融合している。

そういう風にピンと来ない人が多いのは、キリスト教というのをもっと西側のものであるかのような錯覚が広められてきたから。このへんではなしたこと。

ヨーロッパ1000年のロシア恐怖症

 

オスマンとは何物だったのかというのはおくとしても、オスマンというユニットが何百年かかけて支配地域としたところはべらぼうに大きい。が、支配層が何を考えていようとも現地住民は宗教支配されなかったわけだから、オスマンの支配下だということがどんな意味を持っていたのか、よく考えるとわからないものがある。ギリシャやセルビアでも人々は改宗したわけでもないし、アトス山は一貫して正教徒の聖地として現在まで存在している(ギリシャ内で高度な自治を保障された体制で存在している)。

プーチン、アトス山訪問

ロシアが正教徒の守護者として復活した意味は本当に大きい。

そしてthe Westから攻められても攻められても頑張るロシアの行動が、イスラム世界に対するある種の福音になってまんがな、という点もすごいよなぁとか思う。イスラム国を最後尾としてイスラム過激派を作って世界中を混乱に陥れたthe Westを、それらのイスラムは偽物であって本当のイスラムの考え方ではないと繰り返し断罪したのはプーチン率いるロシア。

さらにその前日には、大統領は、イスラム国のテロリストらのイデオロギーは、イスラムそのものじゃなくて、嘘と詭弁に基づくものだと断罪してた。

Putin: Islamic State terrorists’ ideology based on lie, perversion of Islam
http://tass.ru/en/politics/823072

その上で、ムスリムの文化と科学的アプローチの教育の中心が必要で、だけどそれは最終的にはこの宗教の信徒さんらを結びつけるようなものだよ、と語ったそうだ。

 

 

ウクライナも早く欧州が~とかいう妄想をやめて黒海勢に戻れよって感じ。で、ヨーロッパでなければ夜も日も開けぬほどにヨーロッパ人になりたかったらしいポーランドあたりが、ドイツ第四帝国のポーランド辺境伯になればいいんじゃないの?

 

冗談はともかく、現状、少なくとも第一次世界大戦あたりまで話が戻ったみたいな恰好か。

今後問題になるのは、サイクスピコ、あるいはそれよりもっと重要なのはサンレモ会議あたりか。予習しておきましょう。

 

■参考記事

グレートゲーム v.2.2: カスピ海は沿岸5カ国の戦略的財産である

ロシア、イランにコーラン最古の手書き文書を贈る

 


 


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2 コメント

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『独露奥を他山の石とする』 (ローレライ)
2017-11-20 16:05:57
『独露奥を他山の石とする』、『現代の露伊ラン土』と言う所クルドの『第二ポーランド』は押さえ込み。
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神聖同盟+南面 (ブログ主)
2017-11-20 18:08:17
ローレライさん、
神聖同盟を使って西欧州からの攻めをブロックして、自分は南面した、みたいな戦略ですよね。

ロシア南面す、ってな方が怖いだろうにと思っていたら本当にそうなった。

むしろ、the Westとしてはドイツを使ってロシアを欧州に引っ張っておいた方がよほど実りがあったと思う。少なくともEU圏という半分インチキの「ヨーロッパ」は残ったでしょう。あほやな、ほんとといったところ。
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