黒い瞳のジプシー生活

生来のさすらい者と思われた私もまさかの定住。。。

第三と第九

2007-12-26 20:35:37 | 思索系
NHK教育の「第九交響曲物語」を見ていた(こちら)。
実のところ私は、ベートーヴェンの交響曲は
第五と第七しか聞いたことがないし、
第九がいつの時代でも欧米のあらゆる国で演奏されていたり
EUの歌になったりしていると聞いて、
第九はこれほど欧米でポピュラーだったのかと
今になって驚かされているところである。

もう一つ、番組では第三交響曲エロイカについても
少しだけ言及があったが、
実はこのエロイカにこめられた思想を解釈する番組も、
私はかつて観たことがあった(放送大学)。
そのとき教授していた先生は
「この解釈が絶対とは言えない」とことわっていたが、
それによると、第三の楽章ごとのテーマは
第一楽章は英雄の活躍、第二楽章は英雄の死、
そして第四楽章は人類の歓喜、だろうということであった。
つまり、人類の歓喜は英雄の犠牲のもとに実現する、という
意味がこめられていると考えられるそうだ。

一方、第九のメッセージの解釈に関しては、
今日の番組を見ていた限りでは
英雄のようなある特定の人間の力がなければ
歓喜は勝ち取れない、などという思想性は感じられない。
むしろ特定の人間よりももっと普遍的な、
例えば神や自然の力による歓喜の獲得を
歌っているように思える。
なぜなら、ベートーヴェンはたしか
番組のなかでこう語っていたからである:
「我々は法律や王の力が無ければ自由は勝ち取れないのか!?
 (いいや、そんなことはない)」と。