黒い瞳のジプシー生活

生来のさすらい者と思われた私もまさかの定住。。。

金の羊毛伝説の検証

2008-08-15 17:00:05 | ギリシャ・ローマ系
今日は、ギリシャ神話を知っていないと
意味が分からないであろう話・・・
ディスカバリー・チャンネルで、
ギリシャ神話の「金の羊毛」物語について
検証する番組があった。(詳細)
途中、あいにくあまりシッカリ見られない時間が
あったのだが、それでも、とても楽しかった。
今の記憶がどこまで確かか確認できないし、
番組中でも「金の羊毛」物語が絶対に事実だ、とは
誰も言っていなかったので、
あくまでも話半分で読んでいただければ幸いだが、
私はこの記憶を今のうちに書き留めておきたいので、
ざっとココに載せたいと思う。

その番組に出演した研究者によると、
「金の羊毛」神話は事実に基づいている可能性があって、
時代は紀元前1400年ごろだという。
なお、トロイア戦争があったかもしれない時代は
おおよそ紀元前1270~1183年頃。
イアソンと共にアルゴ号に乗って
金の羊毛を求めて行った英雄のなかには、
アルゴ号伝説より約200年後のトロイア戦争で
活躍する英雄の父親もいたりするのだが、
アカイア人の文明の全盛期が
紀元前1200年~1400年であり、
この時代を後のギリシャ人は「英雄時代」と
呼んだらしいという点のみを考慮すると、
「金の羊毛」神話が紀元前1400年ごろだったとしても
おかしなことではないと思う。

あの番組は、神話を、現実の事件の比喩表現として
とらえていた。例えば
イアソンたちが途中で立ち寄ったレムノス島の
女たちとイアソンたちとの「交わり」については、
実際には性的な「交わり」ではなくて
外交上の「交わり」であったかもしれないとか、
(この、政治的・経済的な「交わり」を性的な「交わり」に
すりかえて話を作るという手法は、神話では
よく使われていたらしかった)
島の女たちの体臭の臭さは、島の人間が取り扱っていた
染料の匂いを暗示しているかもしれないとか。
さらに、私が覚えているだけでも、
アルゴ号乗組員を苦しめた「ぶつかり岩」は
ボスポラス海峡の海流のことではないか、とか、
(アルゴ号乗組員は、その海流に逆らって
コルキスに向かわねばならなかった)
イアソンがコルキスで課された
「火を噴く雄牛を使って畑を耕す」という難業も、
ギリシャ人が農業の最新技術をコルキスで学んだことを
意味しているのかもしれないとか、
金の羊毛も、泥水を羊毛で漉して砂金を採取するという
コーカサス山脈の麓の民間の伝統に
関係があるのかもしれない、などとあった。
ただし、イアソンとメデイアの恋については、
番組ではあまり言及しなかった気がする。
そして、登場人物の実在性に関しても、
少なくともイアソンとアイエテスについては
「実在の可能性がある」と述べていた気がする。
ただし、イアソンは実は商人だったかもしれない、
ということであった。

ここまで、私の記憶をあますところなく書き留めた
つもりだったが、よく考えてみると
なぜこのような推測が成り立つのか、という点に関しては
あいにくほとんど覚えていない^^;
その点については、
是非あの番組を御覧になっていただきたく思う。
もっとも、これに関する文献が見つかれば、
ディスカバリー・チャンネルを御覧になれない方にとっても
私自身にとっても、ありがたいのであるが。

ザキンソス島

2008-07-02 22:32:16 | ギリシャ・ローマ系
「その時歴史が動いた」という番組は、
今日は「地球エコ2008」という番組のために
無くなった。
しかし、その「地球エコ2008」の明日の放送では
どうやらギリシャのザキンソス島が
取りあげられるらしい。
ザキンソス(古代読みでザキュントス)島には、
オデュッセウスが統治していたという伝説と
海亀の産卵地があるらしい。

だが、私がザキンソスに注目したキッカケは・・・
神話とか歴史といった高尚なものではなくて、
この島の観光スポットである、聖ゲオルギオス湾の
美しさ^^;当HPにもリンクさせてもらっている
サイト「LAMBDA PAGE」のこちらのページにある、
No.5の画像が聖ゲオルギオス湾だ。
この島に限らずとも、エーゲ海を見れば
そのたびに思うのだが、「魅せられて」という歌の
歌詞の「美しすぎると恐くなる」というフレーズは
まさにエーゲ海のためにあるような言葉に
思えてくるのである。
それにしても、この聖ゲオルギオス湾、
まるで人を寄せ付けまいとするかのような地形だ^^;
(もちろん、船さえ利用すれば
人間だってたどり着くことができるのだが)

ともかく、明日観られるといいなあ。

マスティックガム

2008-06-06 23:59:59 | ギリシャ・ローマ系
明日の21時から、TBS系の「世界ふしぎ発見」という番組で
ギリシャのヒオス島が紹介される(こちら)。
私自身は所用があるので、その番組は見られないかもしれない。
(また、パソコンもほとんど使えないかもしれない)
ヒオス島は行ったことがないし、残念なことだ。

ただ、私はその島の特産物であるマスティックを
食べたことがあった。すなわち、マスティックという
木の樹脂をそのまま食べたり、その樹脂を使った
マスティックガムを噛んだこともあったが――
いずれにしても、お菓子というより或る種の薬と思って
食べたほうがいいのかもしれない
(もちろん、薬ではないのだろうが)。
マスティックガムは先日ダーリンにあげてしまったので
どんなものか図で示すことはできないが、
私が持っていたガムは「マスティック情報サイト」の
1ページで紹介されているタイプ(こちら)に近い
(商品は違う)。

ギュゲスの神話

2008-03-06 23:59:45 | ギリシャ・ローマ系
先日会いに行った男の子から、
ギリシャ神話の本を何冊かもらった。
そのうちの一冊、『爆笑・ギリシャ神話2』のなかに
気になる話があったので、少しとりあげたいと思う。
墓泥棒して、自分の姿が消える指輪を
そこで偶然見つけて、自国の王妃を寝取って
王を殺して、国まで盗ったギュゲスという男の話だ。

この話は、ギリシャ哲学の講義を受けていたときに
チラッと耳にした事があった。
人間というのは、誰も見てないところでも
正しく生きることができるのか、
つまり、人間はもともと良い心をもっているのか
それとも悪い心をもっているのか、という疑問を
投げかけるために、おそらく先生は
この話をしたのだろう(もっとも個人的には、
「悪い心を持っているから影で悪いことする」
のではなく、「影で悪いことをするから
悪い心を持つとみなされる」のだと
思うのであるが――)。
そして私はこの話が載っている本を初めて見つけて、
嬉しかった。

自分の姿が消える指輪というのは
神話らしいシュールな話であるが、
「誰も見てないところでも
正しく生きることができるのかどうか」という問題は、
意外と身近なところに存在するものである。
たとえば、「誰も見てないところで
正しく生きなかった」と見なされる人のなかには
「食品偽装をした」として裁かれた人もいたりするからだ。

古代ちょいワル伝説

2008-01-26 22:50:39 | ギリシャ・ローマ系
TBSの「世界ふしぎ発見」で
ガイウス・ユリウス・カエサルが
元祖「ちょいワル親父」として取りあげられていた。
元祖「ちょいワル親父」も
現代の日本の「ちょいワル男子」と同様
ファッションにこだわっていたそうだが
(「ちょいワル男子」についてはここで以前取りあげた)、
やっぱり真性のちょいワルは中身も伴っている。
彼は「元老院議員の妻の3分の1を寝取った」とも
「全ての女の男で、全ての男の女」とも言われたからだ。
(後者の言葉は番組では出てこなかった)

ミステリー・ハンターのおネエさんは、
カエサルのことを「堂々としていて
懐が深いというか、自由人というか」と評していた。
なぜなら、晩年のカエサルは征服した異民族たちを
元老院議員にして、
彼らに「なかには私を殺したいと思っている方も
おられるだろう。・・・・・・だが、私が望むことは
ただ一つ、国づくりのために力を貸してほしい」と
言ったからである。
その堂々とした態度は、たしか恋愛においても健在で
彼はある恋人との逢瀬の途中でも、
「ちょっと彼女のところに行ってくる」と
隠しもせずに言って抜け出して
別の彼女のところにむかうと聞いたことがあった。

でもこれって、女性の立場からするとどうなのだろう。
二股かけているのがバレバレなのに白状しないよりは
まだマシかもしれないが、
それでも嫉妬でくやしくはなるのではないだろうか。
それとも、ライバルの女を気にする程度の愛では
カエサルの相手に値しないということなのだろうか。

ちなみに、番組ではカエサルが残した名言として
「賽は投げられた」が取りあげられたが、
『ギリシア・ローマ名言集』
(著:柳沼重剛 岩波文庫)によると、
古典には「賽は投げられた」と載っているのと
「賽を投げろ」と載っているのとがあるという。
しかも、もともとカエサルが言ったのは
「賽を投げろ」のほうで、
それが後世の写本の脱字によって
「賽は投げられた」にされてしまった、という説もある。
(二つの言葉の違いは、末尾にアルファベットの
オーがあるかどうかの違い)

神さまの香水2

2008-01-12 22:10:24 | ギリシャ・ローマ系
アメリカにVICKY TIELという
(ブライダル・ドレスの??)ブランドがあって、
香水たちがなぜかみんなギリシャ神話に
ちなんでいる。(こちら
リンク先のページで、左から
「オリジナル」、「セイレーン」、「ヴィーナス」、
「エーテル」、そしてメンズの「ユリシーズ」(下)
とあるように。
だがこれらは、箱やボトルにまで
ギリシャ彫刻が施されてあって
個人的にはインテリアにもいいなと思っている。
(どうせ買っても使い切れないだろうし)

地下鉄と祠

2008-01-05 19:51:16 | ギリシャ・ローマ系
ギリシャに旅行に行ったときに
気になったものが、2つばかりまだここに
載せていなかったので、忘れてしまわないうちに
ちょっと記録しておきたいと思う。

まず、アテネの地下鉄について。
上の図は、アテネの地下鉄の切符を
コピーしたもので、これはおそらく
オモニア駅―シンタグマ駅間のものである。
ちなみに、シンタグマはオモニアの次の次の駅で、
間にはパネピスティーミウ(=「大学の」)駅がある。
そこはちょうど、アテネ大学前だ。
地下鉄の乗り方は基本的にそんなに違わないのだが、
改札から出口へ向かう際には改札口の機械に
切符を通す必要はない。
(キセルしてないかどうか、
確かめなくて良いのだろうか??)
また、プラットホームすれすれに掲示される
電車の時刻表は、「何時にココに着く予定か」ではなく
「あと何分でココに来るか」を表示していた。

もう一つ、道を通る際に目をひいたのが、
道端にある下図のようなもの。

これは、その場所で交通事故で
亡くなった人を弔うための小屋だそうだ。
だいたい花束の入った瓶が入る程度の大きさだが、
規模はピンからキリまである。
アテネなどの街中では見かけないと思ったが、地方の、
特に山道や見晴らしの良い場所にはよく見かけたし、
なかでも北ギリシャのペラ遺跡のそばは数が多かった
(小屋の数は、そこで犠牲になった人の数である)。
小屋だけに、一人一人の悲しみが忘れ去られる事なく
永遠に伝わっていくから、
その意味では良い習慣に思えた。

伝説の洞窟発見??

2007-11-22 22:24:23 | ギリシャ・ローマ系
昨日付けのヤフーニュースで、
「ローマ建国伝説の遺跡発見か」という
シュリーマン級の驚くべき記事を発見した。
(時事通信によるネタ、こちら
だがとりあえず、私はこの出来事について
もっと詳しく知りたいと思い、
さらに同じ記事を検索していった。
そしてその結果、
ヤフーの記事より日付が三時間半遅れている
共同通信の記事を発見した(こちら)。

日付の時間の差の小ささと、発見された
物と場所と建設年代からすると
おそらくこれらは同じ記事のようである。
しかしながら、前者の記事の内容が
ローマ建国伝説の証明のキッカケが
出てきたかのような表現になっているのに対し、
後者の記事のほうは、読んでみると
伝説の証明のキッカケには全くならないような
発見であったかのような表現になっている。

・・・・・・ひょっとすると、
結局のところローマ建国伝説の遺跡発見は
幻だったということだろうか。

パルテノン神殿

2007-11-17 21:47:31 | ギリシャ・ローマ系
今日、NHKの『探検ロマン世界遺産』で
ギリシャのパルテノン神殿が放送されていた。
パルテノン神殿は今ブログの背景にしているが、
旅行していた頃が、思い出されるようだった。
あの青い目玉の魔除けは
私が乗った飛行機内にもさりげなく飾られていて、
あらかじめ魔除けだと分かっていたものの
一瞬私の目もギョっとしたのを覚えている。

あの番組では語られなかったが、
たしかパルテノン神殿は、各地域のポリスから
集めたお金をネコババして建てたものであった。
ネコババというとアテネ人を怒らせてしまう
かもしれないが、逆に言うと
それがまかり通るぐらい、当時のアテネは
他のポリスよりも強かったのだろう。
そうした意味でも、
パルテノン神殿はアテネの繁栄の象徴だ。

ギリシア奇談集

2007-11-03 22:44:21 | ギリシャ・ローマ系
最近、岩波の『ギリシア奇談集』を読んでいる。
この本の原題は「多彩な物語」であるが、
内容的には神話及び歴史の「こぼれ話」と言ったほうが
分かりやすいであろうか。
私は歴史はそんなによく知らないけど、
こうしたこぼれ話というのは、歴史的有名人の
人となりを知る良い材料なのだろう。