大河ドラマ「江 ~姫たちの戦国~」。
このたびは、江が周囲から説きふせられて
徳川家に嫁ぐという話であった。
時代はまだ1595年の9月。江23歳、秀忠も17歳の
ままだということになる。
江がまだ子供だった頃、「天下」は江と共に
信長の手中にあったのであるが、
信長が死んで秀吉が「賤ヶ岳の戦い」に勝利すると
江は秀吉のものとなり、やがて「天下」も信長から
秀吉に引き継がれた。そしていま、江は徳川家
(つまりは同家の当主・家康)のものとなった。
「天下」はすぐにも徳川家のもとに転がりこんで
くる――というのは言いすぎだろうが、
豊臣家の没落の始まりというべき秀吉の死は
これからわずか3年後のことである。
「琵琶湖(=江)を制する者は天下を制す」――
まだ今年の大河ドラマが始まって間もない頃に
述べたことだが、やはり「天下」なるものは
くしくも江と行動を共にするようである。
秀忠というと、このたびのドラマでは「初婚」
ということになっているが、たしか5年前に
上洛したおりには別の姫との縁組が成立したことに
なっていたはずである。これはどうしたことかと
思ってウィキペディアの江の項をひらいてみれば、
たしかに秀忠には江と結婚する以前に「小姫」なる
秀吉の養女との縁組が一旦成立していて、その後、
その縁組が「小姫」の死去によって立ち消えに
なったのだと述べられている。
しかしながら、一方のウィキペディアの秀忠の項を
ひらいてみると、秀忠は「小姫」とは実際に
祝言まで挙げた後で離婚したことになっており、
江とは「再婚」したことになっている。
同じウィキペディア内でも、話が一致しないのだ。
ドラマの江は秀吉のやること全てが気にくわず、
秀吉の意のままにはなるまいと常にふるまい、
一方の秀忠は家康のやること全てが気にくわない
ので常に憎まれ口をたたいてきた。
これもいつか述べたことと似ているかもしれないが、
やはりドラマの江と秀忠は似たもの同士である。
その江は家康に「秀忠がワシに心を開いてくれなくて
困っておる」とグチられても秀吉の心まで思いやる
余裕が無く、このたびの結婚も最初は拒絶し続け、
家康や姉・茶々に説きふせられてようやく嫁ぐ
決意をした。江はそうして嫁いできた経緯を
秀忠に対して隠しきれなかったにもかかわらず、
秀忠には「私は自分の意志を運命に乗せることにしたの
だから保護者に従うだけのあなたとは違うんです」と
意地を張った(秀忠のツッコミどおり、
結局は2人とも同じレベルだと思うのであるが)。
江に心を開いてもらえない秀吉の苦悩まで思いやる
余裕が無いレベルであることも、
自分が嫁ぐ運命に本当は逆らおうと散々ごねた挙句
説きふせられてようやく嫁ぐ決意をしたレベルである
事も、おそらくこの際それほど大した問題ではない。
ただ、いまの江には、自分のレベルがその程度で
あることを素直にさらけ出し、「あなたは私と同じだ」
という秀忠の言葉に笑ってうなずけるほどの余裕も
無いようである。江が秀忠よりも6歳年上で
妹や弟もなく、秀忠と違って落城と結婚を2度ずつ
経験してきた事を思えば、訳知り顔でずばずばツッコむ
秀忠は江には生意気にみえ、意地でも「あなたとは
違うんです」と訴えたくなるのかもしれない。
だが江がそんなふうにして意地を張っているうちは、
江と秀忠は心の通い合う夫婦にはなれないだろう――
ドラマの秀忠はあるいはこのように考えて、
江の態度が変わるのを待つことにしたと考えられる。
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このたびは、江が周囲から説きふせられて
徳川家に嫁ぐという話であった。
時代はまだ1595年の9月。江23歳、秀忠も17歳の
ままだということになる。
江がまだ子供だった頃、「天下」は江と共に
信長の手中にあったのであるが、
信長が死んで秀吉が「賤ヶ岳の戦い」に勝利すると
江は秀吉のものとなり、やがて「天下」も信長から
秀吉に引き継がれた。そしていま、江は徳川家
(つまりは同家の当主・家康)のものとなった。
「天下」はすぐにも徳川家のもとに転がりこんで
くる――というのは言いすぎだろうが、
豊臣家の没落の始まりというべき秀吉の死は
これからわずか3年後のことである。
「琵琶湖(=江)を制する者は天下を制す」――
まだ今年の大河ドラマが始まって間もない頃に
述べたことだが、やはり「天下」なるものは
くしくも江と行動を共にするようである。
秀忠というと、このたびのドラマでは「初婚」
ということになっているが、たしか5年前に
上洛したおりには別の姫との縁組が成立したことに
なっていたはずである。これはどうしたことかと
思ってウィキペディアの江の項をひらいてみれば、
たしかに秀忠には江と結婚する以前に「小姫」なる
秀吉の養女との縁組が一旦成立していて、その後、
その縁組が「小姫」の死去によって立ち消えに
なったのだと述べられている。
しかしながら、一方のウィキペディアの秀忠の項を
ひらいてみると、秀忠は「小姫」とは実際に
祝言まで挙げた後で離婚したことになっており、
江とは「再婚」したことになっている。
同じウィキペディア内でも、話が一致しないのだ。
ドラマの江は秀吉のやること全てが気にくわず、
秀吉の意のままにはなるまいと常にふるまい、
一方の秀忠は家康のやること全てが気にくわない
ので常に憎まれ口をたたいてきた。
これもいつか述べたことと似ているかもしれないが、
やはりドラマの江と秀忠は似たもの同士である。
その江は家康に「秀忠がワシに心を開いてくれなくて
困っておる」とグチられても秀吉の心まで思いやる
余裕が無く、このたびの結婚も最初は拒絶し続け、
家康や姉・茶々に説きふせられてようやく嫁ぐ
決意をした。江はそうして嫁いできた経緯を
秀忠に対して隠しきれなかったにもかかわらず、
秀忠には「私は自分の意志を運命に乗せることにしたの
だから保護者に従うだけのあなたとは違うんです」と
意地を張った(秀忠のツッコミどおり、
結局は2人とも同じレベルだと思うのであるが)。
江に心を開いてもらえない秀吉の苦悩まで思いやる
余裕が無いレベルであることも、
自分が嫁ぐ運命に本当は逆らおうと散々ごねた挙句
説きふせられてようやく嫁ぐ決意をしたレベルである
事も、おそらくこの際それほど大した問題ではない。
ただ、いまの江には、自分のレベルがその程度で
あることを素直にさらけ出し、「あなたは私と同じだ」
という秀忠の言葉に笑ってうなずけるほどの余裕も
無いようである。江が秀忠よりも6歳年上で
妹や弟もなく、秀忠と違って落城と結婚を2度ずつ
経験してきた事を思えば、訳知り顔でずばずばツッコむ
秀忠は江には生意気にみえ、意地でも「あなたとは
違うんです」と訴えたくなるのかもしれない。
だが江がそんなふうにして意地を張っているうちは、
江と秀忠は心の通い合う夫婦にはなれないだろう――
ドラマの秀忠はあるいはこのように考えて、
江の態度が変わるのを待つことにしたと考えられる。
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