黒い瞳のジプシー生活

生来のさすらい者と思われた私もまさかの定住。。。

食べ物の価値

2007-12-22 22:37:57 | 思索系
今日、野菜市場に行った。
そして、そこである初老のオバサンと居合わせた。
彼女は新鮮なブロッコリーを見ると、
売り手の八百屋さんの目の前で無邪気にこう言った:
「ブロッコリー、ウチの犬が大好きなんですよ!!」
その瞬間八百屋さんは、ギョッとした目で反射的に
「犬!?」と聞き返していた。

今の時代、人が苦労して作った食べ物の価値は
あの程度のものらしい。
今年(大食い女性が大食いする事それ自体ではなくて)
大食い女性に人気が出た事も、
おそらくはこれと同じ理由だろう。

かくいう私も、もちろんこれに文句を言う資格はない。
胃腸炎がひどいときに食べ残してしまった
うどんが捨てられてあっても何とも思わなかったし、
料理のなかに苦手な食材が潜んでいれば、
やっぱり特別な事情でもない限り残している。
だけど・・・今日のあのオバサンの悪気のない言葉は、
あまりにショックだった。
せめて八百屋さんのいないところで言うとか、
犬にやることを悟られないような表現を使うとかしないと、
八百屋さんに失礼なのではないのか。
つまり、食べ物の価値を昔より低く見ているということは
本来隠すべき事なのではないのか。

ただ、彼女は私より数倍は人生経験が豊富なので、
私よりは常識があるに違いない。だとしたら
むしろ、ブロッコリーを過小評価しているのではなく
犬の価値の方が人間と同格に上がったと考えるべきなのか。
だから彼女には悪気が無かったのだろうか。
そしてもし私が愛犬家になったら、彼女のように
八百屋さんを喜ばせるつもりで
「これ、犬が好きなのよ!」と喜ぶようになるのだろうか。