黒い瞳のジプシー生活

生来のさすらい者と思われた私もまさかの定住。。。

リスペクト男子

2007-12-18 16:43:19 | 思索系
『平成男子図鑑』(著:深澤真紀 日経BP社)を買った。
この本の内容は、その一部がこちらに載っているが、
そこにとりあげられている色々な
U35(=35歳以下の団塊ジュニア)男子の共通項は、
「リスペクト」(=直訳すると「尊敬」)であるらしい。
つまり、彼ら(…というより我々)の性格の特徴は――
・地元愛が強い
・友達や家族を大事にする
・自分の身近な人を非常にほめる
…と、要するに、自分が大好き・自分のまわりも大好き、
ということだそうだ。
本の論調はどう考えても既に批判的であるように思えるが、
こちらではさらに気がついたことを少し述べたいと思う。
(ただし私のこととして考えると判断が鈍るので、
なるべく他人のこととして考えさせてもらうが…)

「自分や周囲が大好き」であること自体は悪いことではない。
これはきっと「おやじ世代」(団塊世代)も
理解してくれることだろう
(思うに、もし自分を愛せなくなってしまったら、
太宰治のような地獄の人生と末路をたどってしまうだろう)。
だが問題は、自分や周りを愛しすぎるあまり、
自分とはあまり関わりの無い人間
(例えば、たまたま同じ店や乗り物に居合わせただけの人間)
に対する配慮がお留守になってしまっている場合である。
そもそも家族や友人を愛することのできる人間の
心根が悪いはずはないのだが、
一旦彼らの眼中に無関係な人間の存在が消えると、
知らず知らずのうちに無関係な人間に対する気配りが
お留守になった状態に陥ってしまうのではないか。
(だからもし彼らに
そのお留守に対する罪悪感を感じる機会があれば、
彼らは少しは考え方が変わると信じている)。

それにしても、U35が身内びいきと言うのであれば、
U35による昨今の身内殺しは一体何なのか。
一見「リスペクト男子」とは正反対の「ガンダム男子」
(…大人や組織の都合に振り回される事に
強い嫌悪感や不信感をいだく「男子」のこと)の
不満が爆発した状態と考えればいいのだろうか。
それとも、「愛しさ余って憎さ100倍」という事なのだろうか。

ちなみに、リスペクト男子はU35全体の共通項であるらしいから、
ガンダム男子は一部のリスペクト男子と考えることができる。
先も述べたように、
ガンダム男子は一見リスペクト男子と正反対で、
そのためこの本の著者の指摘は矛盾しているように感じるが、
よく考えてみると、そんなことはない。
なぜなら、大人や組織の都合に振り回される事に
強い嫌悪感や不信感をいだくというのは、裏を返すと
やはり「自分は使い捨てにされるべきではない特別な存在で、
だからこそそれにふさわしい待遇を受けて当然だ」と信じ、
その実現を実際に望んでいる自己愛の証拠だからである。
ただ、そんなガンダム男子がいだくと述べている
「しょせん、大人や組織は自分をコマとしか見ていない」という
諦めの気持ちは、処世術になるから全く悪くないと考えられる。