日本人の美意識「侘び寂び」(Wabi-Sabi)
茶道の世界観を表す言葉としてすぐに思い浮かべるのが「わび」「さび」かもしれません。果たして、わび、さび、とは何なのか私も茶道をたしなむ身でありながらよく理解できません。千利休の師匠である武野紹鷗は「わび」とは正直に慎み深くおごらぬさま」といっていますし、藤原家隆の歌「花をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや」=花の開花のみを心待ちにしてる人に雪の間から芽生える草の姿にこそ本当の春があるのだ」ということを見せたい。利休は静けさの中にも自然の力強さが感じられるこの歌も詫びであるといっています。慢心しない心の美しさが「詫び」であり、古びた味わいに美を見出すのが「寂」である。これが日本人の心でもあります。