もうこれ、期待以上に面白かった。
私は1978年生まれだから、82年生まれのキム・ジヨン氏(本書の中でそう呼ばれている)は弟と同年代。その、私より若い時代に生まれて、韓国がまだこうも女性が生きにくかったとは、そして、母と同世代に当たりそうなジヨン氏の母、オ・ミスク氏も5人兄弟で育ち、姉と自分は小学校を出てソウルに出て住み込みで働き、そのお金で兄や弟は大学まで出たなんて・・とんでもない男尊女卑な話に驚いた。
私が見た数少ない韓国ドラマの中ではそんなことは微塵も感じさせなかったので、ジヨン氏の世代でも男の子が生まれることを待ち望まれて、男女比の出生率が偏ったなんて驚きだ。
そして、就職活動。日本も長く氷河期で、もちろん私の時もそうだったから多少理解できるとしても、韓国での就職が大変なことは聞いたことはあった。
男女の賃金の差にも驚きだし、数年前、韓国の芸能界の性接待の話なども、この本を読んで改めて本当にあることなんだと納得がいった。
だから、朴槿恵大統領の誕生は、韓国がガラスの天井をついに突き破った物凄い革命的なことだったと思うのに、その末路があれでは悲しくなる。
アメリカだって、ガラスの天井は未だ破られていないし、ハリウッドでのME TOO運動も記憶に新しい。日本はと言えば、森、元オリンピック委員長のあの軽々しい女性蔑視発言で世界から改めてレッテルを貼られた。
この本は、キム・ジヨン氏のカウンセラーの男性医師が語り部になっている。
最初から最後まで無駄がなく、ジヨン氏の半生が具体的に描かれ、終わり方もまた巧妙だ。読み終わってみて「え!!?」と思った。唐突な最後だけど、そこがいい。
私もこの本を子供たちに薦めてみたいけど、まだちょっと早いので、まずは本好きな友達の高校生の娘さんに薦めたいなあ。もう読んでるかな〜。
著者のチョ・ナムジュさんの本を他にももっと読んでみたい。