CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

医療格差社会

2006-08-08 16:43:53 | リハビリ
医学は不確実性の科学("science of uncertainty")であり、確率の技術("art of probability" )である。(臨床医学判断学入門(Medical Decision Analysis)より

それを踏まえた上で、必要な人が必要な医療を受けられるシステムが、日本の国民皆保険制度。

『たまたま』重症であったり、回復に時間がかかる人が、『負け組』になる制度で良いのでしょうか? 民間保険に入っていた人だけが、高い水準の医療を受けられて、無保険の人が、病院の前で見捨てられて死ぬ社会で良いのでしょうか?

『国にお金がない』、『無駄を削る』と言いながら、実は誰かが得をしていませんか? 理不尽に思える制度改革では、『得する人』を考察することが大切です。

国民からみれば、削減した税金の何十倍ものお金を、特定の企業が吸い上げる仕組みではないですか? 『無駄』を削った結果、特定の機関や企業が、『無駄』以上に利益を得ていませんか?

そして、その『無駄』が本当は無駄ではなかったとしたら・・・。単に『長期にわたり効果の明らかでないリハビリ』というフレーズは、医療における利益追求と格差社会造りに利用されただけということになります。犠牲者はもちろん、たまたまその対象となってしまった患者さんです。

このような話をすると、お役人はなぜ当事者意識をもつことができないのでしょうか、と質問されます。自分がそうなる可能性だってあるのに、と私も思いますが、そこは謎です。特権階級のための病院があるわけでもないでしょうし・・・。

制度を硬直化することで、そこからたまたま落ちこぼれる人が『負け組』。その混乱の中で、まさか火事場泥棒のような人達が、虎視眈々とチャンスを伺っていないか、心配です。