CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

昨今のリハビリ医療を眼科に例えれば・・・

2006-08-03 04:29:49 | リハビリ
例え話です。こんな眼科の方針は実在しないはずです。

右眼が失明の危機。治療によって完治はしないが、手動弁くらいに改善する可能性はある。
   ↓
 (架空の治療方針)
   ↓
大切なのはADL。右眼の回復に「拘るのは」「障害の回復への固執」よ。さっさとあきらめなさい。それより、1週間で左眼だけで遠近感をつかみながらADLを自立させなさい。見えにくくて危なかったら、介護保険でも申請してみたら? 使えないと思うけど・・・。


????これって、一体、医学なんでしょうか? 医療と言えるのでしょうか? 右眼の治療を早く始めてよ!という患者さんの必死の思いに対して、何も治療しない・・・としたら。(もちろん、眼科ではそんなことはないと思います。)

でも、脳卒中片麻痺のリハビリでは上記のことが日常茶飯事です。右片麻痺、ハイ、すぐに利き手交換、右手を使えるようになろうと思う気持ちを、勝手に『ネガティヴ』な気持ちに塗り替える一部のリハビリ専門家達。

「リハビリテーション医療」が全人的医療であることの中には、「機能障害の回復への挑戦」が含まれているはず。しかし、それ【のみ】では社会復帰できないので、代償によりADL自立の概念とか、人間としての尊厳を回復できるまでの心のサポート、社会職業的問題の解決などなど、全部が含まれているはず。

いつから、短期のADL自立だけがクローズアップされて、それ以外のものが『悪魔』のごとくに、切り捨てられてしまったのでしょうか? しかも期間限定

リハビリ医療関係者は、いつから『即席諦め促し業』に成り下がったのですか? リハビリ科=『ADL科』ですか? 『自立さもなくば切り捨て科』ですか?

麻痺などの機能障害の面でも、ADLの面でも、心の面でも、『長期にわたり確実に改善』している部分を【診る】ことができるリハビリ科医を育てましょう。