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港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


献立は…  
シネマ・ポップス…ときどきイラスト

『最後の盃』 ファン・ダリエンソ楽団 (唄:ワルテル・グティエレス)

2018-10-06 15:54:02 | アルゼンチンタンゴ

”La última copa” Juan D'arienzo (Walter Gutiérrez) 【YOUTUBEより】 



1925年にフランシスコ・カナロ作曲、フアン・カルーソ作詞でアグスティン・イルスタが唄った典型的な歌謡タンゴです。
以前のフランシスコ・カナロ楽団の『酒宴の一夜』”Una Noche De Garufal”では楽しく陽気に飲んで騒ぐ楽曲でしたが、
こちらは同じ飲んで騒いでなのですが失恋のやけ酒です。
歌詞は、愛した彼女に逃げられ人生は終わってしまったと悲観する男が、友人たちにこれが最後の酒だからシャンパンを
なみなみと注いでくれと少々ヤケッパチになった様子を綴っています。

Eche, amigo, no más; écheme y llene
hasta al borde la copa de champán,
que esta noche de farra de y alegría
el dolor que hay en mi alma quiero ahogar.
Es la última farra de mi vida,
de mi vida, muchachos, que se va.
Mejor dicho, se ha ido tras de aquella
que no supo mi amor nunca apreciar.

Yo la quise, muchachos, y la quiero
y jamás yo la podré olvidar.
Yo me emborracho por ella
y ella quién sabe qué hará.
Eche, mozo, más champán,
que todo mi dolor
bebiendo lo he de ahogar.
Y si la ven, amigos, diganlé
que ha sido por su amor
que mi vida ya se fue.

   *****

私もあちこちのブログ記事を楽しんでいますが、アルゼンチン・タンゴに関する記事を見かけることはまずありません。
ところが、私の読者登録している「いんちょ」さんのブログにアルゼンチン・タンゴの記事が!
それも、カルロス・ガルデルの ”Por Una Cabeza” (邦題『首の差で』) 
いつかは記事にしようと思っていた曲なので思わず何度も聞かせていただきました。
ありがとうございました。


本日の日替わりメニュー(70)

2018-10-05 16:44:15 | 本日の日替わりメニュー

『悲しき足音』 スティーヴ・ローレンス
”Footsteps” Steve Lawrence  【YOUTUBEより】 


この曲は1960年にハンク・ハンター作詞、バリー・マン作曲で、スティーヴ・ローレンスのシングル盤は全米7位のヒットになりました。
曲調はノリの良い典型的なアメリカン・ポップスなのですが、歌詞は愛した彼女が別れを告げて去って行った足音に苛まれながら
苦しむ男の苦悩を綴っています。
日本の【今週のベストテン】では、1961年9月第2週に登場して14週連続ランクイン(最高5位)を記録しています。
唄っているスティーヴ・ローレンスはアメリカでは1962年に”Go Away Little Girl”(かなわぬ恋)で全米No.1ヒットを飛ばしていますが
日本では『悲しき足音』のみの一発屋に終わっています。

Footsteps(繰り返し)
Why did you say goodbye to me
Now I’m as lonely as could be
And as I feel a tear drop fall
I hear your footsteps down the hall
Walking' away from me.
Why did you say goodbye?
Why did you make me cry?
Now everyday I wonder why,
Why, why why, oh why, oh 

しかしながら、この悲しい内容の歌を能天気に唄えるアメリカ人って、どんな精神構造しているのだろうと思ったものでした。

本日の日替わりメニュー(69)

2018-10-04 13:34:55 | 本日の日替わりメニュー

『小さな花』 ファウスト・パペッティ楽団
”Petite Fleur” Fausto Papetti  【YOUTUBEより】 



クラリネット奏者のシドニー・ベシエが1952年に再婚相手の女性に捧げるために作曲した名曲です。
当時はあまり注目を集めていませんでしたが、1959年にイギリスのクリス・バーバー楽団やボブ・クロスビー楽団が取り上げて
爆発的なヒットになり、日本の【今週のベストテン】においても、1959年の年間ベストテン第一位の栄光に輝いた楽曲です。

『シベールの日曜日』 旅の友・シネマ編 (22) 

2018-10-03 15:50:14 | 旅の友・シネマ編



『シベールの日曜日』 Cybele ou les Dimanches de Ville d'Avray (仏)
1962年制作、1963年公開 配給:東和 モノクロ
監督 セルジュ・ブールギニョン
脚本 セルジュ・ブールギニョン、アントワーヌ・チュダル
撮影 アンリ・ドカエ
音楽 モーリス・ジャール
原作 ベルナール・エシャスリオー「ヴィル・ダヴレーの日曜日」
主演 ピエール … ハーデイー・クリューガー
    フランソワズ(シベール) … パトリシア・ゴッジ
    マドレーヌ … ニコール・クールセル
    カルロス … ダニエル・イヴェルネル
    ベルナール … アンドレ・オウマンスキー
主題歌 『シベールの日曜日』 ( Cybele ou les Dimanches de Ville d'Avray ) 唄・マリー・ラフォレ

戦闘機パイロットのピエールはベトナム少女を誤殺したショックの直後に撃墜されて頭部を打撲し意識障害となった。
障害の治療で通っていた病院の看護婦マドレーヌと恋仲になり同棲してはいるがピエールの孤独は癒されなかった。
ある日、ピエールは街角で父親に引っ張られて泣いている少女フランソワズが気になりそのあとをつけると父親は彼女を
寄宿舎に届けて逃げるように見捨ててしまった。数日後、運よく寄宿舎に入ることができたピエールはそこでフランソワズと
再会し、次の日曜日に親族を装ってフランソワズと面会して外出許可を得て二人で散歩、池の波紋を見つめたり森の中の
大木にナイフを立てて木の精の声を聞いたり、二人はまるで恋人同士のようにお互い寒々とした心の隙間を埋め合った。
そしていヴの夜に森の小屋で二人だけの聖夜を迎え、フランソワズは自分の本当の名前はシベールだとピエールに教える。
その頃、マドレーヌはピエールの不在に気づき担当医や警察に相談、警察も異常な男が少女を連れ去ったと認識して捜査に
乗り出す。やがて警察は森の小屋で眠りについたフランソワズのそばにいたピエールを発見、少女の危険を感じた警官は
ピエールを射殺してしまった。目覚めたフランソワズはピエールが死んでいるのに気づき、警官に名前を尋ねられても「もう、
私には名前なんかないの、誰でもなくなったの」と激しく泣き崩れ、少女の名前は永遠に失われてしまった。



原作はベルナール・エシャスリオーの小説「ヴィル・ダヴレーの日曜日」で、ブールギニョンはベトナム戦争により精神が
不安定になった少年のような心を持つ男と、薄幸で大人の女性の心を持つ少女との悲しくも美しい魂のふれあいを
水墨画のような世界の中に描き上げました。特に、ヌーヴェルヴァーグにはなかった強いロマンチシズムと見事な映像美で
切ない感動の冬物語を作り上げ、ヌーヴェルヴァーグ後に開花するクロード・ルルーシュなどによるロマンチシズムと映像美の
融合という更なる新しい波の先導役となりました。



映画の底辺にはペシミズムが絶えず流れているのですが極力それを殺しながら、救われることがあり得ない二つの魂を
さも天使の戯れのように美しく描くことにより、ラストシーンの結末の感動を高める見事な演出です。



ブールギニョンは日本で墨絵の素晴らしさに憑りつかれてそのイメージでこの作品を撮ったといわれています。
寒々とした池の冬景色、水面の波紋などの中に二人のきらめく心情が見事に映し出されていて、背景を巧みに利用しながら
天使たちの深層心理を表現しています。



タイトルにあるヴィル・ダヴレーは、パリとヴェルサイユの中間にあるパリ郊外の都市の名前で、フランス印象派の画家である
ジャン・バティスト・カミーユ・コローがヴィル・ダヴレーを大いに気に入ってここに別荘を買い取りこの街の風景画を描いた
ことで有名な町ですが、彼の代表的な作品でもあるコローの池(Étangs de Corot)が『シベールの日曜日』の舞台となりました。




この映画の主題歌なのですが、本来はまだ駆け出しのモーリス・ジャールがメインテーマを書き下ろしているのですが、
残念ながら話題にもならず心に残る名曲とはなりませんでした。
それよりも、本編の森道でのお散歩デートでフランソワズがわずか十数秒小さく口ずさんだ『宮殿の階段に』がこの映画の
主題歌となっていて、『シベールの日曜日』というタイトルでマリー・ラフォレのこの曲がリリースされています。
この『宮殿の階段に』 ( Aux Marches Du Palais )は、フランス西部の18世紀ごろの歌で、作詞・作曲は不詳ですが、フランス
国内の広範囲にわたって知られた民謡で、美しい娘に恋した若者が捧げるプロポーズの歌です。

『シベールの日曜日』 マリー・ラフォレ
”Aux Marches du Palais” Marie Laforet 【YOUTUBEより】



シャルル・アズナヴールを偲んで… 本日の日替わりメニュー(68)

2018-10-02 11:46:36 | 本日の日替わりメニュー

フランスを代表する最後の巨星シャルル・アズナヴール氏(94)が、10月1日未明に南仏プロバンス地方の自宅で死去されました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

今日は故人を偲んで代表曲を聞くことにいたします。

『忘れじの面影』 シャルル・アズナヴール
(1974年、作詞・作曲はハーバート・クレツマーとシャルル・アズナヴール)
”Tous les visages de l'amour” Charles Aznavour  【YOUTUBEより】 


Toi, parée de mille et un attraits
Je ne sais jamais qui tu es
Tu changes si souvent de visage et d'aspect
Toi, quel que soit ton âge et ton nom
Tu es un ange ou le démon
Quand pour moi tu prends tour à tour
Tous les visages de l'amour


想い出の瞳』 シャルル・アズナヴール
”Et Pourtant” Charles Aznavour  【YOUTUBEより】 


ラ・マンマ』 シャルル・アズナヴール
”La mamma” Charles Aznavourr  【YOUTUBEより】 


イザベル』 シャルル・アズナヴール
”Isabelle” Charles Aznavour  【YOUTUBEより】


ラ・ボエーム』 シャルル・アズナヴール
”La Bohéme” Charles Aznavour 【YOUTUBEより】



また、アズナヴールは俳優としての顔もありました。

主要出演作品
1959 今晩おひま? 監督・ジャン・ピエール・モキー


1960 ラインの仮橋 監督・アンドレ・カイヤット


1960 オルフェの遺言 監督・ジャン・コクトー


1960 ピアニストを撃て 監督・フランソワ・トリュフォー


1962 フランス式十戒 監督・ジュリアン・デュヴィヴィエ


1962 地獄の決死隊(トブルク行きのタクシー) 監督・ドニス・ド・ラ・パトリエール


1963 アイドルを探せ 監督・ミッシェル・ボワロン



アズナヴールは私にとって最大限にリスペクトしていたエンターティナーでした。
安らかな眠りにつかれますよう、心よりお祈り申し上げます。