映画音楽史(36) 『裸足の伯爵夫人』 1954年公開

『裸足の伯爵夫人』 The Barefoot Contessa (米) 1954年制作
監督　ジョセフ・L・マンキーウィッツ
音楽　マリオ・ナシンベーネ
主演　ハリー・ドーズ　…　ハンフリー・ボガート
　　　　マリア・ヴァルガス　…　エヴァ・ガードナー
　　　　ファブリーニ伯爵 …　ロッサノ・ブラッツィ
主題歌　裸足のボレロ ( Song of the Barefoot Contessa )　演奏・ユーゴー・ウィンターハルター楽団

運命に操られた女優の生涯を彼女の理解者であった映画監督の回想形式で綴った一編。
ジプシーダンサーのマリアは映画監督のハリーに見いだされて一躍人気女優になった。
ある日、気まぐれにジプシーで踊っていたマリアはファブリーニ伯爵に見染められて伯爵夫人となる。
しかし、マリアの不義密通を疑った伯爵に情夫ともども射殺されてしまう。

主題歌の『裸足のボレロ』はこの映画のためにマリオ・ナシンベーネが書き下ろしたもの。
フルートと手拍子というエキゾチックな楽曲に仕上げたユーゴー・ウィンターハルター楽団の
レコードは映画主題歌として大ヒットしました。
映画では、マリアがジプシーたちに囲まれて踊るシーンで使われています。

↓はユーゴー・ウィンターハルター楽団の『裸足のボレロ』 YOUTUBEより

ポップス・ベストテン 1962年1月 その4

『今週のベストテン』1962年1月27日
①悲しき片想い　ヘレン・シャピロ
②夢のデイト コニー・フランシス
③悲しき街角　デル・シャノン
④コーヒー・ルンバ ウーゴー・ブランコ楽団
⑤峠の幌馬車　ビリー・ヴォーン楽団
⑥恋の一番列車 ニール・セダカ
⑦落日のシャイアン アル・カイオラ楽団
⑧悲しき足音 スティーブ・ローレンス
⑨子供じゃないの　ヘレン・シャピロ
⑩夜霧のニューヨーク　フェランテとタイシャー
⑪いとしのクレメンタイン ブラウンズ
⑫マリーは恋人 エルヴィス・プレスリー
⑬漕げよマイケル ハイウェイメン
⑭月光のノクターン ディック・ジェイコブス楽団と合唱団
⑮ハローメリールー リッキー・ネルソン
⑯ムーンリヴァー ヘンリー・マンシーニ楽団
⑰ブルー・ハワイ　エルヴィス・プレスリー
⑱電話でキッス ポール・アンカ
⑲初恋の人　トニー・ザイラー
⑳花咲く街角　デル・シャノン

『今週のヒットレコード』1962年1月28日
①電話でキッス ポール・アンカ
②悲しき片想い　ヘレン・シャピロ
③夢のデイト コニー・フランシス
④星に語れば リンダ・スコット
⑤悲しき街角　デル・シャノン
⑥恋の一番列車 ニール・セダカ
⑦漕げよマイケル ハイウェイメン
⑧北風　テキサス・ビル・ストレングス
⑨ムーンリヴァー ヘンリー・マンシーニ楽団
⑩夜霧のニューヨーク　フェランテとタイシャー

この日の放送から『今週のベストテン』では11位から20位までのランキングが正式に発表されることになりました。
『今週のヒットレコード』も2月25日からベスト15位までが発表されるようになります。

『今週のベストテン』では『いとしのクレメンタイン』に代わって『子供じゃないの』が9位に入りしました。
この曲は『悲しき片想い』のB面でリリースされたもので、珍しくAB両面が同時にトップテンにランクされました。
また、プレスリーの『ブルーハワイ』が17位にありますが、当分の間下位に低迷し、
ベストテン入りして爆発的な人気が出るのは映画情報が報じられる5月半ばでした。
19位の『初恋の人』はトニー・ザイラーと銀盤の女王イナ・バウアーの映画『白銀に踊る』の主題歌で
ビング・クロスビーとグレース・ケリーの『トゥルーラヴ』をアレンジしたものでした。

ポール・アンカのフアンが多い『今週のヒットレコード』では『電話でキッス』がトップに返り咲き。
『マリーは恋人』に入れ替わって『夜霧のニューヨーク』がベストテンに入ってきました。

↓はヘレン・シャピロの『子供じゃないの』 YOUTUBEより

映画音楽史(35) 『麗しのサブリナ』 1954年公開

『麗しのサブリナ』 Sabrina (米) 1954年制作
監督　ビリー・ワイルダー
音楽　フレデリック・ホランダー
主演　ライナス　…　ハンフリー・ボガート
　　　　サブリナ　…　オードリー・ヘップバーン
　　　　デヴィッド …　ウイリアム・ホールデン
主題歌　バラ色の人生 ( La vie en rose )　唄・オードリー・ヘップバーン

サミュエル・テーラー原作のブロードウェイ作品をワイルダーが劇映画化。
資産家ララビー家のお抱え運転手の娘のサブリナがパリから帰国する。
ララビー家の次男坊のディヴッドはフィアンセがありながらサブリナを口説く。
それを止めようとした実直な長男ライナスもサブリナの虜になってしまう。

主題歌の『バラ色の人生』は、1946年作詞エディット・ピアフ、作曲・ルイ・グルーミェによるもので
ピアフ自身の代表的なヒット曲。
映画ではライナスが運転する車の助手席でサブリナがちょこっとだけ唄っています。

Quand il me prend dans ses bras
Il me parle tout bas
Je vois la vie en rose
Il me dit des mots d'amour
Des mots de tous les jours
Et ca me fait quelque chose

↓は映画よりオードリー・ヘップバーンの『バラ色の人生』　YOUTUBEより

映画音楽史(34) 『オズの魔法使』 1954年公開

『オズの魔法使』 Wizard of Oz (米) 1939年制作
監督　ヴィクター・フレミング
音楽　ハロルド・アーレン
　　　　ハーバート・ストサート
主演　ドロシー　…　ジュディ・ガーランド
　　　　マーヴェル　…　フランク・モーガン
主題歌　虹の彼方 ( Somewhere Over The Rainbow )　唄・ジュディ・ガーランド

ライマン・フランク・ボームの童話を子供向けミュージカルに仕上げた映画。
現世はモノクロ、オズの国はカラーで撮影された。
カンサスの農家の娘ドロシーは大竜巻に巻き上げられてオズの国に舞い落ちる。
ドロシーは、ライオン、かかし、ブリキ人形と共に大冒険を始める。

主題歌の『虹の彼方』はエドガー・イップ・ハーバーグ作詞、ハロルド・アーレン作曲。
映画では巻頭のモノクロ場面で、ジュディが自宅の農場で遥か彼方を眺めながら唄っています。

Somewhere over the rainbow Way up high,
There's a land that I heard of Once in a lullaby.
Somewhere over the rainbow Skies are blue,
And the dreams that you dare to dream
Really do come true.

↓はジュディ・ガーランドの『虹の彼方』 YOUTUBEより

映画音楽史(33) 『帰らざる河』 1954年公開

『帰らざる河』 River of No Return (米) 1954年制作
監督　オットー・プレミンジャー
音楽　ライオネル・ニューマン
主演　マット・コルダー　…　ロバート・ミッチャム
　　　　ケイ　…　マリリン・モンロー
　　　　マーク　…　トミー・レッティグ
　　　　ハリー・ウエストン　…　ロリー・カルホーン
主題歌　帰らざる河 ( River of No Return )　唄・マリリン・モンロー

カナディアン・ロッキーの急流を背景にしたモンロー主演の西部劇。
人を背後から撃ったことで拳銃を封印したマットは息子のマークと農地の開拓に励んでいた。
そんな時、流されていた筏から酒場の歌姫ケイを救ったものの、川の両岸からインデアンの襲撃を受け、三人は筏で激流を下る。
下流のカウンシル・シティで待ち受けていたのはケイの情夫ハリーであった。
拳銃を乱射するハリーを背後から撃ったのは…

主題歌の『帰らざる河』はケン・ダービー作詞、ライオネル・ニューマン作曲。
タイトルバックはテネシー・アーニーフォードの唄ですが、ラストシーンでは
モンローが酒場の歌姫に扮して唄いました。

Umm
If you listen, you can hear it call
wail-a-ree wail-a-ree

There is a river called 'The river of no return'
Sometimes it's peaceful and sometimes wild and free
Love is a traveler on 'The river of no return'
Swept on for ever to be lost in the stormy sea

↓はマリリン・モンローの『帰らざる河』 YOUTUBEより