パンドラの箱を開けるとちむがいた

書くスピード早いですが、誤字脱字多し。

三洋の世襲

2007-03-29 23:16:11 | Weblog
三洋電機は井植一族が何らかのかたちで
経営に関与してきましたが、
ここにきて漸く経営の一線から退くとのことです。

三洋のような株式公開会社で世襲制のようなものが
通用してきたこと自体が驚きですし、
大きな金を貸しているGSや住友がイライラを募らせるのもよくわかります。
海戦山戦で数々の修羅場をくぐり、肉体的にも精神的にも、頭脳的にもタフな
GSや住友の首脳陣からすれば、あまりにもたよりない経営者に見えたのでしょう。

世襲だからとたかが40才台の社長があんな大きな会社を経営できるわけありませんし、
順風満帆なら、脇を固める番頭がしっかりしていれば何とかなるでしょうが、
危機的な状況のときに、さしたる苦労も修羅場も経験したことのない若造を
社長に就任させたこと自体が非常に疑問です。

現在の経営は昔のように、狭い範囲で身内で仕事をこなせばよいのではなく、
社会的要請やステークホルダーとの関係など、
高度に専門化、複雑化しています。
もし、三洋のような状況で40歳台で社長に就任する人物がいるとするなら、相当優秀な人材でないとダメでしょうが、
それが世襲で産まれてくるとは到底思えません。
今の三洋には、経営のプロが必要だったのでしょう。

私の前任の会社も創業当初は世襲でしたが、やがて、世襲ではなくなりました。
実は、私がいたころにも、創業者直系の人が社員として働いていましたが、
さしたる特別待遇をうけることなく、むしろ、出世コースから外れたところにおり、
やがて辞めてしまったのでした。それを知る社員もほとんどいませんでした。
彼はそんなに優秀ではなく、優秀な人材がゴロゴロいる社内でもし、
彼が「創業者の直系だから」と言う名目で社長になっても、
バカにして誰もついてこないだろうと思います。
またかつての一流商社三井物産でも、親類に三井物産の社員がいないこと 
と明確に社員募集要項(中途ですが)に書いてあり、
世襲のような弊害を除去しようとしているように思います
(本当はほかの要因があるような気がしますが)。

同様の問題で、これから心配なのが某大手自動車メーカです。
直系の子息が副社長にいますが、はたして、彼はそれだけの能力があるのかわかりません。
ただ、今のところは順風満帆だし、脇に優秀な副社長がたくさんいますし、
副社長以上の合議体で意思決定を行うので、
よっぽど変なことをしない限り大丈夫でしょう。
ただ、業績が下方になってくると、そんな修羅場はくぐってきていないだろうだけに、
とたんに危機に陥ることは容易に想像できますし、
果たしてそのときにはどうなるのか、さっぱりわかりません。

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62冊目

2007-03-24 23:29:59 | Weblog
◎62「超・学歴社会」溝上憲文、光文社、2005



感想:
学歴がいかに見えないかたちで企業の人事部に
浸透しているかを、
具体的に人事部の証言をもとに
記してあり、
説得力がありました。

ぼくも、基本的に学歴と商売は関係ないと思います。
本田やソニー、松下の創業者なんかを見ればわかりますが、
学歴よりも情熱とか執念とか発想や度胸などが必要だと思います。

逆に、そういう企業が創業者なくして、
安定的に企業の体をなして発展していく段階では
学歴はある程度必要だと思います。

だから最近では、一橋や慶応などのサラリーマン社長
が多くなってきているのではないかと想像できます。

では高学歴創業のユニクロや楽天などについては、
これは海外企業の焼き直しにすぎないので、
独創性もへったくれもありません。

本書は大企業の人事担当者の本音ベースの話がふんだんに入っているので、
高校生に特に読んで、大学とは何か?
という参考にしてもらいたい本です。

しかし、この前の読んだ本もペーパーブックですが、
たまたまかも知れませんが、
最近はペーパーブックでも良い本が多い。

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61冊目

2007-03-17 19:51:56 | Weblog
◎「はじめての工学倫理」齋藤了文他、昭和堂、2001





感想:
工学部の授業を意識して作られており、
実際の出来事をケーススタディーとして「君ならどうする?」
という問いかけをしています。
巻末には参考資料がたくさん載っています。

特に印象的なのがシティコープタワーの実例で、
有名建築が設計した建築物が実は十数年に一度の
ハリケーンに耐えられないことを学生に指摘され、
その事実を認めた建築家が、シティやそのほかの関係者に事情を説明して、
補強工事を行ったという話です。
最近静かになりましたが、耐震不足のマンション建築を設計士などは
この倫理観が欠如していたのでしょう。

そのほかにも、日航機の墜落や、チャレンジャー号墜落、
原発コンクリート大量加水事件など、実例を挙げているものが多く,
ついつい読んでしまいます。

また、倫理的に問題があると、
技術者として思った場合の具体的な行動方法まで言及しており、
実務的にも使える良書です。

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就職氷河期

2007-03-16 00:42:03 | Weblog
景気が上向いているせいもあり、企業が新入社員の人数を大幅に増やして、
売り手市場になっているらしい。

ぼくが就職活動をしていたころは、まだ就職氷河期で、例えばNTTがその年の採用をゼロにしたり、
その他の大企業も前年比大幅減していたころだった。
そのせいもあって20台後半から30台半ばのぼくらの年代がどの企業も非常に少なく、
最近では、ぼくらの年代をターゲットに中途採用市場が非常に活発になっています。

一方で、今40台の人たちはというと、バブルのころで売り手市場、
今のような状況だったようです。
結果、能力の低い人や、同期との過当競争もあり、苦しんでいたり、
あきらめていたり、なかなか自分の思うような仕事ができていない人が散見されます。

ぼくの最初の会社の同期は330人程度でしたが、バブルのときは1000人を超えていたようです。
一方、リストラでポストが3/4程度になったので、
当然ポストにつけれない人もたくさん出ています。
ポストがすべてではありませんが、出世レースから
脱落した多数の人たちは「食べるために仕方なく」仕事をしています。

おそらく、そんな先のことを考えずに、楽勝ムードで就職活動をしていると思いますが、
本当に自分が納得できて、出世レースから脱落
してもその会社で勤めて行きたいぐらいの思いがないと、
きっと「大量採用大量離職」になってしまうと思います。

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60冊目

2007-03-11 15:39:35 | Weblog
○「お払い箱のビジネスモデル」小屋和幸、洋泉社、2006



感想:
ペーパーブックで適当な内容だろうと思って読んでみましたが、
内容は非常にしっかりしており、通信業界、広告業界、金融業界等について、
最新の動向を押さえつつ、筆者なりの建設的な見解をそえる内容になっています。

特に印象的なのは、広告で、電通などがテレビ広告に胡坐をかいている間に、
ネットでの広告が広がり、今では、ラジオの広告を追い抜き、
新聞の広告に迫ろうという勢いです。

ただ、テレビにはまだまだ及ばないとのことですが、実際アメリカでは、
すでに新聞業界がネットに食われてしまって、大手の新聞社は大規模なリストラを行っているようです。
日本でも、新聞業界はどうやらかなり危機的な状況らしく、ここ数年が一番危ないとのこと。
というのも、ネットの追い上げとともに、団塊世代の大量離職に伴い、
なんらかの仕事の関係上読んでいた人が、新聞をやめるのではないかと言われているようです。

本書はなかなかの良書なので、特に就職活動をしている学生さんに勧めたい一冊です。

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