湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

父の誕生日

2019-09-26 23:08:00 | 日記
数年前のちょっと前まで
なかなかくたばらない父は
ゆうに90歳を超えても生きてゆくのだろうと思うほど元気だった


そりゃ、老人特有の症状や
持病は持っていたとしても
少し介護しながらでも
この人は、90歳をすぎて
なおかつ、親であることを
振りかざし、歯に衣を着せず
ダンディに取り繕って
生きていくのだろうと
ため息まじりに
真剣に思った時期があった


もとより
性格は難しく
母が自分が先に逝っては
私が困るだろうと思うほどだった


肺がんとも分かって数年
それでも進行しないと踏んでいた


そんな方は沢山いらっしゃるのでね。


しかし、あれよあれよと
弱っていった父は
肺がんには勝てなかった。


もし、あのまま生きていたら
今日は90歳の誕生日だった



朝、何にも考えずに
『お彼岸も終わるねぇ〜』と
いつものように朝の挨拶を
仏壇の前でしていた

やけに
埃っぽかったことで
仏壇を久しく磨いてないことに気がついた

花の水を変え
お茶を入れ替え
手を合わす


仏壇を前にしてよいことは
朝は今日の1日を無事に終えますように
夜は、今日の1日が無事に終えたことを感謝できること


花の水を変えることと挨拶は
毎日の日課となっていた


埃を払って『ごめんねー』
忘れてしまうほどになったことが
私も月日の流れを感じるゎって
また、手を合わす


ふと気づくと
今日が父の誕生日である


メビウス10mgソフトから
一本新しく差し出して
お位牌の前におく


そうだ!
今日は、茶碗蒸しを作ってあげよう!

埃っぽかったのに気づくのも
気づかせてくれたのよね

至らない私に
教えてくれたのよね


感謝を込めて
夜は茶碗蒸しをお供えした


『大好きだったでしょ?
食べられなくなっても
茶碗蒸しと温泉卵だけは食べられてたものね。どれだけ毎日、作ったことかー』

けど、あの日々が懐かしい

もう一度と願うけれど

もう、それはそれで終わってしまったことなのよね

だけど
感じて下さい
匂って下さい


そっと茶碗蒸しを置いて
また、手を合わす


写真の顔が
ニコリとしたように思う


天寿と言う言葉がある
それぞれの天寿を全うする

立派だったよ。


仏様になってからの90歳のお祝いは
あの世に伝わっているのかな







コメント (2)
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