湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

ジャムの入った飴玉ひとつ

2018-02-13 08:54:49 | ポエム
ジャムの入った飴玉を
舐めるのが好きなの


口の中に放り込んで
舌で舐めからめて
口の中で転がして行くと
もう少し、あと薄皮一枚で
ジャムにたどり着くところまできて
舐めることを躊躇する


大事な宝物を扱う心境になる


けれどそれも長くは続かない


躊躇した後すぐに
じんわりと砕けて
ジャムが飴からとろりと溢れ出る


それは幸せな瞬間であって
最後のご褒美となる


ジャムが流れたあとの
痕跡を舌でたどりながら
もっと深く深く味わいたいと
絡め取れるだけ絡め取りつくしたい


もう一度、もう一度。。。


そのうちに
最初の断片に戻るだけなのに
なんと言うこの虚しさは。。。


そしてその小さな断片さえも
最後には
カリッと
非情にも全てを噛み砕く


何事もなかったかのように
甘いトロリした記憶だけが
私のこころに残るのです


ジャムの入った飴玉一つ


数年前
大好きになった飴
今はあるのかないのか


遠い日の恋を思い出すようだよ。


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