湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

冷たい雨

2017-10-13 16:22:35 | ポエム
玄関のドアを開けた
あッと
空を仰いで
雨だと小声でつぶやく


そう言えば
いつも
癖のようにしてしていた
自分の居場所と
あの人が住んでいる場所の天気予報


見ていなかったことに気づいたら
ふッと
少し
自分を無くしたような気がした


そして
弱い雨が
今日は降り続いて
止みはしないだろうね



一歩外に出てみたら
やっぱり雨は冷たくて
季節の移り変わりを教えてくれる


けれど
どうしてだろう
雨が昔からの
友達だったような気がして
一粒一粒の雨を
抱きしめたくなった


そんなこと
できやしないけど


それでも
数滴の雨つぶを
手のひらにのせて
静かに閉じてみたら


この冷たさが温められて
溢れる涙に変わるような
そんな一瞬は
あの時の私みたいだね


手のひらから
こぼれて流れ
つたい溢れていく
冷たいままの雨は
今のわたしのよう


無くしたものはただ一つ


知っているけれど
見つめてばかりいるのは
止めにしておこう


雨は
濡れるものじゃない


雨は
突き刺さるものじゃない


冷たさがあるから
あたたかさが恋しさを誘うように


どこか切なくて
どこかオトナで


秋の冷たい雨は
ただ寄り添って
今日の私を慰めてくれる


ただ
それだけでいい






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