惰天使ロック

原理的にはまったく自在な素人哲学

Killer - Cozy Powell

2012年05月02日 | 年を経た洋楽オタの話
from YouTube

この曲には、わたしにとって今も解けない──まあ解く気もない──謎がひとつある。

この動画の2:14あたりに入っている、キーボードとギターの掛け合いである。これは誰がどう聴いても「スペース・インベーダー」のあの効果音そのものであるわけである。タイトーが「スペース・インベーダー」を発売したのは1978年、この曲が収録されたコージー・パウエル最初のソロアルバム「Over the Top」が発売されたのは1979年だから、確かに前後は合っているわけだが、しかし前者が空前のブームを巻き起こしたのは、早くても1978年も暮れになってからではなかったかと思うわけである。

今でこそプライベートではゲームばっかりやっているロック・ミュージシャンがいたって、そんなのは珍しくもなければ変わった趣味ですらないわけだが、当時そんな人はいなかった、というかそういうことがありうるようになったのは「スペース・インベーダー」が最初だったと言っていいわけである。それも国内の話である。外人のミュージシャンが日本のアーケード・ゲームにのめり込んでいるというのは、その図を想像しただけでも吹き出してしまうほどのミスマッチな光景で、たまたま来日公演のオフ日に街へ繰り出したら珍しいものを見つけた、というようなことでもなければありえなかったはずである。

しかしその間にはコージー・パウエルも、この曲に参加している他のメンバーも、日本には来ていないのである。直近のレインボウ来日公演は1978年1月(ファンの圧死事件が起きて、これはかなり大きく報道された)で、この時点で「スペース・インベーダー」は存在していなかった。キーボードのドン・エイリーはまだレインボウに加入する前で、というかギターのゲイリー・ムーアと一緒にコロシアムIIをやってたわけで、これは来日公演はやっていないわけである。

そうするといったいどこから、また誰がスペース・インベーダーの話を、いや効果音を聞いたのか、そしてそのゲームの印象からこの曲(題名がkillerというのはどう考えたってそこから来ている)を作り上げることになったのか、これが謎である。

もちろん、すべてはただの偶然の一致だったということはありうる。わたしは当時ワンボード・マイコンで「スペース・インベーダー」の効果音を再現するプログラムを、お遊びでよく作っていたから、あれは割と簡単にできるものだということ自体は知っている。もとが確かテキサス・インスツルメンツの効果音ジェネレータのチップを使っていて、その音は矩形波主体のごく単純な作りだったから、アナログシンセやオーバードライブしたギターの音が偶然それとそっくりになるということはありえた。

とはいえ、である。まあ何度聴いてもそっくりなんだよねえ(笑)。


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