惰天使ロック

原理的にはまったく自在な素人哲学

Stuart Coles, An Introduction to Statistical Modeling of Extreme Values, Springer

2011年11月17日 | 読書メモ
An Introduction to Statistical Modeling of Extreme Values (Springer Series in Statistics)
Stuart Coles
Springer
Amazon

この本がこないだ言ってた極値理論の本の一冊である。もう一冊あるのだが、それは機会あればということにして、そもそもこの本を紹介するのは、いつものような「オススメ」の意味ではない。内容的にはたぶんオススメなはずだが、まだ買ったばかりで中身をちゃんと読んだわけじゃないからから保証はしかねる。

そうじゃなくて、今日この本を読もうとしてみたら、最初のIntroductionの2ページ目(全体でも2ページ目)から印刷がこんな有様だったのである。


上で画像つきリンクを張っているのはほかでもない、そもそもこの画像自体がAmazonの内容紹介画面をキャプったものだからである。それ以外の理由ではない。

言っとくけどこの本のお値段は約10000円である。理科系の人間ならSpringerの原書と聞いただけで怖気を振るうくらい、Springerの本はお高いのである。に、したって、万札切った本でのっけからこんなページが出てくることは、日本では許されないというか、考えられないお粗末な印刷、いな、これはたぶん製版からのものである。

欠けて読めなくなっている3か所のうち2番目の「implemen...」は、これはまあimplementationだと判る。問題は残りのふたつである。このくらい大穴が開いていたらどこかに正誤表があるんだろうと思ってネットから何から探してみたが見当たらない。困ったな、初っ端から万事休すかと諦めかけたところで、ふと思いついて「of observations in a year」で検索をかけてみたら・・・わはは、出てきた。


どうやらGoogleでこの本をスキャンしてOCR解読させたらしい。何にせよ欠けている部分の最初は「number」だとわかった。よっしゃよっしゃと思って残りのひとつも「complement」と「development of appropriate models」でAND検索してみると・・・


ぐぬぬ、こっちはダメだ(笑)。Googleのスキャナも根負けしたようだ(笑)。まあしかし、改めてこのあたりの文字を眺めてみると、どうもそんなに変わった語彙や表現が用いられている感じではなさそうだ、ということで「as a complement」とかで検索してみると、このcomplementの後に続くのはたいてい「to the」であることがわかる。なるほど擦れてはいるがかろうじて「t」は読める。そう補ってみると「statistical implementation as a complement to the development of appropriate models」は「適切なモデル開発の補完物としての統計的実装」と直訳できて、これは意味が通っていそうである。

判ってみればどれもたいしたことはないわけで、たぶん英語圏の人間ならこのくらいは何も言わなくても補えてしまう程度のことであるのだろう。ネット上に正誤表が見当たらなかったのもそのせいだろう、が、英語味覚障害のわたしには、こんな程度でも「Springerのボッタクリめ、カネかやせこん畜生」と言いたくなってしまったくらいの大事であった。

数理統計学の専門家でもない限り普通はこの本は買わないし読まないだろうが、わたし同様しばしパニックをきたした、あるいはこれからきたすであろう英語嫌いのボンクラ学生どものためにこの記事を捧げる。

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