惰天使ロック

原理的にはまったく自在な素人哲学

Henry Leuba「A Psychological Study of Religion: Its Origin, Function, and Future」

2012年05月27日 | 読書メモ
わたしの「思いつきモデル」によれば人間の社会というのは経済と政治と宗教(文化)の三極の力学として眺められるはずだということになっているわけである。

しかし経済と政治はともかくとして、そもそもわたし自身は無信仰のバチ当たりなので、宗教というのは皆目判らないわけである。出戻り大学生のころに橋爪大三郎センセイの「宗教社会学」の講義を聴いたことはあって、色々タメにはなったのだが、結局何なのだろうというところまで自分の理解を深めるには至らなかった。要は本気で関心を持つということができなかったわけである。実生活上でも何のリアリティもない上に、計算機屋が複雑性の科学をやろうとしている段階では、知的な関心がそこまで届くということもありえなかった。

で、まあ、今になってようやく自分自身の関心がそちらの方にさしかかってきたことで、宗教社会学とか宗教心理学とかいったあたりから改めてちょっとずつ調べて行こうとしているわけだが、前者は例によってマックス・ウェーバーの方から、後者については(調べた結果)まずはこれなのか、ということになった。この本の付録にはカントやヘーゲル以下、欧米の哲学者や宗教学者その他による48通りの「宗教の定義」が網羅されているわけである。

なんでこの本を紹介するかというと、この本が出版されたのはちょうど百年前の1912年で、すでに著作権とかは切れていて、Web上から正々堂々PDFでダウンロードできるからである。Amazonとかで本になったものも買えるが、案外お高い(笑)。

  A Psychological Study of Religion: Its Origin, Function, and Future (Open Library)

翻訳はないのかって、戦前に一度翻訳されたことがあるのだそうだが、そんなものは手に入らない。入ったところで読めるとも思えない。

ちなみにこの本より大規模な、実に104通りもの定義を集めたもの(もちろんこれも付録)が1961年にわが文部省から出版されていたりする。

  岸本英夫、文部省調査局宗務課編「宗教の定義をめぐる諸問題」(1961)

この本、Amazonで検索すると見出しはあるのだが、古書を含めて取り扱いがない。わが国の宗教科学(ちゃんとそういう学問分野があるのだということを、これを調べていて初めて知った)における古典的な重要文献だと思われるのだが、入手できないというのは困ったものである。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 5月26日(土)のつぶやき | TOP | 5月27日(日)のつぶやき その1 »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 読書メモ