惰天使ロック

原理的にはまったく自在な素人哲学

Black Night Live - Deep Purple

2012年06月10日 | 年を経た洋楽オタの話
from YouTube

今朝はどうしてか早朝からパープルの「Made in Japan」ライブを聴いていたわけである。

そもそも世界中で「メイド・イン・ジャパン」が安物の意味ではなく上質の品を意味するようになったのは、そのライブ・アルバムが出た頃からのことだったはずである。実際、その時点ではまだ「メイド・イン・ジャパン」は必ずしもいい意味の言葉ではなかったので、件のライブ盤も国内盤のタイトルは「ライブ・イン・ジャパン」に差し替えられてしまったほどであった。そういう意味では「メイド・イン・ジャパン」という言葉は「わし(ら)が育てた」と主張する権利が、この当時のDPのメンバー(イギリス人)達にはあると思う。

で、上の動画はそのライブ・アルバムに収録されなかったアンコール曲が、後にDPが最初に解散した(笑)後に売り出されたベスト盤の「売り物」的に収録されたものであるわけである。要するにオマケ扱いだったわけだが、出してみると国内どころか世界中で絶賛され、以後スタジオ盤も含めてこの曲のどの演奏よりもこのライブの演奏こそが最高だということで愛聴されてきた、今も愛聴されているいわくつきのトラックである。

それほどのものなら、そもそも何でこのトラックが「メイド・イン・ジャパン」には当初収録されなかった(後にCDの時代になって収録されるようになった)のかと言えば、LPの収録時間の問題もあったらしいのだが、それよりもアンコール演奏であったために他の曲よりも「演奏のクオリティが低かった」からだと、確かこのベスト盤のインナーでそう解説されていたような記憶がある。

「この血管切れそうな神演奏のどこがクオリティ低いんだゴルァ」と、中学生のわたしはその解説を読んで憤然としたものだったが、当時のわが国の大人の洋楽マニアというのは、それだけ生真面目な人が多かったというのも確かである。

あるいは、HR/HMはおろかロック・ミュージック自体がまっとうな音楽だとは、世間一般ではいまだ見なされていなかった時代のことで、冗談じゃない、むしろこれこそが真の音楽なのだと主張したい当時のマニアの人達は、演奏についてもそういうストイックな姿勢をとらざるを得なかったのかもしれない。

そして、ひいてはそのことがHR/HMやプログレがただの際物に終始しない音楽的クオリティを世界的に持つようになった──世界のどこよりもまず日本で評価されることが、この分野のアーティスト達にとって重要になった──きっかけになったわけである。そういう意味ではHR/HMは「わし(ら)が育てた」と主張する権利が、わが国における累代のHR/HMリスナーの人達にはあるのである。
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