いわゆる「高学歴ワーキングプア」ってのは、文系の大学院に進んだか、理系でも先がなさそうな分野の勉強にリソースを突っ込んでしまった人たちがなるものであって、実用性の高い研究してる人は結構年齢いってても仕事見つかったりするんじゃなかろうか。甘いかな。 (kammater) |
ま、確かに絶無ではないかもしれない。とはいえそもそも「実用性の高い研究」ってのが何か判るくらいだったら苦労せんわということがある。企業がいう「実用性」というのは研究の次元であるよりはノウハウの次元だったりすることが多いわけだ。つまり理屈よりは経験と慣習(convention)の世界だ。ITが流行ってる時代にITで博士号取りましたと言ったら引く手あまたかというとそうとは限らない。そういう意味で言うと理系だってほとんどの分野は、実態としては「先がなさそうな分野の勉強にリソースを突っ込んでる」ものだと思っていい。「企業にとっての即戦力」という観点から見た場合は、ということだ。で、気がつくと大学教師くらいしかすることがなくなっていて、そのポジションも払底していたりするわけだ。
それじゃ未経験は駄目かというとそうでもない、というのは、専門が何であれその専門の理論がほんとに基礎から身についている人は(これが案外いないわけだが)ちょっとやそっとの新技術や奇抜なノウハウが出てきても自分のアタマで応用理解することができる。本物の物理屋だったら通信だろうと金融だろうと何だってすぐに(理屈に関しては)核心が掴めるものだ。こうした分野の算数はもともと全部物理の算数を拝借して作ったものだからだ。つまり、与えられた課題に手持ちの知識なり方法なり、あるいはもしあれば経験を重ね合わせて、そんで意味のあることをやってみせられるかどうか、その「柔軟性」が本当は一番重要だということだ。むろん、何事にも絶対ということはない。仕事がそうだからって人事担当に同じ程度の「柔軟性」があるかどうかといったら別問題だしな。
まあ何にせよ、学力に生きてきた人は学力を使うべきだ。勉強は真面目にやりましたといって、そんで30くらいまでだったらそれなりに仕事は見つかるものではないのかな。若さはそれ自体が柔軟性の証だからな。俺なんかがエライ目に会ったのはほとんど40前だったからだ。