カナディアンロッキーで暮らす

カナディアンロッキーで暮らす茶道とカルトナージュ愛好家の日々

秋らしくなってきました

2020-09-18 20:00:00 | 出たっきり邦人・メールマガジン

 

 201号

こんにちは、いかがお過ごしですか?
9月に入り、アスペンが黄葉し始め、一気に秋がやって来ました。
今年、初冠雪は9月7日、例年よりずいぶん遅めでした。その分夏が長かった
ということで、今夏は、ゴルフ、カヤック、テニス、バイク、ご近所さんとの
キャンプ、2週間のドライブ旅行、とたくさんアウトドア・アクティビティを
楽しみました。

 

新型コロナウィルスの感染は気になりましたが、ボウバレー地区(バンフ、
キャンモアとその周辺の小さな集落をまとめてそう呼びます)は都会と違って
人口密度も低く、感染リスクもかなり低い状況でした。5月以降は感染者ゼロ
ということで、ソーシャルディスタンシングを守りながら、徐々に人との交流
も規制が緩やかになり同居の家族以外の人との交流も6人~8人~15人OK
と時間をおいて広がってきました。学校再開の頃は50人くらいの集会も可能
となりました。

9月から小中高全ての学校が再開し、親御さんはホッとしたとたん、1週間後
にドキッとするニュースが舞い込みました。ダウンタンの公立中学でひとり
感染者が出たというのです。兄弟が小学校にいるということだったのですが…
学級閉鎖だけで、学校全体がクローズという事態にはなりませんでした。

我が家の近所にある私立の小中学校は今のところ平常に授業が行われているそう
です。アルバータ州全域で言うと、毎日100~140名内の新患が出ている
らしく、まだまだひとりづつが危機感を持ち感染予防対策をしないと、いつまた
パンデミックが起こるかもしれません。とはいえ、不特定多数と接触するマー
ケットや屋内ではマスクする、手の消毒、帰宅時の手洗い、くらいです。



そろそろ朝晩の気温が10℃以下になってきたので、曇りの日はウォーキングを
止めて町営のジムに行き、いい汗流した後はホットタブで体を温めて…という
例年通りのことが、今年はまだできません。プールは8月末から再開しています
が使えるのはシャワーだけ、それも更衣の時間も含めて15分以内に終えなくて
はならず…そんなわけで、夫と「温泉行きたいね~」と話したりしています。

我が家の秋の恒例行事「松茸狩り」、まだ誰からも情報が入ってこないので豊作
か不作かなどわからないのですが、10月初旬に「温泉」と「松茸狩り」が楽し
めるBC州Nakuspへ出かけることにしました。公営の温泉はまだ開いていない
のですが、いつも利用する天然温泉は私設なのでホームページで確認すると
宿泊者に限り温泉(プールですが)利用が可能でした!
あぁ、10月が待ち遠しい~~。

温泉に併設のガンバロータイプのシャレ─があり、わんこも大丈夫なので、もう
10年くらい通っています。今年はラブ,もいなくなったし、Nakuspの町のホテル
にも泊まれるのですが、シャレ─はフルキッチン付で自炊ができるし、市内から
20分ほど離れた山中にあるため、晴れだと満天の星空を眺めながら温泉に浸か
れるのが魅力です。おまけに採れたての松茸でスキヤキができれば言う事なし!
なのですが…

最近TVで「終活」や「エンディングノート」という言葉をよく耳にします。夫
との会話にもちょくちょくこの話題が出てくるようになり、今まで人事のように
思っていたことが、段々現実味を帯びてきた感があります。考えるのもいやだ
まだまだ自分には早すぎる…と避けてきたけれど、どうやら絶対に避けて通れ
ないと、一方で観念する自分もいて、そろそろ断捨離を始める気になりました。

そんなころ、新型コロナの発生で外出の機会も減らさざるを得なくなり、まずは
いづれ読もうと買って本棚に並べていた本を順番に読み、読み終えたら以前から
溜めていた本と一緒に図書館に寄付するために段ボール箱に入れて…どうしても
残したい未練のある本は本棚に戻しました。

昨春訪れたオレゴン在住の友人夫妻(二人ともアメリカ人)はKonMariメソッド
に感化され、きれいに片付いた衣類の引き出しを開けて見せてくれました。
すごい!と感激したものの、なかなか実行できずにいたのですが、自粛期間は
良いチャンスと、私もやっと実行しました。まず自分の衣類全てをベッドの上
にどんどん積み上げて行く。次にその中から「ときめくもの」と「ときめかない
もの」とに分類ときめかないものは整理箱に入れてスリフトショップへ。

片づけをするときは、衣類、本類、書類、小物類、思い出品の順番で進めていくと
いうのがKonMariのセオリですが、衣類と本は逆になったものの、後は順番通りに
やってみました。移住するときにも沢山処分して、厳選した物だけを持ってきた
つもりでしたが、15年経って、また知らず知らずの内に物が増えています。移住
後4~5年間、熱心に学んでいたカルトナージュ(フレンチハンドクラフト)に
関する本、素材、厚紙など、当時フランスで購入したものがほとんどですが、両手
の指に次々と腱鞘炎が出始め、そのころゴルフに目覚めたこともあって段々遠のい
てしまいました。

カルトナージュで作った作品は実用的なものが多く、時間をかけ丁寧に製作した物
ばかりで、まだときめくものも多くて処分できないままです。ある友人に言わせれ
ば「メルカリ」で売ればよいのだそうですが、それには日本に持ち帰らなければな
らず、どうしたものかと思案中です。

子供の頃に始めて、長らく趣味として親しんできた茶道は移住しても続けたいこと
NO.1だったのでリビングルームに置いてお稽古できる「立礼卓」を持ってきました。
畳の茶室でしか使えない棚や炉の道具はすべて茶友に譲り、選りすぐりの茶道具だけ
持ってきたのですが、6年前、右乳房にがんが見つかり、日本で手術、放射線治療
など済ませて5ヶ月後にカナダに帰国。当時は体力の低下、再発の不安で気持ちが
沈んでいたようで、見かねた夫が4畳半の畳を日本から取り寄せ、ゲストルームに
していた部屋を小間の茶室に変えてくれました。もう日本で使っていたようなお道具
は再購入できませんが、あるもので何とか体裁を整え、ちゃんと畳の上でお稽古が
できることに、教授者として希望と歓びを感じ「頑張ろう!」と心も体も元気になれ
た気がしました。

畳の間は時折ゲストルームにも変身。二人分の布団を敷いても余裕がある広さですし
ゲストはほとんど日本人なので、畳に布団は落ち着くと、喜ばれています。最近では
窓についているロールカーテンが障子に替えられたらもっと雰囲気が「和」になる
のに…と、まだ物欲が出てきてしまいます。すっきりと暮らすのも、もちろんシニア
には必要ですが、ワクワク、ときめきのある生活を少し残すことも大事ではないかと
都合の良いことを考えている私に、夫は(たぶん呆れて)ただ笑っています。

正直に言えば、私の物欲は「食器」にもまだ残っています。カナダでも和食を好む夫
のためにあれこれ現地で調達できる食材で和食を作っていますが、食材は余り種類が
なく…それを補うのが「器」なのです。



15年前に持って来た食器のほとんどは健在で活用していますが、15年同じものを
使っていると「飽き」てしまい、昨秋帰国の際、とうとう我慢できず、信楽にいる
陶芸家の友人を訪ね、彼女の工房にあった作品の中から4,5種類お皿や小鉢を選び
格安で譲ってもらい、大事に機内持ち込み手荷物でカナダに持ち帰りました。

土物の器は磁器より欠けたり割れたりしやすく、うちでは食洗機はほとんど使いません。
食後皿洗いをしてくれる夫は私より上手に&丁寧に扱ってくれていますので、新しく
加わった器でこれからまた長らく楽しむことにします。



それにしても、最近は中国や韓国マーケットに日本の食材が増えていて、本当に助かり
ます。先日は白みそ、赤みその1kg入りを見つけて、早速お肉や魚のみそ漬け用に
購入。和食店など営業用で使われていたミョウガや貝割れ菜も小売りされるようになり
3つ入りの小さな茗荷パックが7.99カナダドルでも、あの香りと食感があるのとない
のではお料理の質がうんと違って来るので、カナダに居ながら和の食生活に、ささやか
な贅沢をしています。