〓カナダ・アルバータ州カナディアンロッキー発〓
カナディアンロッキーで暮らす
No.72
☆★☆★ 悲しい出来事 ☆★☆★
宝塚に住む友人から、梅雨に入りかなり暑くなってきたとメールが届きました。
ロッキーでは、今だに朝晩10℃以下の日があり、もう10年この時期に日本に
は帰っていないので、日本の夏がいったいどれくらいの湿度と暑さだったのか
はっきりと思い出せないほど、遠い昔のことになってしまいました。
タイトルに書いたのは、5月24日、親しい友人がサヨナラも言わずに逝って
しまったことです。
2月29日にご主人を交えてランチを共にして、その日も豪快にワインを飲み
干していた彼女だったのに…。
3月下旬に入って胸のしこりに気づき、すぐ受診したところ、MRIで肝臓にも
18センチ大のがんが見つかり、それ以後は緩和ケアを受けながら、亡くなる
一日前まで自宅で過ごしていたそうです。
家族以外、だれにも知らせないで、というのが彼女の希望だったので、25日
の朝ご主人から電話で知らされたときには絶句してしまいました。
たったの2ヶ月で…信じられない思いと、最期のやつれた姿を見せたくないと
いう女心に胸を打たれましたが、密葬では、特別なメイクが施されたのでしょう
棺に横たわっていた彼女は生前とちっとも変わらない、少し笑みを浮かべてい
るような寝顔で、やっとお別れを言うことができました。
人の死に接することはもう何度も経験していることですが、年齢の近い人が逝っ
てしまいことに、とても敏感になっている気がします。
望まないのに病にかかり、余命いくばくかと案じて苦しい思いをした経験が私
自身にもあるので、余計に衝撃だったのですが…最後までご主人と二人の生活
を大切にしてきっぷの良い彼女らしく、潔い最期だったと思います。
かつて他人ごとのように思っていた「がん」という病気に、自分が侵されている
とわかってから、日本に帰り治療計画が決まるまでの不安な日々の中、ずい分
前からお引き受けしていた講演会があり、何とかその日は出かけられるように
準備をしていたのですが、間近になり、大切な検査と講演日が重なってしまい
ドクターに検査の日を変えてもらうという私に、絶対に自分の体のことを優先
させるようにと、夫が検査の日程を変えることに猛反対して、結局講演会を
中止させて戴いたことがありました。
このとき、不本意にも中止しなければならなかった理由をお話ししているのにも
拘わらず、講演依頼を受けた方から何とかして来ていただけないか、私がだめ
なら代わりに夫にカナダの移住生活について語ってもらえないかとまで問い合
わせがあり、実のところそれどころではない状況下の私たち夫婦は、楽しみに
していてくださった方々に本当に申し訳なく、心苦しくて辛い思いをした経験
がありました。
相手に望むことと、相手が望むことは必ずしも一致しないということを思い知っ
たのと、今まで少し自分を、あるいは最愛なる夫までも犠牲にして、人のために
ボランティア精神で尽くしてきたことが多くあったことを振り返ってみて、体を
犠牲にしてまでやってはいけないことがあると、遅まきながら気づかされました。
突っ走るばかりの私を、いつもブレーキ役で陰ながら支えてくれていた夫の優し
さ(苦労?)に今頃気付くなんて、何て愚かな妻だったのかと大いに反省をして…
最近では、何事も無理はしないでマイペースを心掛けています。
しかし、このマイペースというのが曲者でして…
今までなら少々しんどくても、出かけるときには完璧に夫の食事の支度を整えて…
とやっていましたが、今では一食くらい自分で作るか、外食にしてもらう…という
風に手抜きも覚えて(笑)ますます妻のしたいように振り回され気味の夫です。
それでも、頑張り過ぎないことをマイペース、ということにして、できるだけ長く
二人三脚でカナダ暮らしが続けられるように、夫婦でスローライフを心掛けて行
こうと思います。
間もなく夏至を迎え、暗くなるのは11時過ぎてから。
短いロッキーの夏はこれからが本番です!
では、また来月!
お元気でお過ごしください。
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