奥様的部屋

主婦の独り言&映画や本の話もちょこちょこ(ネタバレあり)

ブレイブ・ストーリー

2006-08-31 03:32:44 | 本など_いろいろ

やっと読めた・・・・
文庫(上)(中)(下)

やっと読めた・・・・

宮部みゆきの作品には、SF、ミステリー、社会派、時代モノ、少年少女向けファンタジーなどがあるが、私はミステリーや社会派モノが好き

で、この作品は冒険ファンタジーだそうだ(Amazonの紹介より)
なので、正直なところ、私の好きな分野とはいい難く、やけに読み終えるのに時間がかかってしまった
(夏休みに入り通勤電車が空いていて座れるために、乗車後すぐ眠ってしまうこともなかなか読書ができない理由の1つだけど

そもそも話の進み方がなんだか冗長的に思われて、途中で"これ、いつまで続くのかなぁ"なんて思ってしまったくらいで・・・・

この分野に対する苦手意識もあるのかもしれないけれど、それ以外にも"何か"私に合わない理由がありそうだ

だって、この作品同様に、一見無関係に見える小さなエピソードまで深く掘り下げられた宮部みゆきの長編「模倣犯」を読んだ時には"長いなぁ"とは思ったものの"終わりはまだかなぁ"とは思わなかったもの

分野以外に何が違うんだろう、と考えてみると・・・・
この物語はあまりにも"素直"すぎるのではないだろうか
個々のキャラクターや場面は面白いものの、話の大筋にはあまりヒネリや意外性がなく、主人公のワタルは決められたルートを決められた目的に向かって、淡々と進みつづける・・・・ように見える
だから私は"また、新しい街かぁ、もう飽きたから早く女神の塔を出してよ"(←ちょっとヒドイ・・・・?)な気分になってしまったのだ

実は、夫に話の流れを説明したらRPGっぽいね、と言われた
私自身はRPGが苦手
上に書いたのと同じような"もういいから早くゴール見せてよ"な気持ちになって途中の色々なシーンに飽きてしまい、最後まで行けたためしがない
(最近では手を出す気にもなれない)
なので、夫の言葉を聞いた時に
"そっかぁ~、だからこの本もイマイチだったんだなぁ"
と至極納得してしまった
RPG好きの夫に内容のサワリだけ説明したら面白そうって言ってたし・・・)

後半(カッツの死やキ・キーマやミーナとの別れ 以降)所々で胸がじ~んとなって"泣いちゃうかな"というシーンもあったけれど、"大感動"というほどではない(模倣犯のラスト、有馬さんのセリフに涙ボロボロだったことに比べれば・・・・)

とは言っても、作品のテーマ「運命を変えるのは自分自身の強さで、誰かに変えてもらうものじゃない」には大いに感動したし、"憎しみなどの自分の醜い部分も自分自身であることを認識して受け入れなくちゃいけない"などの随所に散りばめられたメッセージは心に残る
旅の途中で出会った仲間たちとの数々のエピソードも素敵だった

そして、私が宮部みゆき好きな理由の1つの
人物や場面の描写の細やかさは、やっぱり素晴らしかった

ワタルの心理描写の一つ一つには
「この気持ちすごく良くわかる!、
  こういう単語でこういう言い回しをすればちゃんと表現できるんだなぁ」
と感心してしまったし
情景描写の多くでは(アニメ化、ということを知っていたから尚更だろうけど)その様子の簡単に頭に思い描くことができた

話のテーマも表現も大好きなのに、なんとなく"すごくよかった"と言えないのが残念

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