あの9・11の中での実話
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正直なところ、映画として評価することは難しい
すでにその政治的な問題や、被害の状況、果ては陰謀説まで色々な情報を入手している私自身は、映画としてはなんとなく物足りなく感じたのは確か
それに、あれだけの大事故で、あまりにも多くの犠牲者がいて、その人たちにみんな家族がいて,その数だけドラマがあるはずなのに、それらがこの映画からはあまり伝わって来なくて、何度も繰り返される主人公二人とその家族の画面のに、途中で「他の人の家族は?」と、気になってしまった
(例えば、エレベーターボーイの母親のようなエピソードをもう少し織り込むとか・・・)
確かに主人公2人があの状況から"家族"を心の支えにして助かったことは素晴らしいし
それを映像化した技術も素晴らしい
(地下のシーンでは観ているこちらも息苦しくなってしまったし、ビルが崩壊する大騒音には震えてしまった)
でも、この映画を実際に家族を亡くした人が観たらどう感じるのだろう、と思わずにいられなかった
それから、WTCを9・11を題材にしたのなら、どこかでそれを伝えて欲しかった
言い方が悪いかもしれないけれど、途中から観たら、他のパニック映画と区別がつかないかもしれない
もちろん、冷静に考えてみれば、実際にあの場所にいたら、政治的背景やテロリストの影なんていうことは二の次で、とにかく助かりたい助けたい家に帰りたい、ということ以外考えられなかったのが現実なのだろう
そういう意味ではきわめてリアリティに満ちた描写だったのかもしれない、とも思う
それでも、まだこの事件の記憶が新しい今はともかく、この先、この事件を過去の歴史としてしか知らない世代がこの映画を鑑賞する時、私と同じように感動することができるだろうか、ということを考えると、ちょっと疑問だ
やはり、あの大事故が人為的なテロリスト行為によって引き起こされ、無関係な数多くの人の命が奪われた、とか、実際に犯行声明があった、とか、ペンタゴンなども被害を受けた・・・と言った説明くらいはあっても良かったのでは、と思う
冒頭にも書いたけれど、実話である以上、単純に映画として評価することは難しい
それでも、"この先たくさん作られるであろう9・11という歴史に残る大事件を語る作品の1つとして観るべきだったし、観てよかった"、と思った
(2006/10/29 映画館) 353_138