白夜行の続編・・・・?
幻夜
★白夜行と幻夜の両方のネタバレしちゃってます
どちらか一方しか読んでいない方はご注意を
数々の設定や謎は白夜行の続編であることを示唆している
でも、決定的な証拠があるわけではないし、ちょっと無理があるのでは?という部分も無いわけではなく、どうにでも解釈できる
他人にはまったく無関係に見える二人の男女が、お互いが生き抜くために次々と犯罪を犯す・・・・
という展開は白夜行と同じ
ただし、白夜行では雪穂と亮司はいわば対等の立場であり(世間に対しては相当差があったけれど)作品の中での描写も同じような感じだったと思う(二人とも心情表現はナシ)
しかし、本作品では、美冬と雅也は対等とは言い難い
途中までは、雪穂と亮司の関係と美冬と雅也の関係はほぼ等しいかのように思えたのだけけれど、どんどん雪穂の謎は深まり、雅也の苦悩は大きくなっていく
そんな苦悩する雅也の心情は細かく描写されるのに、最後の最後まで、美冬の本心や正体はわからないまま
そういう意味でも、この作品は白夜行以上に後味が悪く、しかも、主人公美冬の考えを推し量るのは難しい
結局のところ、美冬は雪穂なのか・・・?
彼女が本当に追い求めているものは何なのか?
雅也を失った後、彼女はまた別の"同志"を探すのか?
暗い気持ちで余韻に浸りながらも、色々なことを考えてしまった
一つの作品として読んでももちろん面白いが、それだと、どうしても白夜行には及ばない、と思えてしまう
でも、読後に白夜行とのかかわりを考えだすと、どんどん世界が広がり、また違った意味で色々と楽しむことができる
作者自身は"続編"とは言っていないようだけれど、"深く関連のある作品"として、ここまで考えられているのは見事だと思う
★おまけ
阪神大震災に始まり、地下鉄サリン事件、ミレニアムパーティ、等など、時事に絡ませた構成も時の流れがわかりやすくて面白い