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奥様的部屋

主婦の独り言&映画や本の話もちょこちょこ(ネタバレあり)

麒麟の翼

2012-02-02 00:49:14 | 本など_東野圭吾


日本橋の地理に詳しかったらさらに面白いだろうなぁ・・・
麒麟の翼

映画を観る前に読みたい、と思って文庫化を待たずに購入
即一気読み

期待に違わず面白かった

読みやすい文体や、人情溢れるストーリー、ミステリーというよりドラマ的な展開・・・等々、この作者らしさ満載で、これだけ沢山の作品を書いているのにさすがだなぁ・・・と毎度のことながら感心してしまう
ただし・・・・帯にあるように"シリーズ最高傑作"かどうか、問われると、ちょっと待って、という感じ

事件の真相解明については、私ですら予想できてしまって"驚愕の展開"という感じではなかったし、ドラマ的な部分についても、心にずっしり来るとか、涙か止まらない、というほどのこともなかった

こちらの勝手な思い込みだとは思いつつも、"加賀シリーズ"というと、どんでん返しとか、謎解きや意外性の楽しさが満ちた作品を期待してしまう

(ただし、最近の東野圭吾の作品では、被害者の視点に重きがおかれていたり、加害者が必ずしも"悪"ではなかったり、と人間ドラマの部分を意識したものが多いので、作者自身が"シリーズ最高傑作"と言い切っている以上、私のテーマの捉え方が誤っているかも・・・・)

ただ、後半、加賀がいつになく熱くなって感情を顕にしたり、松宮と加賀がいいコンビ振りを発揮したり、「赤い指」で控えめながら大切な役割を果たしていた金森さんが再登場したり、と、このシリーズ好きなら、”お?”と嬉しくなってしまうシーンがいくつかあって、それはそれで楽しめたと思う

さ、映画観なくちゃ

★おまけ
加賀刑事が阿部ちゃんに見えて仕方がない
キャラクターも、なんだか初期の頃に比べると阿部ちゃんぽく変わってきてると思うなぁ
ガリレオもそうだけど、これは東野圭吾のサービスなのか阿部ちゃんの演技が巧いのかどっちだろう

 



 


幻夜

2007-05-31 23:39:09 | 本など_東野圭吾


白夜行の続編・・・・?
幻夜

★白夜行と幻夜の両方のネタバレしちゃってます
  どちらか一方しか読んでいない方はご注意を

数々の設定や謎は白夜行の続編であることを示唆している
でも、決定的な証拠があるわけではないし、ちょっと無理があるのでは?という部分も無いわけではなく、どうにでも解釈できる

他人にはまったく無関係に見える二人の男女が、お互いが生き抜くために次々と犯罪を犯す・・・・
という展開は白夜行と同じ

ただし、白夜行では雪穂と亮司はいわば対等の立場であり(世間に対しては相当差があったけれど)作品の中での描写も同じような感じだったと思う(二人とも心情表現はナシ)

しかし、本作品では、美冬と雅也は対等とは言い難い
途中までは、雪穂と亮司の関係と美冬と雅也の関係はほぼ等しいかのように思えたのだけけれど、どんどん雪穂の謎は深まり、雅也の苦悩は大きくなっていく
そんな苦悩する雅也の心情は細かく描写されるのに、最後の最後まで、美冬の本心や正体はわからないまま

そういう意味でも、この作品は白夜行以上に後味が悪く、しかも、主人公美冬の考えを推し量るのは難しい

結局のところ、美冬は雪穂なのか・・・?
彼女が本当に追い求めているものは何なのか?
雅也を失った後、彼女はまた別の"同志"を探すのか?

暗い気持ちで余韻に浸りながらも、色々なことを考えてしまった

一つの作品として読んでももちろん面白いが、それだと、どうしても白夜行には及ばない、と思えてしまう

でも、読後に白夜行とのかかわりを考えだすと、どんどん世界が広がり、また違った意味で色々と楽しむことができる

作者自身は"続編"とは言っていないようだけれど、"深く関連のある作品"として、ここまで考えられているのは見事だと思う

★おまけ
  阪神大震災に始まり、地下鉄サリン事件、ミレニアムパーティ、等など、時事に絡ませた構成も時の流れがわかりやすくて面白い

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あの頃ぼくらはアホでした

2007-03-19 21:44:32 | 本など_東野圭吾


自叙伝とも言えるエッセイ
あの頃ぼくらはアホでした

私の持っていた東野圭吾のイメージは・・・
子供の頃から賢くて、優秀な成績で大学を出て、一流企業に就職して・・・

だから、最初このタイトルを見た時に
「あの頃・・・」ってことは、今は賢くなったって言いたいのか~
なんだかちょっとイヤミだなぁ

なんて、ひねくれた感情を抱いてしまった

ところがところが、読んでびっくり
コレが全て真実だとしたら、やっぱり相当の(愛すべき)「アホ」に違いない
そういう意味では
あの頃はこんなにアホだったけど、それでもちゃんとした大人になりました
って感じで、このタイトルは秀逸だ
読書前後でこんなにタイトルの印象が変わるのも珍しいかも

大阪、という風土独特の底抜けの明るさと、スレスレ(←何の?)のパワー
少年時代から就職前までの彼の生活が、生き生きと語られている

さすがの東野圭吾の筆力もあり、どのシーンもその情景が頭に浮かんで(小学生が前夜の怪獣モノについてアツく語っている様子や、くりくり坊主の中学生がエロ本と格闘している様子等々)楽しくてたまらなかった

この本を読んで
男に生まれたかったなぁ」とつくづく思ってしまった
そんな風にうらやましく思ってしまうほど、東野圭吾が過去の思いでも含めて自分自身の人生を愛して楽しんでいる様子が伝わってきた

同世代の男性が読むと1番面白いんじゃないかと思う

★おまけ
  東野圭吾が怪獣好きだってちっとも知らなかった
  怪獣に関するページ数は凄い
 
★おまけ
  万引きの話なんて書いちゃって・・・
  ちょっと前の女性タレントのことを思い出して心配になってしまった
 
★おまけ2
  超・殺人事件 に出てきた似非理系人間
  まさか、東野圭吾自身が自称似非理系人だったなんて!

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毒笑小説

2007-03-16 04:54:11 | 本など_東野圭吾


怪笑小説に続いて、思わず笑ってしまう作品ばかりの短編集
毒笑小説

本編だけでも、大満足なのに、巻末には京極夏彦との対談が掲載されている
なんと豪華!

そこでは、「笑い」に対する思い入れや拘りが熱く語られていて、すごく興味深い上に、「秘密」の秘密まで明かされて、凄く贅沢な内容だ
その対談中
お笑いものは、勢いで一気に書く
という言葉があった
そうそう、東野圭吾のお笑いモノで私がいつも感じでいるのは、その「勢い」だ、最初はなんてことのないごくありふれたことが、どんどん変な方向に話が進んで行って、気が付くととんでもないことになっている・・・という感じ
その「勢い」と暴走スレスレの「疾走感」
それに飲まれてしまう感じで、読み出したら止められなくなってしまう

その辺り、筒井康隆のブラックモノと似ているような気がするなぁ
と思っていたら、東野圭吾自身、筒井康隆の笑いを目指しているようなことを対談中言っていた
やっぱりね~

本編では、それぞれの作品が、先日読んだ「怪笑小説」同様に毒の効いた笑いが散りばめられていて、読みながらついついニヤリとしてしまうものばかり

◆誘拐天国
  孫とゆっくり遊ぶ為に、狂言誘拐を思いつくおじいちゃん達
  福富、宝船、銭箱、なんていうベタな名前で、
「身代金がたった一億」と怒るおじいちゃんやお母さん
    大金持ちのお金に対する突き抜けたやり取りを楽しみつつ、
   昨今の小学生の指示待ち症候群やおけいこ漬けの日々を憂う
    あの身代金の受渡し方法は凄く巧妙だけど、一般市民には真似できないなぁ
◆エンジェル
  天使そっくりの新生物
  瞬く間に世界中の人気者になったけれど・・・・・
    最近のペットブームや環境破壊、リサイクル・・・・など等、
    色々な要素が含まれている
    東野圭吾の緻密な描写のおかげで、
    やけにリアルに私の頭の中で(すごく可愛い)エンジェルが
     描き出されてしまい、それを食べちゃう、という展開にはちょっと驚いた
 
  ◆手作りマダム
  重役婦人の家で催されるいつものティーパーティ
  そこで振舞われる手作りの品は最悪なものばかりだけど、
  夫の会社での立場を考えるとただひたすら誉めるしかない、
  部下の妻たち・・・・・
    ここまで酷くないにしても、コレと似た小説を読んだことがある
    それ以来、
    「結婚しても、周りが夫の同僚や上司のいる社宅には
     絶対住みたくない」と、強く思っている
    それにしても・・・・・オチは痛快だけどちょっと可愛そう
 
  ◆マニュアル警察
  妻を殺して自首した男が出頭した警察は、
  徹底したマニュアル化が導入されていた、
    以前務めていた職場に、とても真面目な青年がいた
    1,2,3,4,5という決められた手順を毎回全て丁寧に辿る
    私は、ある程度慣れちゃうと
    「結果が同じならいいよね」
    と1,4,5 で片付けちゃったりするのだけれど・・・・
    確かに、手順に従わなかった為にトラブルが発生してしまうのなら、
    多少まどろっこしくても手順にきっちり従うべきなんだけど、
    それは「時と場合」に因るでしょう
    特に警察なんていう「緊急」を要する場所ではね~
    最後に出てくるファーストフードの店員の言葉を読んで
    「多分東野圭吾はコレを聞いてこの話を思いついたんだろうなぁ」
    と思った
   
 ◆ホームアローンじいさん
   孫のエロビデオを見るために、留守番役を買って出たおじいちゃん
   でも、ビデオの操作方法がわからなくて・・・・・
     おじいちゃんのドタバタっぷりには、にやにやした程度だったが、
     ラストの1行で大喜びしてしまった
     タイトルも好き
    
 ◆花婿人形
   大事に大事に育てられた、旧家の跡取息子の結婚式
   その時、彼が母親にどうしても確認したかったのは・・・・
     えっと・・・・・マザコン男性は好きじゃないので
     主人公よりも、そんな彼の相手に選ばれてしまった女性に
     大いに同情してしまった
     こんな青年とはいくら金持ちでも絶対結婚したくないなぁ
    
 ◆女流作家
   女流作家が妊娠のために休業した
   が、子供が産まれた後、作家活動は再開したものの
   本人は全く人前に姿を見せなくなってしまった
     ちょっと印象の薄い作品だった(他が濃すぎるのか)
     いつまであのやり方を続けるつもりなんだろう

 ◆殺意取扱説明書
   古本屋で見つけた「殺意取扱説明書」
   家電製品のマニュアルの如く、
   安全に正しく殺人を行う為の解説書らしいのだが・・・・
     つい先日読んだ、「殺人の門」を思い出した
     "殺意"を持っていても"殺人"には至るにはさまざまな条件が必要
     というような内容だった
     で、この本は、「殺意」を「殺人」に発展させる為のものなのか、
     はたまた「殺意」を消失させる為のものなのか・・・・
     少なくとも、この主人公に関しては、後者のようだ
     でも、私みたいな説明書好きが読んだらどうなることやら・・・・
    
 ◆つぐない
   ピアノ講師の主人公の新しい生徒は中年男性
   どうしても音楽向きとは思えない、
   その男性がいきなりピアノを始めようと思い立った理由は・・・・・
      「宿命」や「分身」を思い出させる
      短編でありながら、途中は十分笑えるシーンもたくさんありながら、
      最後には、ホロリとさせられてしまった
      ここまでが、あまりにもお笑いだらけだったので、「ヤラレタ」って感じ
 
 ◆栄光の証言
   目立たない主人公が、ある殺人事件の目撃証言をしたことによって一躍周囲の耳目を集めることになったが・・・・・
      これも、単純には笑えない、
      地味で陰気な主人公の、つかのまの"栄光"
      坂を転げ落ちるように、自分を見失っていく主人公の姿が哀れだった
  
 ◆本格推理関連グッズ鑑定ショー
   本格推理関連グッズ鑑定ショーというTV番組に、
    壁神家殺人事件の現場に落ちていた心張り棒が持ち込まれた
   評価額は�だったのだけれど・・・・・
      ラストには思わず唸ってしまった、ミステリーもの
      TVショーのシーンではしっかり笑ったのだが、
      それ以外は、ちゃんとしたミステリー仕立てになっている
      東野ファンなら良く知っている天下一大五郎の初手柄「壁神家殺人事件」には真犯人がいた!なんて・・・・
      この作品より先に「名探偵の掟」を読んでおいてよかった~

 ◆誘拐電話網
   主人公の家に誘拐犯人からの身代金請求の電話が掛かってきた
   誘拐なんてしていないのに・・・・・・?
   そういうことならば、俺だって、と主人公の取った手段は・・・・
       割と"よくあるタイプ"の話
       身代金が凄い勢いで減額されているのが情けない
      
      
殆どが「毒」の聞いた「笑」の物語なんだけど、"つぐない"や"本格推理関連グッズ鑑定ショー"などがさりげなく折り込まれているあたりがすごくよく出来ていると思う

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怪笑小説

2007-03-04 08:20:47 | 本など_東野圭吾


あっという間に読めてしまう短編集
怪笑小説

"怪笑"というだけあって、登場人物は誰も彼もちょっと怪しい
そして、くすり、にやり、と笑わせてくれる

さらに本編の最後には、作者自身による作品ごとの丁寧なあとがきがあり、その作品を書いたきっかけやその作品に対する思い入れなどが紹介されているのも、作品自体の面白さを増している

◆鬱憤電車
  ラッシュ時の電車に乗り合わせた乗客たちの心の内を順に辿る
  わかるなぁ・・・
  私も満員電車に揺られながら、周りの人が何考えてるか想像したりするもの
  私自身も、心の中で罵詈雑言を吐きながら
  「思っていることが全て他人に知られちゃったら、この電車の中はどうなっちゃうだろう」なんて思うことがしばしば
  誰でも同じようなことを考えるんだね
 
◆おっかけバアさん
  ここまですごい「おっかけバアさん」なんていないでしょう
  と思いつつも、最近の韓流ブームに乗っかってるオバ様や、氷川きよしに入れ込んでるオバ様達にはコレに近いものがあるかもしれないなぁ・・・・とニヤリとしてしまった
  多少(←ここが問題)の犠牲を払っても、そうすることがその人の幸せならそれもアリなのかもね、と最後の1行を読んで感じた
  "幸せ"に対する価値観なんて人それぞれだものね
  私は人並みでいいデス、ハイ
 
◆一徹おやじ

  星一徹ばりのお父さんが、我が子を飛雄馬のごとく育てようとするのだけれど・・・・
  姉である「私」も実は超人であるあたりがさりげなく面白い
  最後に「私」について、何かどかーんと来るのかな、と思っていたらそれは無かったけれど・・・・
  それにしても、この作品についての「あとがき」はかなり読み応えがある
  生憎私は「巨人の星」にあまり詳しくないので、イメージしかわからないのだけれど、わかる人が読んだら面白いんだろうなぁ
 
◆逆転同窓会

  比較的"怪"が少なく、なんとなくしんみりさせられた
  なんとなくわかるなぁ、こういうの
 
◆超たぬき理論

  空を飛ぶ狸の話(!!!???)
  面白いなぁ、コレ
  色んな人に対する皮肉がちりばめられていて、何度もニヤニヤ笑ってしまった
 
◆無人島大相撲中継
  これは、「怪」なんだけど、最後はちょっと悲しいお話
  徳俵庄ノ介サンがどうしてそんな能力を身に付けたのか、主人公の頼みを聞いて何を考えたのか・・・・ということまで思いを馳せると、単純には笑えない

◆しかばね台分譲住宅
  途中までは、「こういう話はあんまり好きじゃないなぁ、ちょっと悪ノリし過ぎ」
  と思っていたけど、最後のオチでそんな考えは一気に吹き飛んだ
  いや、お見事
  面白い~
 
◆あるジーサンに線香を
  これも、笑いの要素は少ない
  というより、タイトルからわかる通り
  『アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス著)』のモチーフにしていて
  どちらかというと、最後にはちょっとホロっとさせられる
  こういうのも好き

◆動物家族
  私は、これが一番「怪」だなぁ、と思った
  人の心がどんなふうに壊れていくのか・・・・というのをなぞっているかのような感じで、なんだかこの物語だけ、やけに現実的に思えた
 
 
先日「時をかける少女」を観たからかもしれないけど、全部読み終わって、なんとなく筒井康隆の短編集を思い出した
なんて言うのは、どちらに対しても失礼なのかもしれないけど、強烈な風刺とかやり過ぎ一歩手前のブラックな笑いとか・・・・・
気分転換したいときに向いているかも

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殺人の門/東野圭吾

2007-02-27 22:52:30 | 本など_東野圭吾


後味が悪い
殺人の門

主人公は、幼い頃から「殺人」に対して異常に関心が高く、"どれほどの動機があれば人を殺すことができるのか"なんていうことを考えている

その「臨界点」(←これが"殺人の門をくぐる"と表現される)を追求しつづける主人公田島和幸
そのターゲットとなるのが幼馴染の倉持修

はっきり言って読んでいてかなりイライラする
主人公は、あまりにも簡単に倉持に騙され過ぎ
いい加減学習しろよ~
と、言いたくなる私の気持ちも知らずに、次から次へと簡単に倉持に丸め込まれる
で、しばらくして、騙されたとわかった後でも
コレでヤツを殺す動機が増えた」などと思うだけで、何か行動を起すわけではない

「殺したいヤツ」がいても実行できない、というのはごくごく普通の人だろう
結局、この作品では、殺意というのは心の中で考えるものだけれど、殺人という行動("殺人の門をくぐる")は動機や憎悪よりもきっかけやタイミングだ、ということを、不幸な主人公の人生を通じて示すことにその大半が費やされているのである
しかし、上に書いたように、とことん学習能力の低い主人公に対して同情も感情移入もできなくて、
早く殺人でも自殺でもしちゃえばいいのに
なんてことまで思ってしまった

だけど、最後に明かされる数々の事実と、意外な結末
サスペンスかと思わせておいて、実はミステリー

暗くて後味は悪いけれど、一気に読めてしまうのはやっぱり作者の筆力なんだろう

人生うまく行かないなぁ・・・・って考えている時には読まない方がいいと思う

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おれは非情勤/東野圭吾

2007-02-13 05:03:11 | 本など_東野圭吾


小学生雑誌に東野圭吾とは!
おれは非情勤

学研の「5年の学習」と「6年の学習」に連載されていたらしい
私もこの雑誌買ってたけど、あの頃は小説なんて載ってたかなぁ
私は、どっちかというと「科学」の付録目当てだったから、載ってても読んでなかっただけなのかもしれないけれど・・・
イマドキの小学生は東野圭吾が読めるのかぁ
羨ましい

非情(?)な非常勤講師「俺」の語りでまとめられた短編集
毎回何か事件がおこり、「俺」が複雑な小学生の心理を鮮やかに読取り、解決する

小学生向け、ということで、文章はやさしく読みやすいし、トリックもわかりやすい
でも、最後に「俺」がボソっとつぶやくセリフはかなり奥深くてカッコいい
中でも1番心に残ったのは(解説にもあったけれど)
人間ってのはさ、好き嫌いがあって当然なんだ。だけど、確かなことは、人を好きになって得をすることはたくさんあるけれど、嫌いになって得することはめったにないことさ。だったらわざわざ嫌いな人間を探す必要もない。」

うわぁ・・・いいこと言うなぁ
私も小学生にこういう子とが言える人間になりたいよ

「『俺』さん、あなた全然"非情"じゃないよ、結構いい人じゃん」
と、言いたくなってしまうけど、そんなこと言っても、
けっ、赴任して1週間の俺の何がわかるんだ」とか言われちゃうんだろうなぁ

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悪意/東野圭吾

2007-02-05 23:56:17 | 本など_東野圭吾


参りました
悪意

殺人事件発生!
だけど、半分も読まないうちに犯人が捕まってしまう
思わず「あれ?これって短編集だっけ?」と目次を見直してしまった
ところがそれがとんでもない
言わばそこからが本編の始まりで、徐々に犯人と被害者の背景、間柄、確執などが明らかにされていく

物語は、野々口修の「手記」と加賀恭一郎の「記録」「独白」「回想」「捜査メモ」が交互に綴られた形で進められる

なーんにも考えずに、疑いも持たずに読み始めた私は最初から騙されまくりで、読み終わった後には「こんな手法があったのかぁぁぁ、やられたぁぁぁ」と、爽快感さえ覚えてしまった

私はよくここにReviewを書くときに
登場人物に感情移入でき、物語に入り込んでしまった」とか、
どのキャストにも感情移入できなくて面白くなかった」という表現を使う

これは、この本の解説にも書いてあったことだけど、私(達)は、本を読んだり、映画を観たりする時に"登場人物に感情移入したがる"傾向があり、うまく感情移入できればできるほど、その作品を「面白い」と感じるようだ

いわばこの作品はそれを上手く利用して読者をまんまと騙してくれる
一番手が野々口の手記だった、というだけで、私は加賀恭一郎が騙された以上に野々口の手記を鵜呑みにし、彼に同情し、彼の犯罪は正当なものである、とすら思いかけた
いやはや、ところがどっこい、こんなに簡単に思考が操られてしまうとは思いもよらなかった

ミステリーではあるけれど、東野圭吾らしく人物の内面の描写も素晴らしい
また、いじめの根底にあるものや、世論の危うさにも言及していてそういう意味でも読み応えがある
東野作品にシリーズとして登場している加賀刑事が教師を辞めた理由の説明もある(これは結構豪華なおまけな感じ)

結構な厚さのある本だったが、一晩で読み終えてしまった


超・殺人事件―推理作家の苦悩

2007-01-26 23:13:13 | 本など_東野圭吾


こういうの大好き
超・殺人事件―推理作家の苦悩

ミステリー業界の裏事情を盛り込み、出版社や作家の生態(?)が皮肉とユーモアたっぷりに描き出されている

例えは、税金対策のために小説の筋書きを大幅に変える推理作家
売れる為には"大長編"を・・・・と徒に原稿用紙の枚数を増やそうとする編集者と作家
実際に作品を読まなくても、粗筋や書評を吐き出してくれる機械
等々、どの作品も必ず一度は"ニヤリ"としてしまう
それでありながら、全編"作中作品"が織り込まれていて、謎解きのミステリー作品としても楽しめるようになっているのも面白い

この作品に関して、以下のような作者へのインタビュー記事を見つけた
ちょっと長いけど、すごく興味深かったので引用させてもらおうっと

私は「作家は何か言いたいことがあるときは、実際に声に出して言うより小説で表現した方がいい」と思ってます。また、何かで困ったり弱ったりしているとき、自分をネタに笑い飛ばせるくらいのバイタリティーがなきゃいけない、とも思ってますので、そういう意味も含んでますね。「理系小説」とか「大長編小説」とか、その時々の話題をネタにしているのも、読者や出版社、そして自分も含めた業界全体を笑い飛ばしてしまおう、ということなんです。
(中略)そういった考えを生の声としてエッセイとかで語ってもしょうがないんですよ。そういうことは、自分の創作姿勢で、小説として表現すべきだと思う。この短編集は、そういう思いを割とストレートに題材にして書いたものが集まっています。(中略)直接的に「毒」とか「皮肉」というより、それによって生じる「痛み」を意識しています。読んでいる側も、書いている側も、多少は痛みを感じる部分が必要なんじゃないか、と。これは、この作品集に限らず、小説を書くうえで常に気にしていることです。だから、何かを皮肉るときは、「自戒の念を込めて」という気持ちを忘れないようにしていますね。」

なるほど~
普段自分が実感していることを作品を通じて、しかも自戒の念を込めて表現する
だからこそ、ここまで痛烈で面白くて、しかもイヤミじゃないんだろう

出版業界、作家、そして読者
これらこの業界に関わる全ての人に対する風刺に溢れていて、「名探偵の掟」に続いて、今後ミステリー作品を読む時の新たな楽しみ方を教えてもらった気がした

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天空の蜂/東野圭吾

2007-01-24 23:31:46 | 本など_東野圭吾


原発問題を軸に国民の在り方を問う
天空の蜂

防衛庁に納入されるはずの大型ヘリが、たまたま子供が乗り込んだタイミングで奪取された、という導入部分から、犯人探しの中盤、犯人の人物像と事件を起こすに至った背景が語られる終盤へと物語が構成されている

数ある東野作品の中でもかなりの長編
でありながらも、その中身は、ヘリコプター奪取という犯行の始まりからその終結まで・・・というおよそ10時間足らずの出来事で、その中身は濃密で、長くてもまったく飽きることはなかった
(白夜行は19年間にわたる物語であることを考えると・・・・)

犯人が誰か・・・ということは思ったより早く明かされる

つまり、本書のテーマは、犯人探しではない

私は、原発についてもう一度ちゃんと考えるべきだ、ということをこの作品を通して強く感じた

作者自身の賛成とか反対の意思表示はされていないけれど、登場人物達のセリフには様々は作者の思いが込められている

例えば
「原発は飛行機のようなものだ」という言葉
飛行機は絶対安全ではないけれど、その危険をゼロにするために多くの人々が努力を行っている
これは原発と同じだ、という説

そして、
「オレは原発に賛成でもないし、反対でもない」と言う刑事
「」
私はこの言葉に1番共感を覚えた
この言葉に対して「ずるい」という返事もあるけれど、でも,実際のところ多くの人々がこのようにかんじているのでは・・・ と思う

そして、タイトルにもなっている
「子供は刺されて始めて蜂の恐ろしさを知る」や「沈黙の群集」という言葉
これは、私たち日本人の無関心主義に対する警鐘に他ならないだろう

日本中を巻き込むような騒ぎを起こした犯人は、実害はなかったとしても罰せられるべきだけれど、最後に犯人からFAXで送られたメッセージは凄く心に響いた

私自身、「沈黙の群集」の1人に他ならないことを痛感させられ、何度も読み返してしまった

作品に込められたメッセージ性以外にも、ヘリコプターや原発についての技術的な内容や、防衛庁と製造会社との関係ややりとり、子供を救出する自衛隊の活躍等々も読み応えがあり、サスペンスとテクノロジーとアクションと・・・・色々な楽しみ方ができる大作だ



虹を操る少年/東野圭吾

2007-01-17 05:27:39 | 本など_東野圭吾

音を操り奏でる「音楽」に対して、この物語の主人公「光瑠」が奏でるのは「光楽」つまり、操るのは「光」
虹を操る少年

考えれば思いっきりSFチックにもスペクタルにも出来そうだけれど、この作品では「光楽」をあまり奇抜に扱うことは無い
それだけに、「ひょっとしたらこんな能力を持った人いるのかも・・・」とすんなり思えてしまうほど、リアリティが増していたような気がする
とは言っても、「光瑠」がその能力と「光学」によってやり遂げようとしている計画は壮大で、よくよく考えれば奇想天外である
それでも物語のテンポのよさ、スケールの大きさ、「光瑠」という人物と「光学」という未知の芸術の魅力に惹きこまれ一気に読んでしまった

ただ、[光楽]の持つ麻薬のような力や、人々の心をコントロールして世界を変えていこうとするやり方にはちょっとだけ抵抗を感じてしまった
なんとなくカルト的な新興宗教のイメージが重なってしまって・・・・・

「光瑠」の思想が素晴らしいだけに、その部分が心に引っかかってしまったのがちょっと残念だった

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名探偵の呪縛/東野圭吾

2007-01-03 14:00:37 | 本など_東野圭吾

名探偵の掟
の続編
名探偵の呪縛

前作に比べて笑いの要素は少ないけれど、天下一大五郎に事件を解決させつつ"本格推理小説"のご都合主義やお約束などを紹介していくような進め方は良く似ている
でも、前作同様その根本テーマは単なる"謎解き"ではない

前作では、そのご都合主義やお約束事を自虐的なほどに揶揄し、安直な推理モノを批判しているかのような内容だった
対して本作では、"本格推理モノのない世界"を舞台にし、主人公に作者自身の"本格推理モノへの熱い思い"を語らせている

前作を読んで"東野圭吾は本格推理モノを止めてしまうのか"と心配すらしたけれど、この作品で彼の"本格推理モノ"に対する愛情が再確認できたような気がした

また、"本格推理小説"をどんどん描いて欲しい
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怪しい人々/東野圭吾

2006-12-22 02:51:30 | 本など_東野圭吾


身近にいる人の"怪しい"部分を描いている短編集
怪しい人びと

日常生活の中の小さな犯罪
その意外な犯人を探し出す、という作品ばかり

そういう意味では謎ときモノには違いないのだけれど、大掛かりなトリックや深遠なテーマもなく、登場人物も限られていて扱われている事件が殺人や強盗であっても気軽に読むことができる
そして、ラストには小さな救いが用意されていて、1作ごとにほっとしたりニヤっとしたり・・・・

電車や布団の中で読むにはもってこいの1冊

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美しき凶器/

2006-12-15 02:17:44 | 本など_東野圭吾


スポーツ界での復讐劇
美しき凶器

謎解きの要素は殆ど無いけれど、かと言って決して単調なわけではなく、ある意味現在のアマチュアスポーツに対する問題提起まで含まれたちょっと変わったミステリー

ドーピングについてはオリンピック等の時期になると必ず取り沙汰される問題であり、私もごく一般的なことくらいは知っているつもり
特定された薬剤の使用を禁止する、として取り締まっている以上、次々と特定外の新たな薬剤や手法が用いられ、結局のところ完全にトーピングを無くすことなどできない、という程度の話は聞いたことがある

結構大きく取り上げられた問題としては、ソウルオリンピックのベン・ジョンソンのメダル剥奪やアテネオリンピックで室伏選手が繰上金メダリストになった件、至近なところではディープ・インパクトの凱旋門賞レースでの3位剥奪などが思い浮かぶ

この作品では、過去にドーピングによる体力向上によって活躍したオリンピック選手達と、また、ドーピング技術により超人的な運動能力を身に付けた女性(タランチェラ)を中心に描かれている
よく似た世界を描いた東野作品では、「鳥人計画」があるけれど、本作品のほうが実際にドーピングをした選手自信の心理に踏み込んでいて、こちらに伝わってくる切なさが大きいような気がした
特に、作中殆ど言葉を発しない「タランチェラ」
小説である以上、その姿形は想像するしかないのだけれど、だからこそ余計私の頭の中で不気味さが増し、それと同時に彼女自身も自覚していない哀しさが伝わってくるような気がした
"サイボーグのように育てられ"たとしても、心までサイボーグになってしまったのではないし、たとえ、その子供が生まれてくることがなかったとしても彼女自身が母親であることには変わりない
そんな、冷静に考えればごく当たり前のことが後味の悪い余韻となって私の心に残った

作中に登場する"血液ドーピング"や"中絶ドーピング"
私はドーピングとは薬剤によって行われるものだ、という認識だったのでかなり衝撃的だった
毎度のことながら、東野作品ではこのように作品を通じて専門的な知識に触れることが多く、作者の知識の広さ、時代を読む鋭さには驚かされる

 

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回廊亭殺人事件/東野圭吾

2006-12-08 05:40:27 | 本など_東野圭吾


叙述形式は騙されやすい
回廊亭殺人事件

過去に、何者かに嵌められ恋人を失い大火傷を負った主人公が、その復讐を果たすべく老婆になりすまし、かつての殺人現場へ向かうところから物語が始まる

嵌められた恋人を失った?
老婆に変装?
そして舞台はコの字型の旅館?

もう冒頭から謎だらけで、読み出したら止められなくなった

私はこういうタイプの主人公の叙述形式には、いつも以上に簡単に騙される
主人公についつい感情移入してしまい、主人公が仕掛けたトリックがいつ見破られるか、主人公の抱いている謎はどう解き明かされるのか、ばかりに気が行ってしまい、作者が仕掛けたトリックにまんまと嵌められてしまうのだ

この作品でも散々主人公と一緒になってハラハラしたり悲しんだりしていたら・・・・・・
あんな結末が待っていたとは!
またまた東野圭吾にヤラレタって感じ

さすがに「名探偵の掟」なんていう作品を書いているだけあって、生半可な謎解きじゃ太刀打ちできません

★おまけ
これはテレビドラマや映画にするのは難しいなぁ

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