6月30日、晴天の中
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発表は、川井万里子さん
Sir Walter Ralegh の
The Prerogative of Parliaments(1628)(『議会の大権』)についてのお話でした。
この文章は、最初、
A Dialogue between a Counsellor of State and a Justice of Peace(1614)
という題で、手稿のまま回覧された文書です。
1603年以降、Ralegh はロンドン塔に幽閉されていたわけですが
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そのような境遇にあってなお
大作 History of the World を著し、そして、この『議会の大権』を書きあげた点に
川井さんは注目しています。
川井さんによれば、1603年以降の不遇のローリーにこそ
その真髄が見て取れるということなのです。
あたかも
シベリア流刑になったことで一流作家になったドストエフスキーのように、
ローリーは、ロンドン塔での辛酸を経て、
真の書き手へと変容したということでしょうか。
とはいえ
The Prerogative of Parliaments は、そんなにメジャーな作品ではありません。
モダンエディションも出版されておらず、
17世紀の版のファクシミリ版でしか手に取ることはできません。
そんな貴重な文章を、川井さんは実に丁寧に読み砕き、作品の要諦を詳細に解説し
さらには、同時代の権謀術数にありようについても、
さながら歴史活弁を聞いているかのように、
実に鮮やかに語ってくださいました
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ローリーを破滅へと追いやっていく Robert Cecil や Henry Howard、
そして、ローリーに劣らない傑物である妻エリザベス (Bess Throckmorton)…。
陰謀渦巻く、血なまぐさい時代に生きた
ローリーの姿が見事に浮かび上がってきました。
川井さんの今回の発表では、
Anna Beer, Sir Walter Ralegh and his Readers in the Seventeenth Century (1997)
が重要な文献として活躍していましたが、
同じ著者は、ローリーの妻の伝記も出版しています。
( My Just Desire : the life of Bess Ralegh, Wife to Sir Walter)
川井さんのお話をうかがっていると
こちらもさっそく読みたくなってきますね!
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川井さん、いつもながらの力のこもった発表、ありがとうございました
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