月のかけら

繰り返し開く、絵本がある。

かもめは空を舞い、風は流れ、波は形を変えるのに
自分は、じっとしたまま、同じ風景を眺めるだけだと
海辺の小さな岩が嘆く。

  いったいぼくは 何のために
  ここに こうしているのだろう

  ぼくひとつが 欠けたって
  何がかわるというんだろう
  
  自分がとてもちっぽけに思えて
  そっと 消えてしまいたくなった

  「あなたひとつが
   なくなっても
   この地球(ほし)の重さは
   変わってしまうわ・・・」

  ぼくの心が透けたみたいに
  誰かがぼくに ささやいた  
                    
海辺の小さな岩に話しかけるのは、月のかけら。

ずっしりと気持ちが疲れたような夜に開くと
月のかけらが話しかけてくれる。

 『月のかけら』
 かんのゆうこ
 佼成出版社


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