夏の背中

今年の夏は雨で始まって、それからずいぶんと降ったものだから
夏の雨をすっかり体で記憶してしまった。初めてのことだ。

昨日の久しぶりの日射しは、暑さや眩しさを強く残していても
グイグイと生きものを引き上げることはもうしない。
どこか痛みを与えるような、乱暴なエネルギーを含んでいて
緑が、キュウ、と鳴くのが聴こえそうだった。

そんなふうに鳴きながらいくつもいくつも美しい曲線が視線を先回りして
夏の背中を引きとめて欲しそうにこちらを向くけれど、
朝夕の足先の冷たさが、それを許してくれそうもない。

     

朝干したシーツがいい匂いでからりとしたから
夏の背中を、トン、と押すように
そのまま仕舞って新しいシーツをおろした。

完全に満ちた月が窓の外に出ている時間、
確かめられずにまだ、カーテンを開けずいる。
ずっと観ていたいのは、雨に濡れた美しい曲線、夏の背中だとしても
抗えない時間の流れと不可侵な法則が、ある。

本当はもっと前に秋は始まっていたのかもなぁ。

私は正しい季節に、戻ってこられるだろうか。
日差しにも、雨にも、優しさを観て
ねじれず巡る季節の中に戻ってこられただろうか。

(絶賛迷子中・苦笑)

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気分に抗わずダラダラと聴いている曲を、2曲。
頭が回らない時は、クラシックでは想像の翼は広がらない(苦笑)。

秦基博「Rain」

名曲中の名曲なのです。
大江千里のオリジナルでも、槇原敬之のカバーでもなく
秦氏の抑え気味に歌う不器用なRainが、私のお気に入りなのです。
20年近くの付き合いになる作品だけれど…色褪せないシリーズだ。

Mr.Children「Sign」

 ♪緑道の 木漏れ日が 君にあたって揺れる
  時間の美しさと 残酷さを知る

甘そうで実はスパイスを忍ばせているあたり、
桜井氏の天才っぷりを感じる名曲である。
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