眼差し

ひとの視線の先にあるものというより
ひとが集中して視線を落とす様子そのものが好きで、
本をひらいて静かに文字を追っている人を見つけると
あぁ綺麗だなぁ、と眺めてしまう。

図書館で偶然隣りあったひとでも、
よく知ったひとでも、たとえば
待ち合わせに文庫などひらいてそんなふうに待たれていると、
陰からもうしばらく見ていようか、と思う(しないけど)。

あ、気持ち悪いかな、私(苦笑)。

静かな場所でも雑音の多いところでも
自分の世界をもつことができるひとの眼差しは真っ直ぐで
それは強いのでゆるがない、そして周囲に静けさの層ができている、
そうか、そういう空気がいいのにちがいない。 ←ないものねだり

春の空気漂う午後、
そんなことをぼわぼわと考えていると
K子さんと話がしたくなった。

灯りを落とした街で
真っ直ぐひとすじにもう次の季節の準備を始めている、
彼女の最初の印象も“眼差しの綺麗な人”だ。

夏には、積もる話をもって訪ねようか。

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『Love Letter』 [DVD]
 岩井俊二
 キングレコード

柏原崇の図書館での読書シーンが好きなのです。
こんなに綺麗な人がいるのかと思った、男子だけど。
そして、「失われた時を求めて」など
小道具本タイトルの意味に気付いたのはずいぶん後でした。
公開からもう16年になり、繰り返し観ていても、色褪せません。

『ラヴレター 』(角川文庫)
 岩井 俊二
 角川書店

原作もいいけれど、やはり映像の美しさがよいのです。
話そのものは少々韓国ドラマ的な部分もありますし(苦笑)。

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迷子

今の仕事に就いて知り合った同職の友人が
3月末で辞めて引っ越すとあっさりいうので驚いた。

もちろん前向きな進路変更であって
彼女らしい選択なのだけれども、
報告されたときは「置いて行かれたなぁ」と思った。

持っている資格や職歴が同じだというせいか
こだわりだとか抱える問題や疑問はよく似ていても、
彼女にはリアルに生きるエネルギーや
あらゆる選択肢から未来を組み立てる能力が備わっていて
不器用な一点集中型で、どこか夢見がちな私とは、最初から違った。

ぐずな私は
いつも潔い彼女が大好きだった。
彼女のスイスイと泳ぐような仕事ぶりが大好きだった。
この仕事はこういう人がすべきなのだろうと憧れてさえいた気もする。

きっと彼女は選択肢の中から迷わず新しい生活を選んで、
あっという間にそれを手にしたのだと思う。

彼女ならどこでもどんなふうにも、上手に泳ぐことができる。

友人や理解者が遠くに行ってしまうこの気持ちは
落ち込むとかさみしいだとかいうのとは違って
何も目印がない所で迷子になったときの気持ちに、少し似ている。




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