ともだちは海のにおい

哲学と本とビールがすきな くじら と
体操と遊びとお茶がすきな いるか の
ある夜の出逢いからはじまる物語は
何度読んでも、色褪せないどころかそのたびに新鮮で
ふたりのやりとりと、とにかく綺麗な風景を覗いていると
穏やかに凪ぐ海のような気持ちになってくる。

それでいてほんのり切なくもあって、
「心はここにあるのだなぁ」と
ふるふるとする場所に気がつく一冊。

磨かれたような言葉が流れるのが優しいだけでなく
文字のバランスが目にも柔らかい。
ひらがなっていいなとしみじみ味わえる、
大人にはそんな魅力もつまっている。

あるときはくじら、あるときにはいるかになって
30年の付き合いをしてきた親友が(あ、歳が…)
この夏に母になるのだと聞いて、迷わずこの本を贈ろうと思った。

彼女の10年越しの夢がもうすぐかなうのかと考えると
私まで踊りだしそうなくらい嬉しくて、
今日はいるかのように、グルグル泳ぎまわりそうだ(笑)。

 『ともだちは海のにおい』 (きみとぼくの本)
 工藤直子
 理論社

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月のかけら

繰り返し開く、絵本がある。

かもめは空を舞い、風は流れ、波は形を変えるのに
自分は、じっとしたまま、同じ風景を眺めるだけだと
海辺の小さな岩が嘆く。

  いったいぼくは 何のために
  ここに こうしているのだろう

  ぼくひとつが 欠けたって
  何がかわるというんだろう
  
  自分がとてもちっぽけに思えて
  そっと 消えてしまいたくなった

  「あなたひとつが
   なくなっても
   この地球(ほし)の重さは
   変わってしまうわ・・・」

  ぼくの心が透けたみたいに
  誰かがぼくに ささやいた  
                    
海辺の小さな岩に話しかけるのは、月のかけら。

ずっしりと気持ちが疲れたような夜に開くと
月のかけらが話しかけてくれる。

 『月のかけら』
 かんのゆうこ
 佼成出版社


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