It's for You

少しくらい遠回りになってもいいかなと思う好きな道があり、
昼も夜も、夏も冬でもよく使う。

京都ではポプラの綿毛が飛ばないのかしら、などと思っていたら
フロントガラス越しに陽気に漂うのをみつけて、嬉しくなった。
あらゆる種類の木があるから姿は見えないけれど
どこか近くにポプラもちゃんとあったのだろう。

この季節、ここの緑のアーチをくぐりながらよく思い出すのは
意外にもパット・メセニーの「It's for You」だったりする。
爽やかに吹き抜ける冒頭からの雰囲気が
濃くなりつつある若葉色が輝くのに似ているせいだと、思う。

特別に好きな音楽でもないから聴くことはほとんどないし
むしろ好んで聴く柏木広樹氏の「フェーカジ(南風)」や
槇原敬之の「うたたね」にも同じような印象があるのに、
まず思い出すのがどうして「It's for You」なのか
自分でも不思議で面白い。

ちなみにこのタイトルは、君のために、なんていう甘い意味はなく
君に電話だよと、さらりというときのそれなのだそうで、
季節には何ら関係ない音楽にそんな印象をもっているのが
さらに不思議で面白い。

眩しい緑の印象をひとに伝えたいと思うのに
擬態語や擬音語でも、もちろん鼻歌でも
完全に正しい表現が見つからなくて
時間があると考え込んでいる、
どうすればこの感覚を共有できるのだろう、と(暇なもので・苦笑)。

今日は少しイライラしながら出かけた帰り道に
ポプラが飛んだだけで、いい一日だという印象に変わった。

単純なつくりの脳を持っていると
小さな幸せがたくさん見つかる。
なかなかひとにおすそわけはできないけれども(笑)。

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20歳の若さで亡くなってしまうセリの
ポプラにまつわるセリフは印象深い。

 薔薇のために (1)~(9) (小学館文庫)
 吉村明美
 小学館


この作品に出てくる木々や花々はどれも魅力的で
登場する人間の内面や外見を
その変化とともに重ねて描かれるのがうまいと思う。
文庫版になってから揃えればよかった、写真の表紙がすごく綺麗。

緑はいいなぁ。

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