夜と夢

今夜は早く寝ようと思っていたのに
日本アカデミー賞の興奮が醒めずに眠れない。

NHKではジャン・ギアン・ケラスがチェロを演奏するらしく
シューマンとメンデルスゾーンは聴こうかなぁ、という
軽い気持ちで聴き始めたのだけれど。

“甘いマスクで人気”だなんて
そんなのに騙されませんよ、フン、と身構えながらも(笑)、
控えめなビヴラートと指運びが中性的な空気を漂わせ、
上品かつパワフルボウイングで、心地よい演奏にもっていかれる。
とても巧いのが私でもわかるくらいにそれは機械的でもあり、
じっと運指に見いってしまう。 ←イケメン台無し

またしてもNHKにのせられて
結局アンコールまで眠れやしない ←思うツボ

そして、そのアンコールの素晴らしいこと!

シューベルト『夜と夢』は驚くほど綺麗な曲で、
終わってもしばらくポカンとするほど。
シューベルトのあらゆる歌曲の中で最も美しい曲の一つだとか。
Yo-Yo Maならこれよりさらに迫力の美しさと艶なのだろうなぁと、
想像しただけでニヤニヤとしてしまった。 ←イケメン意味無し

さて。
番組後半に登場のチェリストは「我こそソリスト!」というふうで
私には強すぎるみたい、そろそろ眠ろう。

それにしても綺麗な曲と丁寧な音だった。
このまま、よい夢がみられるとよいのだけれど

---
Nacht und Träume

Heilge Nacht, du sinkest nieder;
nieder wallen auch die Träume,
wie dein Mondlicht durch die Räume,
durch der Menschen stille Brust.

Die belauschen sie mit Lust;
rufen, wenn der Tag erwacht;
kehre wieder, heilge Nacht!
Holde Träume, kehret wieder!


詩の意味?
…音がわかればいいや…歌ったのはチェロだし(笑)。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

心のありか

先日放送された、N響と堤剛氏のドヴォコンに打ちのめされたのです。
もちろん、よい意味で、です。

『ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104』

Yo-Yo Maの艶々した歌い上げる演奏とは違い
堤氏のそれは、一つの物語をゆったり語るような静かな渋さで
大切に使われてきたアンティーク家具のようなイメージ。
これ見よがしな主張はなくても、しっかり染み込んでくる音です。
落ち着くなぁ。

こんなドヴォコンがあるのか、と、目から鱗がぽろりん。

西洋音楽の本質を解釈する能力はDNAによるところなので
アジア人の演奏には本物の心がない、という人がおられるのですが
コテコテ日本人の私には
アジア人フィルターを通した、こういった演奏だって命中します。
伝統あるヨーロッパオケとは違う魅力で感動を覚えるN響の演奏も、
心がないものだとは思えないのだけどなぁ。

Yo-Yo Maも中国系だけれども
あの底抜けに朗らかで人を惹きつける音を創る感性は
彼の知性やそこから生まれる謙虚なゆとり、
そしてチャーミングな人柄によるものが大きいと思います。

渋好みだというだけかもしれませんが、
熱演だとしてもビブラートにどこか奥ゆかしさを感じる
聴き手への信頼とゆとりを含んだ音を出すチェリストが好きです。
たとえデュ・プレの情熱熱烈演奏が素晴らしくてもちょっと引くし、
逆にアマチュアでも師匠の音は大好きでいつまでも聴いていたい。

チェロに対する好みは人への好みに似ている気がします。

音は空気がないと伝わりませんから
チェリストが周囲に漂わせるそれが「私にとって」魅力的かどうかは
技術と同じくらい(知名度や人種なんかよりは遥かに)大切です。

私は、これからもずっと
自分の耳と心が選ぶチェリストの〝声と心″を聴きます。←頑固(笑)。

---

N響ではなくチェコ・フィルとの共演なのだけれど
堤剛氏のドヴォルザークのチェロ協奏曲、これは愛聴盤になりました。
カップリングの「白鳥」「シシリエンヌ」も素晴らしい。
彼の音には木のぬくもりのようなものを感じます。

 ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
 堤剛
 ドヴォルザーク、サン=サーンス、フォーレ
 シューベルト、コシュラー(ズデニェク)、
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 ソニーレコード


最近こんなふうにAmazonへのリンクをおぼえたので、
 嬉しそうに楽しんでいます(笑)。
 調子に乗ってくだらなく語り始めたらすみません。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

反芻

独特のかたちで構えられたチェロから
いつもどおりの彼の音が、白鳥の姿を描いて届く。
世界中のどこを探しても
この日この時の白鳥ほど、特別なものはない。

穏やかな微笑みを浮かべたまま
その夜、奏でられたラストの一曲は
サン=サーンスの『白鳥』、
これまで聴いたどの白鳥よりも、妖しく美しい。

小刻みに震える唇を抑える手も震えていたことに
気づいたのは、演奏後のこと。

彼は、わたしにとってスターではなく
スーパーヒーロー、永遠のヒーロー

けしてぶれることがなく、艶やかで芯があり、
限りなく優しく優雅かつ朗らかで、それでいて深く重い
どの角度から見ても聴いても隙がない
まさに世界最高峰なのだ、彼の指と弓から生まれる音は。

終わらないでと祈り
できるなら2時間前にタイムスリップしたい、何度でも、と願った
半年も前から夢に見た夜の一部始終を
何度も、何度も、今も、反芻している。

---

ヨーヨー・マ チェロリサイタル
 愛知芸術劇場コンサートホール 2010.11.08 MON
 piano:キャサリン・ストット

E.モリコーネ:ガブリエルのオーボエ(映画「ミッション」より)
G.ガーシュウィン:前奏曲第2番
C.マリアーノ:クリスタル
J.ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 op.38
G.フィトキン:L
S.ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 op.19
**encore**
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
ファリャ:スペイン民謡より「ポロ」
サン=サーンス:白鳥
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

交響曲第40番

N響のモーツァルト、それも40番を聴いてきました。
素敵…チェロ…じゃなくって(いや、素敵だったのだけれども・笑)、
指揮はアンドレ・プレヴィン氏、この方がとてもよかったのです。

指揮台に上る足元もおぼつかないようなおじいちゃまなのですが
なんて味のある指揮をなさるのでしょう。
最近よく聴くCDは、カザルス指揮のものなのですが
エネルギーの発散、艶々としたそれとは
まったく別物のアンドレ・プレヴィン氏のモーツァルトでした。

放出、というよりは
凝縮、というイメージ
短距離走、というよりは
マラソン、というイメージ、といえばいいのか
上手く表現できないのだけれども。

ところで、おじいちゃんなどといっていますが、
氏はそれはそれは多才な音楽家でいらっしゃいます。
指揮台に置かれた椅子に座って
けして大きなアクションとはいえないコンパクトな指揮をなさいますが
指先まで穏やかで細やかな、無駄のない的確で美しい指揮です。

38、39、40番。
わたしのイメージしていたものよりも、
ほんの少し穏やかでスローな仕上がり。

いやぁ。ほんとうによかったのですよ、おじいちゃんの40番。
モーツァルトは、ころころ転がって駆け抜けてゆくイメージがありますが
それだけではなく、しっかりじんわり染み込んでもくる、という不思議な体験。
特に40番では、第3・4楽章がなんともよかったのでした。
凝縮されたメロディーからときどき、こちらにまで美しい破片が届くのです。

今夜は余韻でいっぱい、静かな部屋でこれを記録しています。
あぁ、よい演奏会だったなぁ、と。
---
CMでもよく使われてますのでよくご存知だと思います、40番。
ちなみにわたしは短調なら25番も好きです♪

交響曲第40番
交響曲第25番

そして、一番好きなのは第29番です。
爽やかで明るい光がさすようなメロディーです。
---
それにしても、
オーケストラって、数だけじゃないのですね。
とってもシンプルな配置でのコンサートでしたが
本当にいい演奏で、鳥肌が立つこともしばしば。

なぜかオーボエの音色が、印象に残っているのだけれども(笑)。

それにしてもモーツァルトは軽やかで本当に気分がよいです。
秋の演奏会に心地よい時間をいただきました。
さすがN響。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No.2

兵庫県立芸術文化センター管弦楽団の、第3回定期演奏会に行った。
佐渡氏の指揮は、第1回目の定期演奏会に続き二回目だ。

シューマン「交響曲第2番 ハ長調作品61」
ブラームス「交響曲第2番 ニ長調作品73」

第1回定期演奏会は"運命""英雄"とパワフルな選曲だったけれど
今回は、ドイツ・ロマン派の組み合わせのプログラム。

…あぁん。好み!(笑)
ブラームスの2番はチェロとコントラバスの大活躍、
ホルンやオーボエものどかで、フルートは軽やか
暖かく穏やかで、とてもとても居心地がいい。(=眠い 笑)

それにしても、"2番"の二曲を選曲されたプログラムはおもしろい。

『数字の持つもののイメージというのがある。
 1番は「若さ」や「意気込み」、世界一日本一のようなイメージ
 それにひきかえると2番というのは見た目にも丸さがあり
 安定したイメージ。
 作品的にも1番より成熟している。』

佐渡氏は、自ら率いる若いオーケストラとの2度目の共演で、

『今回は、オケと僕が音楽と言うものに対して向かい合いたいと思った。
 誰もが持っている心のひだを動かすことができるように
 また、耳を傾けたくなるような音を届けたいと思った』

とのこと。
前回のパワフルプログラムに引き続き、
暖かいハートが、佐渡さんらしい。

わたしの持つ"2"のイメージは、"あたたかな素数"。
偶数だからだろうか、ぽつんとしておらず、寄り添うイメージ。

兵庫県立芸術文化センター管弦楽団が西宮の街に寄り添い
これからどんどん成長し、熟成した音楽を発信してくれることを願う。

それにしても。
若い若い、ブラームスの2番。ラストはぞぞぞっと鳥肌だった。
佐渡さんのびよんびょんと飛び跳ねる指揮にもよく合っていて
みんな、これに、パワーをもらうんだなぁ。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

O Freunde!

一万人の第九、本番。

9時に会場に入り、直前の通しのリハーサルから、
もうずっと、何かにつつかれて泣きそうだった。
明らかに空気の密度が違う。
1万人の目的が同じだとこんなにエネルギーが充満するのだなぁ。

そして、佐渡さんの言葉は、ひとつひとつ熱く濃く飛び出してくる。
エネルギッシュな存在感を持ち、音楽に打ち込む純粋さが
みんなをうまく乗せていくのが分かる。

それにしても、第4楽章合唱前のオケ、
低音部隊の素敵さは、どう表現したらいいんだろう?
バスとチェロの魅力全開で、どきどきとする心臓の音と共鳴する。
それだけで、緊張と感動が倍増する。


"来る、来る、来る。どき、どき、どき。"


一斉に1万人が立ち上がると、一気に鳥肌が立つ。
そこからは、あっという間に駆け抜ける感じで
夢中、という意味の通りの状態。

何度か、舌を噛みそうになったり、
佐渡さんの棒を見失って、ちょっと悔しい思いをして
こうやって、みんな課題を見つけては、
何年も何年も、続けているのだな、ということを
後になって、振り返ってみると思う。

〝Alle Menschen werden Brüder〝

歌うことができて、よかったなぁ。
また、来年も絶対に参加しよう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

降り注ぐ声

このところ眠れなかったりしていたのだけど
今朝は起きたら12時前、ひさびさに、昏々と眠れた。

午後から、大阪フィルの公演の予定があり
のんびり食事をして、ゆっくり準備をして出かけた。

公演は、ベートーベン、メンデルスゾーンなどの演目。
指揮と楽団の熱がどうも溶け合っていない印象で
うまいのだけど、その印象だけで、あまり心に響かなかった。残念。

そんなことで、何かのスイッチが入ってしまったのか
帰ってからずっと、お気に入りのバッハを聴いていた。

今夜はNHKでもずっとバッハが流れていて、とても嬉しい。
このプログラムは、聖トマス教会で行われたバッハ音楽祭のもので、
ファゴット、フルート、チェロ、バイオリンたちは品格があり
ミサ曲の深さ、清らかさは、とても厳粛で
敬虔な歌声が降り注ぐから、ぞわぞわと鳥肌が立つ。

今夜もよく眠れそうだ。

なんか、いろいろまとまりのない気持ちで
このところは週末を過ごしているから
少し静かに清らかな気持ちで落ち着かなくてはなぁ…。

さて、また一週間がはじまる、頑張ろう!
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

早朝の音

最近、数分だけ早く出勤している。

外側のドアを全開にして、小さな椅子を置いて座るころ、
ウィンドアンサンブル部の、朝練合奏が始まる。
コンクールが近く、完成に近づいていて、かなりの迫力。
こっそり、一人コンサート。

とても、力強いのに、流れるように語り掛けてくるので
朝から涙腺を緩められてしまう、気になる曲がある。
とうとう、いったいあの曲はなんという曲なんだと、
廊下で出会ったクマさんを捕まえて尋ねると
『マリアの七つの悲しみ』という曲なのだそうだ。

作曲者は誰?と調べてみると、
樽屋雅徳さんという方の曲らしい。

主題のせいか、ほんとに心に染み入る、メロディー。
そして、心が振動し始める。

朝の数分の楽しみ。
またひとつ、いいものに出会ったなぁと思うひと時。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )