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ハラン・1~玉川上水

 先日、東京都立大学牧野標本館主催の植物調査会に参加してきた。東京都環境局自然環境課では生物多様性保全のための基礎情報として野生生物のリストを整理した『東京いきもの台帳』の取りまとめを進めている。そのうち植物目録作成事務局は牧野標本館が事務局になり標本や文献の整理、専門家による調査、都民からの情報収集などを行っている。
 この日は“玉川上水緑道”での調査会で15名ほどの参加者が西武線玉川上水駅付近から鷹の台駅付近までの上水沿いを歩いてシュンランやアマナなど春の野草を愛でながら多くの植物の生存を写真登録した。植物目録作成の一助となれば嬉しい。
 写真はその途中で見つけた「ハラン(葉蘭)」の花。大きな株があったので潜り込んで枯れ葉を取り除くと予想通り花が咲いていた。もちろんこれは植栽もので目録に登録するような種ではないが、やはりこの時期には花を見ておきたい。ハランはキジカクシ科(←スズラン科・ユリ科)ハラン属の常緑多年草。直径は2.5~3センチで葉の根元の地面すれすれに咲く。蕾はキノコそっくりな姿だがこれはポリネーターのキノコバエを呼ぶために擬態していると考えられている。
 ちなみにお弁当の中でおかずを仕切っている緑色のプラスチック装飾品を“バラン”というが、これはハランに由来している。ハランに似せて作った“人造ハラン”が連濁によって“人造バラン”と呼ばれ、その後“人造”が取れて“バラン”となった。
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イヌノフグリ・1~開花

 オオバコ科(←ゴマノハグサ科)クワガタソウ属の「イヌノフグリ(犬の陰嚢)」。東京都では絶滅危惧Ⅰ類に分類されており外来種のオオイヌノフグリやタチイヌノフグリに生育場所を奪われ今は山間部の限られた場所でしか見られない。花径は2~3ミリでオオイヌノフグリよりかなり小さい。オオイヌノフグリは開花中に受粉できないと雌蕊が曲がって自家受粉し確実に子孫を増やす。またオオイヌノフグリの花粉がイヌノフグリに付く(種間送粉)とイヌノフグリの果実が正常に成熟せず種子が少なくなることがわかっており、イヌノフグリにとっては厳しい環境になっている。
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ユリワサビ

 裏高尾“小下沢林道”で咲いている「ユリワサビ(百合山葵)」。アブラナ科ワサビ属の多年草で早春に直径1センチほどの十字花を数個咲かせる。日本固有種で本州~九州の山地のやや湿った場所に生育している。葉を齧ると仄かな苦みがある。葉が枯れた後、葉柄の基部が膨らんで根元に残りそれがユリの鱗茎に似ていることから名付けられている。
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