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ムジナモ・1~食虫植物

 モウセンゴケ科ムジナモ属の「ムジナモ(貉藻)」。1890年(明治23年)に牧野富太郎博士が江戸川河川敷の用水池で発見し『植物学雑誌』でムジナモの名前で発表された。海外では開花が確認されておらず牧野博士による花の解剖図などは当時の植物学会に衝撃を与えたようだ。
 ムジナモは浮遊性の水草で芽生えの時には幼根が見られるがその後根は無くなり水中を漂う。この姿をタヌキの尾に見立てて“タヌキモ”と名付けたかったが、既にその名前が使われておりムジナモとしたという。写真では少しわかりにくいが長さ10センチほどの細長い茎に捕虫葉が放射状に付きそれが輪生している。葉はハエトリグサのように2枚が向かい合っておりミジンコなどのプランクトンを捕食する。牧野博士による発見からは日本各地で発見されたが開発や台風による水害などで各地の自生種が絶滅し、最後に残った自生地、埼玉県羽生市法蔵寺沼でも台風による水害や流入した農薬の影響で1967年(昭和42年)に絶滅した。しかし栽培用の個体が辛うじて残っておりその後法蔵寺沼で増殖が試みられている。また2022年(令和4年)に石川県の農業用ため池で新たに発見され、調査の結果、人為的なものではなく埋土種子が環境変化で発芽したと考えられている。写真は東京都立大学の企画展で展示されているもの。残念ながら花は咲いていない。
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ヒルムシロ・3~果実

 日本全土の湖沼や水田で見られる「ヒルムシロ(蛭蓆)」。ヒルムシロ科ヒルムシロ属の多年草で花期は6〜10月。水面に花茎を立ち上げ花後には花茎は倒れ込んで果実は水中で熟す。写真は沈んでいた果実を浮水葉の上に乗せて撮った。ひとつの果実は長さ2ミリほど。朝ドラ『らんまん』でも話題になったがヒルムシロは地域によって「ヒルナ(蛭菜)」や「サジナ(匙菜)」など色々な名前がある。
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ハチク・7~大塚どんどん橋緑地

 大塚どんどん橋緑地の「ハチク(淡竹)」。イネ科マダケ属で北海道〜九州地方の山野で普通に見られる。公園情報でここのハチクが枯れていると聞き見に来ると20〜30㎡ほどの小さな竹林全体が褐色になっていた。花はほとんど終わっていて枝先にわずかに小さな雄蕊が見えた。
 当地では3年前に上柚木のハチクの竹林が枯れたが、日本全土では2010年代から各地で開花報告が聞かれ始めた。ハチクの開花周期は120年に一度と考えられており、直近では1908年頃に日本全国で“一斉開花”したという記録が残っている。
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