長電話

~自費出版のススメ~

ノルウェイの森とノーウェジアンウッド

2009-05-15 | アート
黒澤明が山崎努に「君はテレビに出過ぎだ」と忠告したことがあります。これは山崎のイメージが固定され、役者としての幅が観客によって限定されることに対する忠告です。職業としてではなく、作家としての監督であるならば、あらかじめ消費された役者など使いづらいことでしょう。

それを逆手にとった映画が「シックスセンス」。この作品が成功しているのは「ダイハード」はじめ、タフな印象しかないブルースウィルスのパブリックイメージに我々がまんまとだまされたからです。映画はフィクションであると同時に観客の出演者への先入観をも利用し構成されるドキュメンタリーでもあるということの好例です。

ノルウェイの森のキャストが発表されました。ついつい好きな俳優とのコラボを望みがちですが、作品はあくまで原作者の手を離れた「映画」であり、監督のものです。マーケットなど意識せず、手垢のついていない新人で固め「桜の園」や「リリイ・シュシュのすべて」のようにフレッシュに作りはじめてもよかったような気もします。

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