長電話

~自費出版のススメ~

イチロー裁判 少年野球の愉悦

2010-09-27 | スポーツ
イチローが毎年記録してきた200本安打に関して、内野安打が多い、スランプがない「足」で稼いだ安打に意味はない、などと揶揄する向きも多いようです。

私は野球のシステムの中で一番美しいのは、ホームランの軌道ではなくダブルプレイの無駄のない流れるような動きだと思っているので、左で足の速さを印象付けられた併殺の少ないイチローの存在により内野手が慌てる様子を見るのが好きです。

ホームランや四球ですと、当然内野手は動きません。展開次第では試合進行や結果にダイナミズムがあったとしても、その時間帯のプレイ自体には躍動感はないのです。イチローが打つだけで、サッカーのゴール前の攻防のような緊張感が生まれるとすれば、現場にいる観戦者にとってはこれほどのカタルシスはないわけです。

イチロー自身がそのようなエンターテイメント性を前提にプレイしているとは思いませんが、面白い野球が見たいと思う野球ファンとしては、大味な大リーグの中で観客も含めた試合参加者の誰にも集中を強いる彼のスタイルは、薬によるパワーや球場の広さに関わることのないピュアな野球だといえるのではないでしょうか。

休日に散歩がてらあちこちの公園で行われている少年野球を見ている限り、打取った内野ゴロでの攻防が雌雄を決しますし、ライトゴロなどが頻繁なので、最後はディフェンシブなチームが勝つという傾向が見て取れます。

結局、どのレベルであれ、舞台であれ、スリリングであればそれでいい、なんてことを思う私のようなものにとってイチローの記録は、ついてくるものであり、記録事態は記憶の補完でしかないものです。